こんにちは!あなぶきハウジングサービスバイオエナジー事業所の竹中です。
弊社が取り組むバイオエナジー事業では、産業廃棄物の焼酎廃液(粕)と規格外のサツマイモを活用し、新たな資源として、エタノール燃料(バイオマス燃料)と土壌改良材(農業用資材)を製造しており、これまで原料となる焼酎廃液(粕)やサツマイモについてご紹介いたしました。
今回は、これらの原料を基に製造する製品(リサイクルにより再資源化された商品)として、本事業の象徴的な製品となるエタノール燃料(バイオマス燃料)についてご紹介いたします。
目次
1.はじめに
2.バイオ(マス)燃料の歴史
3.バイオ(マス)燃料の種類
4.バイオエタノール(エタノール燃料)
5.さいごに
1.はじめに
私ども事業所で製造するエタノール燃料(バイオエタノール)は、バイオマス燃料に分類されますが、このバイオマス燃料とは? エタノール燃料とは? についてご紹介させていただきます。
そもそも、バイオマス燃料のバイオマスとは、動植物から生まれた再生可能エネルギーの一つで、Bio(バイオ:生物)とMass(マス:質量)を組み合わせた造語です。
また、似た言葉でバイオ燃料もありますが、『生物由来の有機物で再生可能な資源を原料として得られる燃料』として、両者は同様のものとしてバイオ(マス)燃料として考えていただければ良いかと思います。
これまで、燃料の代表格として化石燃料(石炭や石油等)が使用し続けられておりますが、大量の二酸化炭素を排出するため、地球温暖化の一因になっております。
これに対して、バイオ(マス)燃料は動植物を原料としているため、大気中の二酸化炭素を増やすことはありません。大気中の二酸化炭素の増減はゼロであるという考え方から、『カーボンニュートラル』と呼ばれており、「環境経営」や「CSR経営」を行いたい企業や、地球温暖化の抑制を推進する自治体から大きな注目を集めています。
二酸化炭素を多く排出する「化石燃料」と比べ、「地球にやさしいエネルギー」として、現在、世界各地で活用されております。
2.バイオ(マス)燃料の歴史
バイオ燃料とは、近年の技術と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、人類が化石燃料を発見し活用するまで、バイオ燃料のみだったと言えます。
例えば、時代劇で見かける提灯(ちょうちん)や行灯(あんどう)は、物油(アブラナ科の植物)や、ミツロウ(蜂の巣)、虫ろう(虫の分泌物)などを利用しており、私たちの祖先は、身近で得られる自然界のエネルギーを借りながら、知恵を使い生活を豊かにして来ました。
近代におけるバイオ燃料は、1970年代の石油ショックにより石油代替としてバイオエタノールの開発が始まり、1997年のCOP3(京都)での京都議定書合意後に、温暖化対策としてバイオ燃料が注目され、2000年以降、急激にバイオエタノールを中心にその消費量が伸びてきました。
また、生産量においても、1980年頃における生産量はほぼゼロに近い生産量であったと言われており、ここ約40年で約60倍を超え現在も更に増え続けております。
3.バイオ(マス)燃料の種類
ここでは、代表的なバイオ燃料についてご紹介いたします。
①バイオエタノール(液体)
最も普及しているバイオ燃料の一つであり、作物に含まれる糖分を微生物の働きによって発酵し蒸留して精製されます。
原料としては、サトウキビ、トウモロコシ、キャッサバ、ジャガイモ、サツマイモ、ムギ、タピオカ、テンサイ、アブラヤシ、ナタネ、ダイズ油などです。
私ども事業所にて製造するバイオ燃料も、このバイオエタノールに該当し、焼酎廃液(粕)にサツマイモを加え再発酵する手法にて製造しており、このバイオエタノールを工場ボイラー燃料として使用することで、A重油を使用する場合に比べ、年間32tのCO2が削減されております。
②バイオディーゼル(BDF)(液体)
バイオエタノールに並んで、汎用性が高く普及しております。化学処理により、原料からグリセリンを除いたうえで精製されます。
原料としては、菜種油、パーム油、オリーブ油、ひまわり油、ダイズ油、コメ油、大麻油、魚・豚・牛油、食用廃棄油などです。
③バイオジェット燃料(液体)
化学処理により、油成分を精製することで製造されます。
原料としては、ナンヨウアブラギリ、藻類、食用廃棄油などです。
④バイオガス(気体)
廃棄物を微生物(メタン菌)など用いて発酵させて製造されます。
原料としては、生ごみ、下水汚泥、家畜糞尿、有機肥料、汚水などです。
⑤バイオコークス(固体)
石炭を高温で蒸し焼きにした後に残る炭素部分のことで、高温環境下での長時間燃焼できます。
原料としては、石炭、木質ペレット、木チップなどです。
4.バイオエタノール(エタノール燃料)
世界では年間約1,130億リットル(2022年)のバイオエタノールが製造されており、石油の年間生産量は4.5兆リットルとなりますので、石油の約2.5%程度となります。石油は世界各地で採掘されているのに対して、バイオエタノールは特定の地域で製造されているのを考えると、大量に製造されていることが理解いただけるかと思います。
特に生産量の多い国としては、アメリカとブラジルであり、この2国で全体の約80%を占めており、原料としてはトウモロコシ(デンプン質原料)とサトウキビ(糖質原料)の2品目で、全体の約85%を製造しております。
一方、これらの原料(農作物)は、本来食用として栽培されたものをバイオエタノールの原料に転用された経緯もあり、穀物高騰や食料不足といった問題を加速させ、原料の生産拡大による森林伐採等も懸念されております。
その他にも、化石燃料よりも製造プロセスが多く、更にバイオ燃料の原料を工場へ運搬するコストも発生するため、結果的に燃料コストが高くなってしまうなどの課題があります。
現在、ブラジルにてサトウキビから製造するバイオエタノールが、唯一ガソリンと競合できる価格で製造されていると言われております。
なお、私どもが製造するバイオエタノールは、廃棄物として処分される予定の焼酎廃液(粕)やサツマイモを原料として製造しており、本来の意味で『地球にやさしいエネルギー』と言えるものの、生産能力や生産効率の面で、海外で製造されるバイオエタノール以上に、製造コストの面での課題が山積しております。
5.さいごに
今回、わたくしども事業所にて製造しておりますバイオエタノール(バイオ燃料)についてご紹介致しました。
これらバイオ燃料につきましては、自然環境の破壊(地球温暖化)といった課題解決に向けた取り組みであることもご理解いただけたかと思います。
次回は、私どもの工場にて製造されるもう一つの商品となる土壌改良材(肥料を含む)についてご紹介する予定です。
引き続き、よろしくお願いいたします。
竹中和幸
竹中 和幸(たけなか かずゆき)
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て、2023年より出身地である宮崎(日南市)にて、焼酎廃液(焼酎製造過程で排出される蒸留粕)の再生利用(資源の有効活用)に取り組んでおります。
保有資格:宅地建物取引士・管理業務主任者
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