マンション管理会社のM&A・売却・譲渡が多い3つの理由

松井 久弥 松井 久弥

こんにちは、松井です。

実はM&A業界において、マンション管理会社の売却・譲渡は他業界と比較して多く発生しています。今回は何故マンション管理会社のM&A・売却・譲渡が多いのかご紹介します。

この記事は、2016年8月4日に公開した記事を修正し、2017年11月2日に再公開しています。

 

目次

  • マンション管理業界の特徴
  • M&A・売却・譲渡が多い理由① そもそも業者の数が多いから
  • M&A・売却・譲渡が多い理由②   競争が激しいから
  • M&A・売却・譲渡が多い理由③   金額よりも品質重視にシフトしてきたから
  • まとめ

 

マンション管理業界の特徴

日本の分譲マンションは平成28年末時点で633万戸に達しています(国土交通省 平成28年度住宅経済関連データより)。この分譲マンションの内、区分所有者で組織するマンション管理組合が管理事務・運営を専門の管理会社に委託している割合は90%を超えています。マンション管理業とは、マンション管理組合から委託を受けて管理事務を行うことを業として行うものをいいます。

これまでのマンション管理業界はマンション新築時に決められた管理会社が永続的に管理を受託する形が多く、いわゆるストック型のビジネスとして安定的に一定の収益が見込まれる業界と言われていました。しかし、平成13年にマンションの管理の適正化の推進に関する法律が施行され、消費者保護等の観点から重要事項説明の実施義務や契約内容の書面交付等、マンション管理会社に対する様々な義務が設けられたこともあり、消費者を含めた社会全体がこれまで以上にマンション管理に対する関心を持つようになりました。

管理会社としても、人・物・金・時間を投入してサービス面の強化や法令順守に対応していかないと他社に管理を変更(リプレイス)されるようになり、これまで以上に経営能力が必要とされているのが現状です。

 

理由① そもそも業者の数が多いから

マンションの管理の適正化の推進に関する法律第44条により、マンション管理業を営もうとする者は国土交通大臣の登録が必要です。

平成13年に法律が施行された以降、この管理業登録をおこなった会社数は最大時には全国で2,727社もいました。社員数が千人を超える大手管理会社から2~3人で運営している会社まで、本当に数多くの会社がマンション管理業に登録したのです。

マンション管理業は一定規模以上の管理戸数があればスケールメリットを活かした営業展開ができる(例えば、再委託する業務の原価交渉力が高まる)のですが、2700社もの管理会社が乱立している状況の中で、管理戸数が少ない会社の中には、想定していた利益が出ない会社も多くなり、廃業や管理業登録を廃止する会社が出てきました。平成28年には、登録管理会社数はピーク時から20%減となり2,131社まで減っています(それでもまだ多いのですが・・・)。

一方で大手はもっと管理戸数を増やしたいとの意向が強く、結果としてマンション管理会社同士のM&Aマッチングが増えてきたのです。

 

マンション管理業者の登録状況の推移 ※マンション管理新聞社データより

 

理由② 競争が激しいから

前述のとおり区分所有者のマンション管理に対する関心が高まる一方で、乱立している管理会社の中で管理物件を増やすために、大手管理会社を中心に他社の管理物件を受託するリプレイス営業部隊を設置して営業を強化する会社が増え、物件を取り合う状況になってきました。

その結果、マンション管理業界全体として他社からのリプレイス攻勢によって管理物件が解約されたり、解約されなくても委託料を大幅に減額してでも契約を継続する状況が続いています。こうなると、会社によっては人・物・金・時間を投入してサービス面の強化や法令順守に対応していくことがますます難しくなり、その結果、更に解約・減額が続くという負のスパイラルに陥ってきました。

そこで、事業を他社に売却するという選択肢を取る会社が増えてきました。

 

理由③ 金額よりも品質重視にシフトしてきたから

マンション管理業は製品を売るというよりも、安心・安全・快適な住生活サービスを人を介して提供するという側面が強く、一概に金額だけで他社と比較することが難しいと思います。昔と比べて建物のハード面だけを維持管理するだけでは通用せず、ソフト面の充実した提案ができないと生き残れない業界となりました。

その結果、十分な教育研修やシステム導入、充実した間接部門の設置といった未来への投資ができる会社とそうでない会社の差がますます広がっていき、会社によってはこれ以上マンション管理業で売上や管理戸数を伸ばしていくことが難しくなり、売却を決断するようになってきました。

 

まとめ

今回はマンション管理会社のM&A・売却・譲渡が多い理由を3つにわけて紹介しましたが、その他にも事業の選択と集中のため経営戦略的にマンション管理部門の売却を決断するなど会社によって様々な理由がありますが、一つ言えることは、マンション管理会社の寡占化はこれからも加速していくということです。日本全体におけるその他の業界(たとえば、コンビニや銀行)と同じように、経営の効率化や長期的成長のために同業他社が提携していく手段の一つとしてM&Aが活用されているのです。

 

<参考記事>

マンション管理会社の売却・譲渡(M&A)を成功させるために知っておきたい9つのこと

マンション管理会社のM&Aに関する3つのスキーム

マンション管理会社の売却を検討中の社長様必見!売却3つのタイミング

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松井 久弥

松井 久弥

あなぶきセザールサポート 営業本部:松井 久弥(まつい ひさや)
株式会社あなぶきセザールサポート取締役本部長。
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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