こんにちは!あなぶきハウジングサービスの濱崎です。
幼いころから落ち着きのない性格が幸い(災い?)してか、新しくオープンしたお店を見かけるとつい訪れてしまいます。主として飲食店が多いのですが、これまでになかったメニューや内装に触れることで、自分自身としても刺激を受けることが多々あります。もちろん、古き良き時代のものを大切にする精神も持ち合わせてますが。
そんな、なんでも新しいものに興味を示す人たちのことを、熊本では「ワサモン」と呼ぶそうです。
熊本での勤務が長くなった私も、「シン・ワサモン」といえるかも知れません。
さて、分譲マンションにお住いの皆様にとっては、規約や細則というものが存在します。
マンションという共同住宅において、皆が好き勝手に生活していると、必ずと言っていいほどトラブルとなってしまいます。
そのため、国土交通省では、マンションの基本的なルールとなる、「マンション標準管理規約」を定めており、時代に即した内容を取り入れた内容に随時バージョンアップされています。
例えば平成28年6月には、住宅宿泊事業法が成立したことを踏まえ、分譲マンションでの民泊の可否を示す規定を追加したり、その前の平成23年7月には、管理組合の役員のなり手不足の実態を背景に制定された「役員の資格要件の緩和(現住要件の撤廃)」といった規約の条文を追加したりしています。
そんなマンションのルールブックの基礎となる「マンション標準管理規約」ですが、直近では令和3年(2021年)6月に改定が行われました。
管理規約を変えるには?
各マンションに存在する管理規約。マンションの管理規約は、マンション管理組合ごとに制定されていますが、条文の追加や文言の削除等の管理規約の改正には、特別決議(区分所有者数および議決権数の各4分の3以上の賛成で可決)が必要です。
通常、総会の決議は普通決議(原則として、「区分所有者の過半数」および「議決権の過半数」の賛成で可決)で決することが多いのですが、管理規約改正にはより高いハードルを設定していると言えます。
マンション標準管理規約令和3年改正のポイント解説!
それでは、直近で改正されたマンション標準管理規約では、どのような内容が改正されたのでしょうか。先ほど申し上げたように、管理規約は時代を映す鏡のような存在でもあります。そのため、社会情勢を反映した内容が取り入れられています。
ITを活用した総会・理事会について
令和3年6月の改正において一番のポイントといえるのは、「ITを活用した総会・理事会」が認められたことでしょう。ITを活用した総会・理事会とは、会議用アプリ等のWEBシステムを介して、自宅や職場等、違う場所に居ながら理事会に参加できることを認める規定を追加しました(WEB会議システム等)。
背景として、インターネット環境の社会的普及が進んでいることといった「ハード面」と、理事会や総会の出席者がままならず、会が成立しないケースが増加してきたことを踏まえた「ソフト面」の両面をカバーできることとなります。
オンラインでの総会については、オンラインでの出席を認めることで、出席者の確保につながることから、議決権行使書、委任状の不足による総会不成立を未然に防ぐことが可能となります。
オンライン会合に関連しては、年に一度、マンションの管理者(一般的には理事長とすることが多いです)へ行う「管理事務報告」や、管理会社との委託契約に際しての「重要事項説明」においても、WEB会議システムを活用して行うことが有効と認められております。
オンラインによる総会のメリット
ではオンラインでの総会を実施するメリットはどのようなものがあるでしょうか。具体的には以下のような内容が挙げられます。
①「3密」の解消につながる。
②区分所有者の利便性向上、出席機会の拡大につながる。
③外部会場を使用する管理組合にとっては、経費削減につながる。
①については、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、総会や理事会会場での会合はリスクが伴います。そのため、オンラインでの会合によって、リスクが軽減できるものと考えられます。
②については、マンションの外で開催される総会等の場合、どうしても赴く「手間」がかかってしまいます。オンラインでの会合では、ご自宅や職場等から参加が可能となるため、赴く手間が省ける、また簡単にアクセス可能なことから、一度出席してみようかといった、出席促進の面でも効果があると考えられます。
③については、主として外部会場を借りる場合を想定しておりますが、公民館やコミュニティセンター、ホテル等の集会場の使用料がいらなくなることから、必然的にコスト削減が可能となります。
オンラインによる総会のデメリット
一方、オンライン総会を開催するにあたり、デメリットも存在します。具体的には、以下のような内容が挙げられます。
①区分所有者になりすまして、第三者が総会に出席するリスクがあること。
②通信手段に不具合が発生した場合、総会進行が困難となるおそれがあること。
③区分所有者間の「IT格差」が懸念される(ITの利用に慣れていない区分所有者など)
①については、日ごろ顔を合わす機会がなく、実際の区分所有者かどうか判別できないことを悪用して、管理組合にとって有益にならないことを行われてしまうことが想定されます。
②については、インターネット環境が安定しない場合や通信障害が発生した場合、議事進行が困難となることを想定しています。
③については、先にお話したように、ITに疎い区分所有者には対応に苦慮されてしまうことが考えられます。
オンライン理事会の推奨
「ITを活用した総会・理事会」に関して言えば、私どもあなぶきハウジングサービスでは、リモートでの会合、「オンライン理事会」「オンライン総会」の開催を推奨しております。
こちらについては、実際にご提案させていただいた席上、理事会役員の方からも様々なご意見がございます。「オンラインでのインフラが整っていない」「実際に会って会合を行いたい」「機械操作が不安」等々…。
オンライン理事会に関しては、私たちはあくまで「ワンオブゼム」での活用をご提案差し上げております。利便性・出席率の向上につながり、また理事会会場(リアル)とオンラインを併用した「ハイブリッド理事会」も実施することが可能ですので、一度皆様の管理組合でもお試しされてはいかがでしょうか。
ただし、「オンライン総会」については、事前に管理規約の改定を行う必要がございますので、先ずは規約の改定に関する総会上程案を併せてご提案差し上げております。
ちなみにこの「オンライン総会」「オンライン理事会」という名称、あなぶきハウジングサービスの登録商標なんです。私も名称を検討する際に意見を述べる機会がありましたが(腹案は違いました…)、広く皆様に浸透が出来、しっくり来る名称だと思います。
「置き配」を認める際の留意事項について
自宅前に設置した梱包材に届けてくれる「置き配」、食材等で活用されている方も多いかと思います。最新版の標準管理規約では、実際に利用者が増加している、またマンション内のトラブルの発生などの社会情勢を踏まえ、置き配を認める際のルールを使用細則で定める規定が記載されてます。
専有部分配管の修繕費負担について
共用部分と専有部分の配管を一体的に工事する場合、これまでは、管理組合による支出なのか、個人負担となるのか、費用負担に関する文言がなかったり、また明確にされていない場合があったことから、修繕積立金から工事を捻出することを想定して新たに規定されました。
管理計画認定及び要除却認定申請
2022年4月より国土交通省からマンション管理適正化法に基づく『マンション管理計画認定制度』が施行されておりますが、その内容に沿った内容を総会承認事項としてあらかじめ明文化したものです。
こちらについては、私のブログにも記載しておりますので、お時間のある方はご覧ください。
チョーケイ、準備OK?~マンションの未来予想図、長期修繕計画~ | もっとわくわくマンションライフ|マンションライフのお役立ち情報 (anabuki-m.jp)
その他
他には、改元に伴う記載の適正化、書面・押印主義の見直しであったり、近年の最高裁判決に伴うものが改正されました。また、マンション内における感染症の感染拡大が高い場合等の対応についても記載されております。
なお、改正後の管理規約については、以下のページよりご確認いただけます。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001417732.pdf
まとめ
いかがでしたでしょうか。令和3年度改正のマンション標準管理規約について、少しはご理解いただけたなら幸いです。
冒頭でもお話ししましたように、マンション標準管理規約は、時代とともに変化をしてまいります。ご自身がお住いのマンションの管理規約を一度見直し、時代に即した内容に改定することも、充実したマンションライフを送るための要因といえます。
また、管理規約の改定には時間や専門的知識も必要です。そのために、皆様にとってよりよい管理規約を作成いただけるよう、私共はお手伝いさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
濱崎修一
濱崎 修一(はまざき しゅういち)
香川県高松市出身。
メーカー、人材サービス業の営業を経て、2010年入社。
入社以来、分譲管理部門に一貫して従事、四国(松山)、中国(山口)、そして2016年の熊本地震直後より九州・熊本にて赴任しました。
現在は、数十年ぶりの関西(西神戸支店)にて勤務しております。
様々なご入居者様との交流を通じて、自分自身日々成長を感じながら業務を行っています。
これからもマンションにお住いの皆様にとって、日々の住生活がより豊かになるよう、「しあわせ『感』理」の情報発信を行っていければと思います。
保有資格:管理業務主任者
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