あなぶきハウジングサービスの松井です。
今回は電子ブレーカーを使用してマンション共用部の電気料金を削減する方法をご紹介します。
お客様からのご質問が多い電気料金の削減において比較的簡単に削減できるのが電子ブレーカーの導入なのですが、仕組みが分かりづらいと言う声を聞きますので、今回は「分かりやすく」(専門的な表現を極力控えて)を意識して書いています(そのため、細かい料金計算等は省略していますのでご了承ください)。
目次
- マンション共用部の電気料金について
- 電子ブレーカーって何?
- 電子ブレーカーで電気料金が削減される仕組み
- 導入までの流れ
- 買取とレンタルについて
- 注意事項
- まとめ
※2016年3月31日に公開した記事を、2018年11月8日に修正して再度公開しています。
マンション共用部の電気料金について
一般的にマンション共用部の電気料金には大きく電灯と電力の2種類があります。
電灯(従量電灯C):廊下や階段の照明を点灯させる電力
動力(低圧電力) :エレベーターやポンプを動かす電力
電子ブレーカーではこの「動力」に関して削減をはかるものです。
そしてもう一つ、ほとんどのマンションでは電力会社と「負荷設備契約」という契約を締結しているのですが、電子ブレーカーを導入するためには、契約方法を「主開閉器契約」(ブレーカー契約)に変更することが必要となります。
電子ブレーカーって何?
皆さんも自宅にブレーカーが付いているのを見たことがあると思います。私もドライヤーとエアコンと電子レンジを同時に使って、よく家のブレーカーを落としています。そうです、家庭用の一般的なブレーカーは許容範囲以上の電流が流れると、配線等を守るために電流を遮断するんです(いわゆるブレーカーが落ちます)。50アンペアのブレーカーでは、51アンペア以上になるとブレーカーが遮断されてしまいます。
一方電子ブレーカーは電流値をコンピューターで制御しており、許容範囲以上の電流が流れてもJIS規格の許容範囲内の時間内は遮断せずに作動します。50アンペアの電子ブレーカーで51アンペアを超える電流が流れても、一定時間は遮断されません。
電子ブレーカーで電気料金が削減される仕組み
それではどうして電子ブレーカーを設置すると電気料金が下がるのでしょうか?結論から言うと、基本料金が下がるからです。基本料金を下げる仕組みについてご説明します。ポイントは「電子ブレーカーは許容範囲以上の電流が流れても一定時間は遮断されない」です。
<Aマンションの例>動力として、エレベーターとポンプがある
現状(負荷設備契約)
・エレベーター 6.5KW
・ポンプ2台 1.1KW
・合 計 7.6KW → 9KWの負荷設備契約をしている
まず、エレベーターとポンプ2台が同時に稼動した場合の最大KWが何秒間続くか調査します。
調査結果
・エレベーター 90秒(90秒以内には必ず一旦、どこかの階に着床して止まる)
・ポンプ 常時
① Aマンションで最大7.6KWの電流が流れるのは、MAXで90秒間+α
② 7.6KWの電流が90秒間以上流れても遮断しない電子ブレーカーはあるか?
。→安全率を考慮して、4KWの電子ブレーカーに交換しても対応できる(この時間であれば遮断しない)
③ 上記①②から、4KWの電子ブレーカーを設置し、主開閉器契約へ変更する
導入までの流れ
まずは専門会社を通じて電気料金明細の確認や現地調査をおこない、提案書を提出してもらうことになります。マンション管理会社で取り扱いをしている会社も多いので、管理会社の担当者へ確認してみるのが良いでしょう。
なお、電子ブレーカーを導入しても必ずメリットがあるわけではありません。導入費用と削減効果を比較検討した結果、メリットがあると判断できる場合に限られます。
理事会でメリットがあると判断した場合には、総会に議案を提起して承認を得ることで晴れて導入となります。
買取とレンタルについて
電子ブレーカーを導入する場合、買取とレンタルの2パターンがあります。メーカーからは買取することになりますが、管理会社等が取り扱っている場合にはレンタルをしていることもあります。資金に余裕がある場合には買取の方が安価ですが、レンタルでも電気料金が安くなるケースが多いので、メリットがある場合はまとまった資金が無くても導入可能です。
注意事項
電子ブレーカーの導入には工事が必要です。通常工事では30分から1時間程度動力が停電しますので、エレベーターやポンプが使えない時間が発生します。
また、電子ブレーカーは機械なので将来の交換費用も考えなくてはなりません。仮に10年使用するとして、削減額がいくらになるかシミュレーションしておけば良いでしょう。
まとめ
電子ブレーカーを導入することができれば電気料金は確実に下がります(基本料金が下がりますので、使用量にかかわらず削減できます)。しかし導入には費用が必要ですので、導入費用と削減金額を比較すると共に、時間の要素も取り入れて検討してみてください。
松井 久弥
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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