こんにちは。元気いっぱい夢いっぱい。あなぶき建設工業の西口です。
人生常に発見の連続、そして日々勉強。
マンション・ビル等の新築・大規模修繕工事の現場監督を経て、現在は建設統括本部という部署で各現場の安全、品質検査等の業務を行っております。
現場でのお客様との関わりを大切にして、日々の業務に努めております。
そんな業務の中での発見や気づきなどを発信し、
少しでもブログ読者の皆様に有益な情報がお届けできれば幸いです。
本記事では、主にマンション管理組合様・マンションオーナー様向けにブログを書いていこうと思います。特に大規模修繕工事など工事に関わる内容を中心に管理組合様に向けてブログを発信していきます。
今回は、建物の『耐震・制振・免震構造の違いと特徴』についてご紹介いたします。その上で地震への各自の備えを見直すきっかけになればと思います。
それではまず、建物の3つの構造形式『耐震・制振・免震構造の違いと特徴』についてご説明いたします。
『耐震構造』とは?
『耐震構造』とは、建物の骨組みである柱や梁などを太く頑丈に強化して、地震の揺れに耐えるよう設計した構造のことを言います。
耐震構造では、地震の揺れを直接受けるので、制振構造や免震構造に比べて揺れは激しいと言えます。
揺れのイメージは、中低層でガタガタと揺れ、高層・超高層など固有周期(建物の揺れが一往復する時間の事)が長い建物ではゆっくり大きく、撓る(しなる)ように長い揺れが続きます。
耐震構造は制振部材(装置)や免震部材・免震ピットが不要な為、3つの構造形式の中で最も建設コストを抑えることが可能です。コストに応じて耐震箇所を設定することもできます。
主に中低層から高層のマンションなどで採用されています。
『制振構造』とは?
『制振構造』とは、制振部材により、地震のエネルギーを吸収して揺れを低減するよう設計した構造のことを言います。
制振構造では、揺れを吸収する為の制振部材(ダンパー等)を各階に配置します。配置された制振部材は地震エネルギーを吸収することで揺れを低減し、構造体の損傷を低減、防止します。
耐震構造に比べて地震時の揺れを抑制でき、上階に行くほどより揺れを抑えることができます。
コストイメージは耐震構造と免震構造の間に位置します。
特に高層マンションなどの比較的に固有周期が長い高層の建物に多く採用されています。
『免震構造』とは?
『免震構造』とは、免震装置を設けて、地震の揺れを直接建物に伝えないようにすることで、主要構造部(柱・梁など)に損傷を与えないもしくは、低減するよう設計した構造のことを言います。
免震層を建物と地盤の間に設ける場合や建物の中間層に設ける場合(中間層免震)などがあります。
免震構造は免震装置(積層ゴム等の免震部材とダンパー等の制振部材の組み合わせ)により、地震エネルギーとの縁切りを行うことで、地面の揺れに対して、建物内部の揺れを軽減できます。
耐震構造や制振構造に比べ、建物の揺れを最も抑えることができます。
中低層の短周期で揺れる建物から高層の長周期で揺れる建物まで幅広く採用されています。
『まとめ』
今回、耐震・制振・免震の3つの構造形式について説明しました。
地震エネルギーに対する構造形式ごとのイメージは、耐震構造が【骨組みが耐える】構造、制振構造は【制振装置が吸収・制御する】構造、免震構造は【免震装置が縁を切り免れる】構造というイメージでしょうか。
どの構造形式にもメリットとデメリットがありますが、建物を設計する建築士の方々が、建物の建つ地盤や周辺環境、用途、コストなど様々な状況を考慮して構造形式を決定しています。
どんな構造形式でも建築基準法に基づき、人命を守るための耐震設計が行われています。建物自体の損傷は抑えることができるように設計されています。
では、お住まいの家で地震が起きた時、ご家族やご自身の身を守る対策はできていますでしょうか?
一般的にマンションは耐震構造のものが多く、耐震構造の建物は制振・免震構造の地震に対する揺れよりも大きな揺れになる恐れがあります。そんな時、家具が倒れてくる危険性はありませんか?家具の転倒防止ストッパーや引き出しロックなどの対策はしていますか?免震構造の建物にお住まいの場合は、キャスター付きの家具などの足元をロックしていますか?他にも災害用の備えは十分ですか?防災バックは常備していますか?
少し話はそれましたが、地震が多い日本だからこそ、このブログをきっかけに家具の転倒防止の見直しや防災バックの確認など、万が一に備えていただければと思います。それが、今回のブログで私がお伝えしたかったことです。
以下のリンク先より防災関係のブログも載せておりますので、そちらもぜひ参考に見ていただければ幸いです。
それではブログ読者の皆様『備えあれば憂いなし!ご安全に!』
◆外出自粛中におうちの備えの見直しを!防災のために今、家でできること
◆事前準備が大切|マンションの防災対策・防災グッズの紹介!!
◆熊本地震からマンション防災を考える③「本当に必要だった備蓄品とは<自助編>」
西口洸平
西口 洸平(にしぐち こうへい)
新築工事、大規模修繕工事の現場監督を経て、
現在は建設統括本部にて現場の後方支援を行っております。
趣味ではありませんが、好きなことは現場近くや出張先で美味しいご飯を食べることです。
ご飯を食べると思わず『ウマッ』と声に出てしまうので、会社の人によく笑われます。
経験豊富な上司や好奇心旺盛な後輩がいる会社で毎日楽しく働いております。
本ブログでは現場で培った経験等を活かし、ブログ読者の皆様に
有意義な情報発信となるよう努めて参ります。
保有資格:1級建築施工管理技士
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