分譲マンションの管理運営|専有部給水管更新工事の事例

松井 久弥 松井 久弥

今回は当社が管理するマンションで実際に行われた、専有部給水管更新工事の事例と対策のポイントをご紹介します。

111

目次

  • 共用部と専有部、漏水した場合の責任は?
  • アンケートの実施
  • 対応と対策のポイント
  • まとめ

今回給水管の更新工事を行ったのは、世田谷区にある30世帯のマンションです。

名称:Bマンション
戸数:30世帯
住所:東京都世田谷区
築年数:30年
居住者層:ファミリー

共用部と専有部、漏水した場合の責任は?

理事会では長期修繕計画に基づき共用部給水管の更新工事を検討していました。

このマンションでは漏水事故が頻発していて、原因は共用部・専有部の給水管がほとんどでした。

ちなみに
共用部給水管は管理組合の責任で修繕し、(漏水事故の場合、管理組合の責任で賠償)
専有部給水管は区分所有者の責任で修繕することになっています。(漏水事故の場合、区分所有者の責任で賠償)

Bマンションの管理規約にも、”共用部分内にある部分以外の給水管は専有部分とする。”と定められていました。

2
共用部の給水管更新は長期修繕計画に基づき管理組合で実施をする予定でしたが、理事会では以下のことが懸念事項として挙げられました。

・漏水事故が起きた場合、共用部よりも専有部が原因で発生した方が被害は大きくなる事が多い。しかし、専有部の給水管の更新を計画している世帯はどれくらいあるだろうか?

・漏水事故が頻発していることによって保険事故件数が増加。今後、保険の更新ができなくなる可能性があるのではないか?

検討を進める中、理事会では
「共用部の給水管更新と同時に専有部分の給水管更新工事も実施するべき!」との意見が出されました。

本来専有部にある給水管は専有部の所有者が更新を計画し実施を行いますが、給水管(専有部にある設備のうち共用部と構造上一体となった部分)の管理は、共用部の管理と一体として行う必要がある時は管理組合が更新を行うことが出来きます。

Bマンションの管理規約もそのように定められていました。
3

アンケートの実施

理事会で出た「共用部の給水管更新と同時に専有部分の給水管更新工事も実施するべき」との意見をもとに、他の区分所有者の方の意見も集約するためアンケートを実施したところ、下記のような回答結果になりました。

4

当時実施反対の意見としては、
・専有部分の工事費用は個人で負担するべき
・修繕計画や資金計画が専有部も含めることで、計画が狂ってくることが心配
・専有部の工事は自分で実施業者を選びたい
といった声がありました。

このアンケート結果を踏まえて理事会では共用部・専有部の同時実施は断念し、
「専有部の給水管更新工事費用の補助金支給制度」を設けることを検討しました。

この制度を設けることによって専有部の給水管更新工事はあくまでも「個別で実施をする」とし、工事費用の一部を管理組合から補助金として支給することで、資金計画に大きな影響を与えることなく更新を促進する狙いがありました。

臨時総会にて専有部給水管更新工事促進を目的とした「専有部給水管更新工事補助金支給制度制定」の議案を上程。

賛成多数で承認され、補助金支給制度が制定されました。

以下はその時の議案書内容です。参考にしてみてください。
議案書サンプル

対応と対策のポイント

「専有部給水管更新工事補助金支給制度制定」によって、制度制定の約1年後には全世帯の専有部給水管更新を完了させることができました。

頻発していた給水管からの漏水事故もなくなり、懸念されていた問題も解決することができました。

アンケート等で意見の集約

理事会だけで判断するのではなく、専有部工事に対する考え方を整理し、合意形成を図ることが大切です。

資金計画に大きな影響を与えない方法を見つける

今回は補助金支給制度を制定することによって予定している資金計画に大きな影響を与えることなく、専有部の給水管更新工事を行うことができました。解決しなければいけない問題と資金計画のバランスを考えることが重要です。

まとめ

マンションにおける問題やトラブルは多岐に渡ります。
マンション管理会社は他のマンションで発生した問題を解決するための事例やノウハウを持っているはずです。

マンション管理会社と連携しながらマンションが抱える問題を解決し、マンションで快適に生活ができるようにしていきましょうね。

 

The following two tabs change content below.
松井 久弥

松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

ブログの読者になる

ブログの読者になると新着記事の通知を
メールで受け取ることができます。
読者登録はコチラ

最近書いた記事

関連の記事

  • facebook
  • feedly
  • rss
backtotop