最近、自主管理のマンションにお住まいの方からのご相談が増えてきました。
ということで、今回は自主管理のマンションにお住まいの方に読んでいただきたい、「自主管理とマンション管理会社委託の違い」についてご紹介します。
この記事は、2018年2月6日に公開した記事を修正し、2019年8月14日に再公開しています。
目次
- 今、自主管理しているマンションってどれくらいあるの?
- 自主管理の良い部分と困る部分
- マンション管理会社に委託すると、どこが変わるの?
- いくつあてはまる?自主管理マンションの「あるある」
今、自主管理しているマンションってどれくらいあるの?
日本全国に約600万戸あるマンションは、一体どのような管理運営をしているのでしょうか。
調べてみたところ、現在自主管理をしているマンションは1.9%、なんと92.4%は管理会社に委託をしているという結果が分かりました。
(国土交通省 平成25年度マンション総合管理より)
グラフから見てもわかるように昭和49年頃に竣工したマンション(築40年程度)では管理委託が63.1%、自主管理が27%ですが、近年に至ってはほとんどのマンションが管理委託をしているという状況になっています。
マンションが建ち始めた頃はマンション管理会社という存在自体もまだまだ少なかったこともあり、自主管理の割合も多いですね。
しかし管理会社へ委託とはいってもこの頃はマンションを管理運営するにあたって法律等が定められているわけではありませんでした。
そこからマンションを管理運営していくにあたって、昭和57年に「中高層共同住宅標準管理規約」(←マンション標準管理規約の前身)が普及・浸透し、平成12年に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(通称:マンション管理適正化法)が定められたこともあり、法の改正に伴い専門的な知識も必要になってきました。
マンションという大きな資産を、何十年にもわたって適切かつ継続的に維持管理していくためには、専門的な知識と経験をもとに、相当の労力が必要となります。住人のボランティアではなく、プロの管理会社への委託割合が増えたのは当然の流れであったのかもしれません。
自主管理の良い部分と困る部分
自主管理をしているマンションの割合が減ったからといって、”自主管理が悪い”というわけではありません。自主管理ならではの良い部分はたくさんあります。
私がご相談いただいた自主管理マンションの方々には共通して、「自分たちで運営していこう!」という管理組合員の主体性を感じました。
「隣に住んでいる人と話したことがない」等マンションの中で近隣の方とのお付き合いが薄れつつある昨今、「マンションに住んでいる人全員の名前を知っている」という親密な付き合いができたり、「マンションにどんな設備があるのか全て把握している」という管理運営意識が持てたりするのは“自主管理ならではの良さ”ではないでしょうか。
良い部分
1、管理費用が安い
2、主体性のある運営(居住者の意識が高い)
良い部分がある一方で、自主管理ゆえに困っている…というご相談内容で多く挙げられるのが下記の3つです。
困る部分
1、高齢化による継続性の難しさ(役員の成り手不足)
2、量的・時間的な負担と責任
3、最新の知識や情報を入手しにくい
この記事を読んでいる特に自主管理マンションの役員さんは、「うんうん」と頷いている方も多いのではないでしょうか!?
マンション管理会社に委託すると、どこが変わるの?
管理会社に委託すると管理組合様の業務が下図のように大幅に軽減されます。
特に自主管理で会計担当をされている役員さんは毎月の支払や記帳など組合業務に時間を取られているのではないでしょうか?
そのほかにも、工事見積を取得する際に「どこの業者に頼んだらいいの?」「相場はいくら?」…、設備異常が発生した際には夜間・休日でも住人が対応している…、と頭を悩ませていませんか?
マンション管理会社ではこれらの業務をサポートしてくれます。
しかしマンション管理会社へ委託したとしても管理組合の主体はあくまでも”組合員の皆さま”です。
自主管理の時と同様に理事会・総会へご出席いただき、マンション管理会社と一緒にマンションの管理運営に取り組んでいただきます。
(何もしなくていい!ということにはなりませんのでご注意を…)
委託する際の3つのポイント
「マンション管理会社に相談してみようかな」、そう思われた方は下記3つのポイントを押さえることをおススメします!
①自主管理であり続ける良い部分と困る部分を書き出してみる
→困る部分が良い部分よりも多いようであれば管理会社へ委託する時期なのかもしれません。
②管理会社3~5社へ相談してみる
→マンションにそれぞれ特徴があるように管理会社にも特徴があります。
自分たちのマンションに合った管理会社を見つけるためにも、最低でも3社には相談してみましょう。
③収支シミュレーションをしてみる
→管理委託した場合、管理組合の収支はどのようになるでしょうか。
支出が増えてしまった場合でも費用削減ばかりに目を向けず、現在の負担と費用を天秤にかけてみてください。
いくつあてはまる?自主管理マンションの「困ったあるある」
☑固定の人たちの間で役員(役割)がグルグル回っている
☑理事会・総会以外でマンションの運営業務に時間を取られてしまう
☑管理規約はあるが規約通りに運営できていない ☑マンション標準管理規約を活用し自分たちのマンションに合った管理規約の制定をしていない
☑マンションの竣工図や資料等管理組合で保管状況を把握していない
☑未収金の督促や緊急時対応を住人自らが実施している
いかがでしたか?「困ったあるある」がいくつも当てはまった方は、一度マンション管理会社へ委託することを検討する時期なのかもしれません。
松井 久弥
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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