マンション管理員の仕事ってどんなことをやるんだろう・・・~管理員の仕事内容~Part4

こんにちは。
ホームライフ管理の竹林です。

前回はマンション管理員自身が行う点検業務についてお話しました。

繰り返しになりますが、マンション管理員が行う業務は大きく分けると以下のとおりです。
・受付等の業務
・点検業務
・立会業務
・報告連絡業務
・日常清掃業務

今回は専門業者(パートナー企業)が行う定期清掃や設備点検の際に居住者の安心・安全・衛生を確保するために行う『立会業務』についてお話していきます。

特に設備機器の点検の立会に関して、点検業務自体はかなりの特殊性からパートナー企業の作業員が行いますので、マンション管理員はその作業中のトラブル防止に努めることとなります。

 

主な立会業務は以下のものがあります。
・ゴミ収集時の立会
・定期清掃業務の立会
・共用部分の営繕工事の立会
・諸設備の保守点検時の立会

 

まずは衛生面に関する立会業務から見ていきましょう。

 

ゴミ収集時の立会

ゴミ収集の立会は、マンション管理員にとって重要な業務になります。
ゴミは可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミなどに分別してゴミ置き場へ出してもらうこととなっていますが、自治体で決められたルールに則ってゴミ出しされていない(ゴミが混ざっている)とゴミ収集業者は持っていってくれません。
その様なことが無いようゴミ収集される前にある程度ゴミの分別する作業も行うことも必要となります。

なぜ分別ができていないか??と考えてみると各々の自治体によってごみの分別方法が違うことが多々見受けられます。
居住者の方へご理解して頂くためにもゴミ収集に関するパンフレットを、ゴミ置場又は見やすい場所に掲示して注意喚起しましょう。

また、自治体によっては、ゴミ収集に関するプレートを提供してくれるので確認してみましょう。

 

あまりにもひどい場合はルールを遵守するように管理組合様と共同で改めて繰り返し注意喚起することもあります。
自治体へ連絡してパンフレットを各戸数取り寄せ配布するのも良いでしょう。

 

収集後の後片付け状況を確認し、常に衛生を確保するように努めることが大事です。
汚れている場合は悪臭の元になりますので清掃し、清潔な状態にしておくことが大事です。
ゴミ置場を常に衛生的に管理することによって、居住者がゴミのルールを守らざるを得ない環境を維持することにつながります。

 

定期清掃業務の立会

共用廊下や階段等の共用部分の床洗浄、エントランスの硝子拭き等は、マンションの美観や衛生管理上重要であり、更にいうとワックス塗布等は建材の延命を図り、資産価値の向上に繋がる重要な業務となります。

事前に、パートナー企業に、作業日・作業予定時間(開始・終了)・作業方法を確認し、お知らせの作成を依頼、掲示板等で周知します。
なぜならば、共用部分に物を置かないよう居住者に通知しなければ、作業ができなくなってしまいますから。

また、周知していないことで定期清掃があることを居住者が知らず、いくつもの大型荷物の搬入とバッティングして定期清掃の作業の妨げ(終了時刻の遅延)になってしまったこともありました。

スムーズな作業をするためにも日時の周知は必ず行いましょう。
(後述の設備点検時も同様です)

定期清掃が始まる前はパートナー企業の作業員と作業工程や居住者への安全配慮等を確認・指示しておきましょう。
・通行人の邪魔にならないようポリシャーや高圧洗浄機のコードを散乱させない
・共用廊下からの外部への汚水飛散
・汚水が扉や巾木に飛散した場合は、タオル等で拭き取る など

床洗浄・ワックス塗布に関しては床面の乾きを確認したうえで通行してもらうなどの配慮が必要ですね。
滑って怪我をしてしまったら一大事ですから。

定期清掃作業後は作業員を伴い現場確認を行い、不良箇所があればその場で指摘し、是正してもらうこともあります。
また、不具合を担当フロントへ報告するために必要に応じて現場写真を撮っておくこともあります。

定期清掃終了後は速やかに掲示用紙を取り除きましょう。
期日が過ぎたお知らせを掲示したままだときちんと管理されていないという印象を与えてしまいます。

 

共用部分の営繕工事の立会

営繕工事とは、小規模修繕工事を指しています。
工事においてマンション管理員がどういう対応をするべきかは、定期清掃と同様に担当フロントや管理組合様に次の内容を確認し、工事に支障をきたさないようにします。

<営繕工事当日の確認事項>
・作業開始予定時間、作業完了予定時間
特に予定時間外の作業は騒音等のクレームとなるので、業者に作業時間を厳守するよう指示しておきます。
・作業方法(内容把握)
別途、居住者への配慮や通行人等の安全を第一に作業を行うよう指示します
・施工中の責任者及び苦情対応担当者

 

諸設備の保守点検時の立会

設備機器の保守点検に関しては点検業務の基本事項を知っておく必要があります。

なぜならば、設備機器等に故障が発生した際にパートナー企業へ“どのような不具合なのか”スムーズな伝達ができるためにも点検業務の概要を知っておかなければなりません。
その観点から、作業員が点検に来た際は自ら行う点検に生かせる技術や手順を学ぶ絶好の機会といえます。

また、点検立会時にパートナー企業の作業員から不具合の指摘を受けた場合は、担当フロント、管理組合役員様へ報告するとともに、改修のための見積書の作成を依頼することもあります。

では、ここからはパートナー企業の作業員がどのようなことをしているのかお話していくこととしましょう。(補足で立会時の注意点もお伝えしますね)

 

エレベーターの保守点検

エレベーターの管理では、安全が最も重要であり、居住者の安全のため、日常の巡回点検に加えて専門業者の作業立会を行い、故障や事故を未然に防止することを目的とします。

 

《保守契約》

エレーベーター保守の契約の仕方としては『フルメンテナンス契約』と『POG契約(消耗部品契約)』とがあります。
共に『点検・調整・給油』や『消耗品の交換(電球・ヒューズ・リード線・オイルなど)』は行いますが、POG契約では故障や劣化した高額な部品の交換・修理等は保守契約に含まれていないので行われません。
別途依頼することとなります。

この定期的な保守点検は昇降機の使用頻度等に応じて専門業者に行ってもらうもので、1回/月行うことが推奨されています(法定ではない)

また、1年に1回以上定期に『一級・二級建築士または昇降機等検査員』等に当該昇降機の検査を行わせ、定期検査報告書を特定行政庁へ報告する必要があります。

 

《立会時の注意点》
・点検時は停止するためお知らせの掲示は少なくとも点検日の2週間前までに行います
・人身事故防止のため、居住者が作業中のエレベーターに近づかないように配慮が必要です
・屋上にエレベーター機械室がある場合は、施・解錠に十分留意しましょう

 

消防用設備の保守点検

消防用設備の専門業者による点検は、外観点検、作動点検、機能点検を含めた総合的な点検であり、この機会に点検知識の把握・習得を図ることが重要です。
消防用設備はマンションの規模・構造等で異なりますので、その種類を把握しておきましょう。

機器点検(2回/年)
消防用設備等の種類に応じ、消防用設備等の適正な配置、損傷、機能について、告示に定める基準に従い、外観又は簡易な操作による確認

消火器具、誘導灯、誘導標識、非常コンセント設備、消防機関への通報する火災報知器、消防用水、無線通信補助設備及び共同住宅非常コンセント設備など

 

総合点検(1回/年)
消防用設備等の全部又は一部を告示に定める基準に従い、作動させ、総合的な機能の確認

屋内(外)消火栓、スプリンクラー設備、自動火災報知設備、非常警報器具・設備、連結送水管、
〔水噴射/泡/不活性ガス/ハロゲン化物/粉末〕消火設備、ガス漏れ火災警報装置 など

なお、マンションの場合では点検自体は半年や1年に1回行いますが、報告については3年に1回、消防長または消防署長に報告することになります。

《立会時の注意点》
・点検時には専有部分に入るため、お知らせの掲示は少なくとも点検日の2週間前までに行います。
・担当フロントと連携を取り、外部の区分所有者に事前に連絡をし、極力点検日に立会ってもらうよう要請しておくと良いでしょう。
・点検中に専門業者が共用部分に資機材を放置しないよう、作業前に指示をします。
・専有部分内では、専門業者がマナーを十分遵守するよう、点検前に指示をします。
・室内の点検ができなかった住戸を記録しておき、次回点検できるように当該住戸に依頼をします。

 

なお、避難梯子はベランダに設置されており、日常の外観目視点検は出来ません。そのため年2回の法定点検時にしっかり点検を行う必要があります。

また、多くの居住者は避難梯子の使い方を知らないことが多いため、法定点検の際に居住者に避難梯子の使い方を説明するよう、業者に依頼しておくことが望ましいですね。

 

自家用受変電設備の保守点検

自家用電気工作物の点検には、法定点検、月次点検の2種類があります。電気に係る作業は、感電の危険があるので、安全第一で立会業務を行いましょう。

月次点検
・外観点検
・電圧、電流測定
・漏れ電流測定

年次点検
・月次点検項目
・接地抵抗測定
・絶縁抵抗測定
・保護継電器試験

自家用受変電設備は物件によっては屋上に設置されていることも多々あります。
また、屋上に上ったときは、作業終了後は必ず屋上門扉等の施錠を忘れずに行いましょう。

受水槽・高置水槽の保守点検

受水槽・高置水槽とも居住者の飲料水用の水槽であり、他の点検作業同様、作業が衛生的に行われるように配慮する必要があります。
清掃中は一時的に断水することもありますので、その場合は断水する旨を掲示し、居住者の生活に支障のないように周知しなければなりません。

水槽清掃
・水槽内・外面、ハシゴ、ボールタップ、パネル接合部等の清掃
・消毒は2回行う

水質検査
・留塩素の含有率 遊離残留塩素・・・0.1PPM以上であること
・色度・・・5度以下であること
・濁度・・・2度以下であること
・臭気・・・異常でないこと
・味・・・・異常でないこと

設備点検
・貯水槽の内面の損傷、劣化等の状況の点検
・貯水槽の水漏れ、亀裂、錆、腐蝕の有無、マンホールの密閉、防虫網の点検
・水抜管およびオーバーブロー管の排水口空間の点検
・ボールタップ、フロートスイッチまたは電極式制御装置、満減水装置の点検
・給水ポンプの作動状況を点検する。

 

マンションによっては、受水槽および給水ポンプが地下に設置されている場合があります。
このようなマンションでの給水設備の点検・清掃業務のためには、管理室内、エントランスホール等のハッチを開けて、地下に降りることとなります。
この場合、常にハッチの周りに安全ガードで四方を囲むほか、常時監視員を配置し、居住者への安全配慮に十分注意しなければなりません。

 

機械式駐車場の保守点検

機械の作動に変調を起こさないように、点検は入念に行うよう指示すると同時に、自動車の冠水事故の防止にも十分留意し点検を行います。

             点検対象箇所
モーター・駆動部 パレット部 柱部 安全装置 電気関係 その他

作業員は以下について点検しています。
・機械を作動させ、異音・動きの状態・安全装置の作動を確認
・必要に応じて、鉄骨部へ給油、拭き清掃
・操作盤内の絶縁抵抗、ネジの増し締め
・塗装の剥がれ、発錆、破損ならびにピット内に水溜まりがないか確認
・ピット内の排水ポンプの作動状態を確認
・ピット内の枯葉堆積を除去、ビニール等のゴミの清掃

 

機械式駐車場保守点検終了の点検報告書への確認印は、マンション管理員自身で一度作動させて問題がないことを確認してから押印するなどの慎重さが必要です。

 

マンション管理員は普段から機械式駐車場の使用者に対し、下記事項について十分な取扱説明を行っておくと良いでしょう。
・入出庫時以外に、ゲートやチェーンを開け放しておかないこと。
・昇降ボタンを固定するなどの、誤った使い方は絶対にしないこと。
・操作ボタンを器具などで固定し押し付けた状態にしないこと。
・駐車場内で子供を遊ばせたり、手を離したりしないこと。
・操作をする前には、駐車場内に人がいないことを十分確認すること。
・パレット上で荷物の出し入れはしないこと。
・運転者以外は、駐車場に入らないこと。

 

雑排水管の清掃

キッチン、洗面所、風呂場、洗濯機置場からの排水が流れる雑排水管は、各所からの油汚れ等様々なものが堆積・固着し、流れが悪くなり、漏水事故を招くおそれがあります。そのため定期的に高圧洗浄することにより、事故を未然に防ぐことを目的として、清掃を行っています。

《作業当日におけるパートナー企業作業員との確認事項》
・各階毎の作業開始予定時間、作業完了予定時間
・当日の在宅・留守住戸宅を通知すること
・専有部分内では、作業員がマナーを十分遵守するよう、点検前に指示

《立会時の注意点》
作業開始前に、下記事項を作業員へ指示・確認をします
・高圧洗浄車の駐車位置
・洗浄用ホースで共用部分、専有部分を汚さないこと
・高圧洗浄車からの排水は適切な場所に排水すること
・専有部分内での作業は、丁寧に行うこと
・専有部分内で扉を開けるときや、物を動かす際は、居住者の許可を得て行うこと

清掃終了後、作業完了報告書の提出を求め、清掃済み住戸の確認印があるかどうかを確認します。
また、清掃できなかった住戸を作業員から聞き取りし、次回は清掃できるように当該住戸に依頼します。

特定建築物定期調査

特定建築物とは、不特定多数の人が利用する建築物で、マンションも該当します。
建築基準法に基づき、定期的に一級建築士もしくは二級建築士又は特定建築物調査員等の有資格者による調査を行い、その結果を特定行政庁へ報告しなければなりません。
マンションの安全性を確保し、建築・設備の維持保全を図り、予防保全の観点から事故等を未然に防止することを目的として立会調査を行います。

   調査項目 調査内容
敷地及び地盤 建築物周辺の地盤・敷地内排水路の状況、塀・擁壁の状況
建築物の外部 基礎、外壁、窓を調査 タイル仕上外壁は打診調査
屋上及び屋根 防水、排水、劣化状況
建築物の内部 防火区画、防火戸、防火シャッター、内部の床、壁、天井の状況、防火戸、シャッターの作動および安全性確認
避難施設等 廊下、階段等の避難通路、避難バルコニー、排煙設備、非常用照明装置の状況の調査
石綿(アスベスト) 吹付石綿の有無と飛散防止状況
その他 避雷針、煙突の調査

 

特定建築設備定期検査

マンションについて建築基準法では、特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備)も専門の技術者の定期的な検査を受け、特定行政庁に報告するよう義務付けられてます。万一火災などの災害時に必要な設備が正常に作動しなければ、人命にを危険にさらすことになりかねません。このような危険を未然に防ぐため、定期報告により発見された問題を改善し、良好な維持管理に繋げていくことを目的としています。

種別       検査項目
①換気設備 換気状態・運転異常の確認、風量測定、防火ダンパーの作動確認など
②排煙設備 障害物の確認、腐蝕等の状態確認、設置・作動状況の確認など
③非常用照明 点灯確認、照度測定、障害物の確認など
④給排水設備 設置場所の判定、ポンプの運転状況、腐蝕・漏れ確認など

 

 

如何でしたでしょうか。
今回は『立会業務』について深掘りしてみました。

現場監督的な立場で広い視野を持って全体を見通し、居住者に迷惑がかかるような問題がないか確認・是正することが役割となります。
居住者のみなさんが気持ちよく安心して生活できる環境を整える。これもマンション管理員の大切な仕事なんですね。

次回は報告連絡業務等についてお話しますね。
乞うご期待!!

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竹林貞治

ホームライフ管理
管理本部 人事総務部 総務課
竹林 貞治(たけばやし さだはる)

10数年人事総務部で過ごし、約4年ほどマンション管理員をサポートする部署へ異動。現在は人事総務部へ出戻ってきました。
支えるだけの『縁の下の力持ち』にとどまらず、自ら動くことによってチームが活発になる『潤滑油』になることをモットーにしています。

マンション管理員をサポートする部署在籍時はマンション管理員による的確な事務手続きや担当フロントとの良好なコミュニケーション、
居住者のためにより快適な空間を提供するためにマンション管理員のスキル向上をサポートしていました。
人事総務部へ異動となりましたが引き続きマンション管理員研修にも携わることとなりましたのでこれからもよろしくお願いいたします。


ちなみに人事総務部では障がい者雇用に携わり手話を覚え、現在も聴覚障がいの社員と手話で会話していることが特技かな??
週末はボーイズリーグや少年野球の審判をして体を動かし健康も気にかけていますが一向に痩せないのは何故だろう・・・。

保有資格
・マンション管理士
・管理業務主任者
・警備員指導教育責任者
・宅地建物取引士
・マンション維持修繕技術者
・賃貸不動産経営管理士
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