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マンションの建物診断について

工藤悠太

おはようございます!こんにちは!こんばんは!

ホームライフ管理 リノベーション工事部の工藤です。

 

さて、6月に入りこれから健康診断を控えている方も多いのではないでしょうか。

人間が定期的に人間ドックなどの検診を受け、悪い箇所を治療するのと同じで、

マンションも必要に応じて定期的な検診いわゆる建物診断を実施することで、長生きをします。

今回は、そんなマンションの検診(建物診断)についてお話ししていきます。

 

 

建物診断とは?

建物診断は、人間でいう人間ドックのようなもので、定期的に建物の劣化を調査する検診です。

人間が定期的に人間ドックなどの検診を受け、悪い箇所を治療するのと同じで、マンションも必要に応じて定期的な検診を行います。

大規模なマンションでは、面積が大きい分、劣化箇所も多く、定期的に診断調査をしないと気づかないうちに建物の腐食が進んでしまうことも少なくありません。

建物診断を実施することは、建物の現状の劣化度を知り、適切な時期に適切な治療(大規模修繕工事)を行う為の判断材料のひとつだと言えるでしょう。

 

建物診断はいつ行うの?

建物診断を実施する時期タイミングは、特に定められていません。大規模な建物だと5年に1度など定期的に実施するマンションも少なくないみたいですが、一般的には各マンションの長期修繕計画に基づいた時期に行われることが多く、12年~15年周期で予定されている大規模修繕工事の前に行われることが多いです。

 

診断(調査)の内容

・目視調査

建物の目視観察を行い、タイル面や塗装面のひび割れ・仕上げ材の欠損・エフロレッセンスの発生や躯体の鉄筋爆裂を確認します。

 

防水面の浮き・ひび割れ・剥離・破損等の劣化確認します。

シーリング材のひび割れ・剥離・破断を確認します。

 

・打診調査

タイル面を打検ハンマーを用いて打診を行い、打診音の変化によって下地浮き・陶片浮きを確認します。

 

外壁塗装面・上げ裏の塗膜、下地モルタルの浮きを確認します。

共用廊下・階段の床面、排水溝の浮きを確認します。

 

・バルコニー調査

バルコニー状況アンケートを各住戸に配布し、バルコニーの劣化状況の把握します。

希望者のバルコニーを実地調査し、劣化の状況を確認します。

 

・機械試験調査

■タイル付着強度試験

一枚の既存タイルにアタッチメントを接着し、引張り試験機を用いて付着強度を測定します。この試験により外壁タイル剥離の恐れが無いかの判断をおこないます。

■塗装材付着強度試験

壁塗装面に4cm角のアタッチメントを接着し、引張り試験機を用いて付着強度を測定します。この試験により改修時に現在の塗装の上に新たな塗料を重ね塗りできるかの判断をおこないます。

■躯体コンクリート中性化試験

コアドリルにより躯体コンクリート表面の測定箇所をサンプリングとして抜取り試薬を塗布し、化学反応による変色域を確認することでコンクリートの中性化を確認します。

■シーリング材物性試験

打維目地や開口部のシーリング材を切取り、硬さや品質を調査機械で測定し、劣化度を確認します。

 

・その他の調査

■石綿含有調査

2006年9月以前に着工した建物で石綿使用が疑われる建材(外壁塗装・上裏塗装・タイル下地調整材等)のサンプルを採取し、検査機関で分析を行います。

サンプルに石綿の含有量が0.1%を超えて含有している場合は工事の際、飛散しないように対策が必要となります。

※対象の物件で過去一度も石綿含有調査を行っていない物件は、建物診断時に本調査を実施する場合も少なくありません。

 

■赤外線ドローン調査

外壁面が太陽の日射等より、外壁タイルに浮きがある場合、タイルとコンクリート躯体との間に空気層があるため、密着している箇所よりも熱伝導率が低い為、高温になります。

赤外線ドローン調査では、ドローンに赤外線カメラを搭載し、表面の温度差を記録し、得られた表面温度分布を解析する事によって浮き部等を検出します。

 

建物診断にかかる費用相場

では、これらの調査を実際に行う場合、どのくらいの調査費用が発生するのでしょうか。

実際には、実施する調査内容やマンションの規模によって異なりますが、相場としては以下であることが多いかと思います。

費用
30戸以下の小規模マンション 20万円~40万円
50~100戸の中規模マンション 30万円~80万円
200戸以上の大規模マンション 50万円~100万円

 

主な劣化事例

躯体のひび割れ・浮き

躯体は中性化や劣化をひきおこします。外部では水の侵入により仕上げ材や躯体の劣化につながります。

また、躯体の浮きは剥落の前兆現象です。剥落により人身事故に至る恐れのある部位は特に注意が必要です。

■エフロレッセンスの析出

コンクリート内のアルカリ成分がひび割れに沿って水分と共に流出し白い結晶となっている状態。

■躯体塗装面の劣化

紫外線・雨の影響や汚染物質や酸性雨により、塗装塗膜が劣化します。

■鉄部塗装面の劣化

塗膜が劣化することにより錆が発生します。錆はやがて腐食につながり、腐食の進行度合によっては部材の交換が必要となります。

 

■チョーキング(白亜化)現象

塗装面が紫外線や水分等により劣化した際、塗料に含まれている顔料がチョークの粉の様になって表面に浮き出る現象。

■タイルの浮き・ひび割れ

タイルの浮きは、剥落の前兆現象です。剥落により人身事故に至る恐れのある部位は特に注意が必要です。

ひび割れは、水の侵入により仕上げ材や躯体の劣化をひきおこします。

■シーリングの劣化

躯体接合部や建具周りの防水・気密を維持するシーリング材の劣化箇所より雨水の侵入は、漏水や躯体の劣化の原因と成ります。

■防水層の劣化

防水層は劣化が進むと内部に雨水が侵入し、建物内部に漏水を誘発します。

 

まとめ

建物診断を実施することは、建物の現状の劣化度を知り、適切な時期に適切な工事内容を行う為のひとつの判断材といえます。

また、今回は建築に関する建物診断についてお話をしましたが、マンションには他にも皆様のライフラインに関わる設備に関する設備診断も存在します。

私たちも人間も定期的に検診を受けながら健康な日々を送り続けましょう!

 

 

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工藤悠太

ホームライフ管理 リノベーション工事部

工藤 悠太(くどう ゆうた)

大分県出身。2022年入社



マンション管理会社の修繕業務を経験し、2022年に中途入社。

現在も前職同様に、マンションの小規模~大規模まで修繕業務を中心に従事しております。

これまでの経験のみならず、皆様のお役に立てる情報を発信して参りますので、是非ご覧下さい!

保有資格:1級建築施工管理技士補
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