あなぶきハウジングサービスの飯野です。
今回は、分譲マンションの各お部屋に水を送る給水管について説明します。
分譲マンションの給水管は共用部と専有部に分かれており、共用部については、更新工事で多額の費用が発生するため、管理組合で資金に無理の生じない修繕計画を立てる必要があります。
しかし、マンション給水管の劣化の程度は、給水管の材質や使用箇所、水質などによって異なり、修繕周期にはかなりの幅があります。
マンション給水管に使用される管の材質は、ここでは紹介しきれない程たくさんの種類がありますが、ここでは一般的なマンションの共用部に使用されているものについて紹介します。
目次
- 水配管用亜鉛めっき鋼管とは
- 水道用硬質塩ビライニング鋼管とは
- ステンレス鋼管とは
- まとめ
水配管用亜鉛めっき鋼管とは
昭和30年~40年代までマンション給水管の主流として使われてきた水道管です。水道水の塩素消毒や水温などにより、亜鉛が溶けだし白水となり亜鉛がはがれ、鉄部が露出し錆こぶを管内部に形成するため、赤水が発生し、築15年~20年程度が更新の時期となります。また、更生工事を行っていたとしても、工事実施後、10年~15年程度が更新時期となります。
水道用硬質塩ビライニング鋼管とは
昭和40年代から水配管用亜鉛めっき鋼管から代わって使用されたのが、水道用硬質塩ビライニング鋼管です。亜鉛の溶けだしや配管腐食の心配がないとのことで、使用されてきましたが、配管の継手部は亜鉛めっき継手を使用していたため、継手部での腐食は発生しています。その後継手部にはさまざまな改良が加えられて、昭和60年代から管端防食継手が開発され、ようやく錆発生の問題が解消されました。この防食継手が使用されているマンションは30年~40年程度、使用されていないマンションは20年~30年程度が更新時期の目安となります。
ステンレス鋼管とは
今まで紹介したマンション給水管の中で最も高額で、もっとも耐用年数が長い給水管です。一番弱いとされる継手部の寿命も40年以上とされており、水温25℃前後の常温であれば100年もつとも言われています。
材質は最も高額なものですが、配管工事の施工性が良く、先にご紹介した「水道用硬質塩ビライニング鋼管」よりも作業が早く進むため、工事費用は「水道用硬質塩ビライニング鋼管」を使用した場合と大きく変わりません。
気になる方は、是非2種類の見積を取得してみてください。
まとめ
本日はマンション給水管の種類と寿命についてお伝えしました。ステンレス鋼管が新築マンションに使用され始めたのは最近のため、多くのマンションが「水道用硬質塩ビライニング鋼管」となり、築20年~30年ごろには、給水管更新工事を検討しなければなりません。
マンションで給水管を新設する場合、既存の場所に新規の配管が納まればいいのですが、そうでない場合は共用廊下に配管を露出する方法と取らざるを得ない場合もあり、その際は美観性を大きく損ないます。
マンション給水管は延命措置を行う事により、紹介した寿命を延ばすこともできるので、併せて検討してください。
次回はマンションの給水管延命についてご紹介します。
飯野琢磨
前職では大工や建築積算を経験。入社後、マンション修繕工事のコンサル業務、分譲マンションのリプレイス営業、分譲マンションのフロントを経験。
マンション管理のことについてはもちろんのこと、リフォームやリプレイスなどさまざまな視点から幅広い情報を提供します。
所有資格:一級建築士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士
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