理事長選任が困難なマンションで第三者管理方式を導入する際のポイント①

松井 久弥 松井 久弥

こんにちは。あなぶきハウジングサービスの松井です。

さっそくですが、分譲マンションの管理組合では、管理者である理事長を選任して管理運営をおこなうことが定められていますが、中には、事情により理事長が選任できないマンションもあります。例えば、投資用ワンルームマンションやリゾートマンション等で実住者がいない、高齢者が多く役員の成り手が居ない等の事例です。

今回は2回にわたって、マンションの管理組合役員を区分所有者以外の第三者がおこなう「第三者管理方式」についてご紹介します。

理事長選任が困難なマンションで[1]

目次

  • 第三者管理方式が検討された背景
  • 第三者管理方式とは?
  • どのようなマンションが対象となるのか?
  • 第三者として委託する相手は?
  • まとめ

 

第三者管理方式が検討された背景

国土交通省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000013.html)の報告書によると、専門家を活用する第三者管理方式を検討した背景として、下記のようなことが挙げられます。

◆高度経済成長期の頃より大量供給されたマンションの高経年化が進行するとともに、自主管理マンションや小規模マンションにおいて、区分所有者の高齢化や賃貸化・空室化が進んだ結果、計画的な大規模修繕や老朽化等により臨時に発生する費用、耐震改修や建替えなど、専門性や多額の費用が必要な事項が増加した。

◆一方、管理組合(区分所有者)は、役員のなり手不足、管理費や修繕積立金の収支悪化、不適切な役員の長期継続による管理の混乱や内部対立等の問題を抱えつつ、困難な合意形成および執行(資金確保や工事等の実施)をしなければならない事態が顕著化してきた

◆こうした背景から、マンション管理業者やマンション管理士が理事会に代わって管理者になる管理方式や、一部の管理組合連合会のように専門家を役員に派遣する方式など、外部の専門家をコンサル・顧問等ではなく、管理組合の役員として活用するケースが出てきた

◆しかし、外部の専門家を管理組合の役員等に登用する場合には、適正な監督や利益相反取引の防止など、所要のルールの整備が必要となる

◆以上のことから、「管理組合あるいは区分所有者が、個々のマンションの実情に応じつつ居住資産価値の最大化を図れるよう、多様なマンション管理方式を適時かつ安心して選択できる仕組みを提供する」という観点から、外部の専門家を活用した管理方式について国が検討を続けてきた

 

第三者管理方式とは?

従来までは、標準管理規約において、マンション管理組合の役員は「現に居住する区分所有者」に限定されてきましたが、役員のなり手不足も背景にあり、平成23年の標準管理規約改正において、現住要件(居住している区分所有者に限定)が撤廃されました。そして遂に、平成28年の改正において、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」として、標準管理規約に条文案が記載されました。

これまで区分所有者に限定されていたマンション管理組合の役員を、外部専門家が就任できるように見直されたのですが、これは誰でも役員に就任できるということではなく、主旨としては、「より適正なマンション管理を行うため、個々のマンションの事情を考慮し、必要に応じて、選択的に導入する方式である」と言えます。

また、標準管理規約では、第三者管理方式について、3つのパターンが想定されていますので、マンション管理組合の事情に応じてどのパターンが望ましいか選択することになります。

<第三者管理方式の3つのパターン>

理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型

役員の一部(理事長、副理事長、理事又は監事等)に外部の専門家が就任するパターン

理事会の構成員として、区分所有者である他の役員と共に管理組合の執行をおこなう

外部管理者理事会監督型

外部の専門家を管理者(理事長)として選任し、理事会は監事的立場となり外部管理者を監視するパターン

監視する立場の理事会の役員に、さらに別の外部専門家を選任することも考えられる

外部管理者総会監督型

外部の専門家を管理者(理事長)として選任し、理事会は設けないパターン

区分所有者からは監事を選任して監視するとともに、監査法人等の外部監査を義務づける

 

全てのパターンにおいて最終的な意思決定機関は総会であり、その役割は重要となります。

 

どのようなマンションが対象となるのか?

第三者管理方式を採用するマンションについて、具体的な事例をご紹介します。

<投資型ワンルームマンションやリゾートマンションの事例>

居住している区分所有者がおらず、また居住地も遠方(全国各地に居住)であるため、役員のなり手がいないだけでなく、理事会や総会を開催しても、出席者がほとんどいないようなマンション

<高齢者が多いマンションの事例>

築年数が経過して、修繕や耐震改修、資金計画等の大きな問題が顕著化してきたが、区分所有者の高齢化が進み、実質的に区分所有者だけでは検討が出来ないマンション。自主管理で比較的多い。

<賃貸化・空室化が多いマンションの事例>

賃貸率・空室率が高く、現に居住する区分所有者が少ないため、役員のなり手が固定化されており、一部の区分所有者に大きな負担がかかっているマンション。

 

第三者として委託する相手は?

第三者を役員として選任するマンションでは、「役員のなり手不足」と「専門的知識が必要な課題を抱えている」、という2つの問題が想定されます。特に専門的知識を有する者としては、そのマンションが抱えている課題に応じて選択的に検討していくことになると思います。

以下は、一般的に想定される外部専門家の例です。

・マンション管理会社

・マンション管理士

・NOP法人等のマンション管理組合連合会

・弁護士、税理士、司法書士、建築士などの専門家

 

まとめ

今回は第三者管理方式の概要についてご紹介しました。第三者管理方式を検討するポイントは、「大原則として区分所有者が管理組合の運営主体である」ということです。区分所有者全員の代表である理事会メンバー(役員)は、可能な限り区分所有者が務めて、所有者の意思を管理組合の運営に反映していくことが求められます。

一方で、居住資産価値の維持・向上の観点では、必要に応じて専門家のサポートを受けることも重要となり、さらに役員のなり手不足や大きな課題を解決するために、外部専門家を役員に入れて運営していく第三者管理方式も選択肢の一つであるということです。

次回は、第三者管理方式を実際に導入する場合の手続きやメリット・デメリット等についてご紹介します。

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松井 久弥

松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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