失敗しないために知っておきたい分譲マンションの家賃の決め方!

生山 亨

あなぶきハウジングサービスの生山です。
今回は、初めて分譲マンションを賃貸に出す方、すでに賃貸に出している方にも知っておいていただきたい「分譲マンションの家賃の決め方・家賃設定の仕方」についてお話します。

「もっと考えてから家賃を決めればよかった・・・」
と後悔しないためにも、しっかりと適性な家賃を決めましょうね。

不動産の特徴は、家電製品と違って世の中に一つしかない
全く同じものが無い。ということです。

一部屋一部屋違いますよね。
間取りが違う、立地が違う、設備が違う、日当たりが違う、階数が違う…

家電製品に値段を付けるのであれば、他の量販店がどういう価格で売っているかを調べればすぐに分かります。
価格ドットコムなんかでもパッと分かりますよね。

ところが不動産はこうはいかない。
繰り返しになりますが、一部屋一部屋違うからです。

といったところで、本題に入っていきます。

その前に…「分譲マンションを初めて貸し出す方、これから貸そうかな…と考えている方」は先にこの記事を読んでみてくださいね!
分譲マンションを貸す時、知っておきたい5つのポイント!

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 家賃相場と成約事例

まず、家賃を決めるにあたって、地域毎に「家賃相場・賃料相場」というものがありますので、それを知っておく必要があります。
周辺の相場はインターネットなどで調べれば何となく分かりますが、一番良いのはプロの不動産会社に査定してもらうことです。

プロの不動産会社は周辺の直近の成約事例をもとに家賃の査定を行うことが多いです。

「隣の○○マンションが、今年の3月に12万円で決まっているから、あそこよりは高く貸せますよ…」
「周辺マンションの㎡(坪)単価が1,500円ですから、あなたのマンションは80㎡なので12万円になりますよ…」
というイメージです。

その際、必ず根拠となる資料を自分の目で確かめておいてください。

大事なポイントです。

比較対象となっている物件は正しいのか。

・分譲マンションなのに比較対象が木造アパート等で、同じような家賃設定になっていないか。
・広さや間取りが近いもので比較しているか
(1DKと3LDKでは比較対象になりませんよね・・・)
・周辺といっても離れすぎていないか。
(最寄駅が違うなら、正確な比較ができません。)

近くに比較対象となる事例が少ないときもあるかもしれませんが、
最低でも5件程度の事例は参考にしたいですね。

比較対象となっている事例の鮮度。

・比較対象となっている物件は、いつ成約したのか。
(賃料相場は年数とともに変わります。当たり前ですが、10年前と今とでは築年数も10年変わっていますし、 周辺に物件も増えているかもしれませんし、環境も変わっていたりします。)

・事例は古くとも2年以内に成約した事例であるか。
(一番良いのは全て1年以内に成約した事例であることですが、古くても2年以内のものでないと、 十分な根拠になりません。)

・成約済みでなく、募集中の事例ではないか。
(事例が募集中物件の家賃の事例ですと、「募集はしているが決まっていない」事例ということです。 つまり、その家賃では高すぎる可能性がある、とも考えられますね。)

設備、間取り、日当たり、駅までの距離などは考慮されているか。

・同じマンションでも設備が違ったり、階数が違ったり、日当たりが違ったり、によって家賃が変わることがあります。事例物件と比較してきちんと加点減点が反映されているかどうかもチェックしておく必要があります。

投資利回り

分譲マンションでも、投資目的で購入するケースもあります。
現在の売却価格もあわせて査定してもらっていると、「投資利回り」という点でも考えることができます。

例えば売却価格が2,000万円のマンションで家賃が10万円だと、6%の利回りだという見方です。

(計算の仕方:10万円×12ヶ月÷2,000万円=0.06)

銀行の定期預金などに比べれば、遥かに高い利率ですよね。
ただ、これは「表面利回り」といって、実際には毎月10万円の家賃が全て収入になるわけではなく、
管理費、修繕積立金、管理料など様々な経費もかかりますので、実質利回りはもう少し低くなります。

あくまでも指標として、自分のマンションの利回りを知っておくと良いですね。

手残り(キャッシュフロー)

「どういう目的で貸すのか」が前提ですが、ローン分を賄えればいい。という方もいれば、 手残りとして毎月2万円は欲しい。という方もいると思います。

手残りを計算するにあたって、次の費用が発生することを覚えておかなければなりません。

①管理手数料(賃貸管理料)(賃貸を管理会社にまかせるときに毎月の家賃に対して発生する費用。定額だったり、賃料の○%だったり、管理会社によってまちまちです)
②管理費・修繕積立金分譲マンションを持っている限り、毎月必ず管理組合に支払わなければなりません。空室かどうか、は関係ありません!
③固定資産税(都市計画税)(これは毎月掛かる費用ではありませんが支出として考えておきましょう。)
④ローン(もちろん無い人もいると思いますが、毎月のローン支払額もあわせて計算しましょう)

例えば、計算して
①管理手数料が5,000円
②管理費・修繕積立金が15,000円
③固定資産税が月に換算して10,000円
④ローンが月80,000円
だったとします。

手残りとして毎月2万円欲しい。
ということであれば、
2万円に①~④を足す。

計算してみると130,000円。

つまり130,000円以上で貸し出さなければなりません。

これと相場にあっているかどうかを見ながら家賃設定をする必要があります。

賃貸に出した場合、設備の故障(給湯器の故障など)があれば、
この修理、取換費用は貸主が支払わなければなりません。
突発的な修繕に備えておくことも必要ですね。

家賃を上げることができる?

賃貸として貸し出す前に、修繕やリフォームを行いますが、
リフォームの目的は大きく分けて次の3つです。

①今のままでは貸し出せないからリフォームする
②少しでも決まりやすくするためにリフォームする
家賃を上げるためにリフォームする

自分が行うリフォームは①~③のどれに該当するのか、リフォームする前に把握しておきましょうね。

突然ですが、「リノベーション物件」というのをご存知ですか?
簡単に言うと、部屋の中だけ新築のように、もとの面影がないくらいフルリフォームされた物件です。
リノベーション物件は現状よりも高い家賃で貸し出すことができます。

当然ですが、それなりの工事費用が発生します。
大きなリフォームを行う際に覚えておきたいのが、先ほどお話しした「投資利回り」の考え方です。

300万円のリフォームを行って、現状より家賃を20,000円上げることができれば、
そのリフォームは8%の投資利回りだと考えることができます。
(20,000円×12ヶ月÷300万円)

少し計算式を変えてみてみましょう。

300万円÷20,000円=150

この150は何か?

投資した金額を回収する期間です。
150ヶ月(つまり12.5年!)掛かるということですね。

12年間もあれば、空室期間も出るでしょうし、家賃相場も下がっているかもしれません。

「じゃあ、リフォームしない方が良いのでは…」

そう思うかもしれませんが、リフォームして家賃が上がれば、物件の価値が上がっているということです。 つまり売却するときの価格も上がっている、ということです。
家賃というものは、貸主は少しでも高く貸したい、借主は少しでも安く借りたいものです。
最終的には不動産会社ではなく貸主が決めるものです。
今回、書いたことを踏まえたうえで、間違いのない家賃設定をしましょう。

最後に、よくあるお話です。

Aさんの分譲マンションは10万円の家賃査定結果が出たが、
Aさんは11万円で借りてくれたらラッキー、と思って11万円で募集を始めた。
ところが、なかなか決まらない。
あと1ヶ月待ってみよう、あと1ヶ月待ってみようと繰り返し、
6ヶ月後に10万円に下げたら、すぐに決まった!

これが、よくあるお話なんです。

借主が何年住むかはこの時点では分かりませんが、仮に3年住んだとしたら、
①11万円で貸し出した場合
11万円×12ヶ月×3年=396万円
②10万円で貸し出した場合
10万円×12ヶ月×3年=360万円
その差額は36万円です。

もし、Aさんが11万円じゃ決まらない、とすぐに判断して10万円で募集をして
2ヶ月目に決まっていたかもしれません。
この場合、Aさんは判断を遅らせた5ヶ月分の家賃を損失していることになります。
その損失額は、
10万円×5ヶ月=50万円

・・・私の言いたいことが伝わりましたでしょうか?色んなケースを想定して、迅速で的確な判断が失敗しないためのキモですね!

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生山 亨

あなぶきハウジングサービス :生山 亨(いくやま こう)
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・総務業務を経験。長年やってきた賃貸業務、中でも特に空室の改善、対策は得意分野です。現在は、あなぶきスペースシェアにおいて宿泊事業・マンスリー事業を行っています。

保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者
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