こんにちは、仲井です。今回も、改正点を含む分野を説明します。今回は、「消費者契約法」のポイントです。マイナー分野ではありますが、最低限、目的と定義、および、「事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効」を押えておきましょう。では、早速中身に入っていきましょう。
目次
- 消費者契約法の目的
- 定義について
- 事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効
- 消費者の解除権を放棄させる条項の無効
消費者契約法の目的
消費者契約法では、目的について、「この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」と規定しています。
これ自体は出題されませんが、各規定の理解につながる規定ですし、社会の高齢化等に伴い消費者保護の観点はより重要性を増しているといえるでしょう。
定義について
1 消費者
消費者契約法において、「消費者」とは、「個人(事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く)」をいいます。
個人でも、「消費者」にあたらない場合があることに注意しましょう。
2 事業者
消費者契約法において、「事業者」とは、「法人その他の団体および事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合における個人」をいいます。
法人だけでなく、法人以外の団体も「事業者」となりえること、個人も「事業者」となりえることに注意しましょう。
3 消費者契約
消費者契約法において、「消費者契約」とは、「消費者と事業者との間で締結される契約」をいい、このような契約に消費者契約法が適用されます。
消費者間の契約や、事業者間の契約には、消費者保護法が適用されないことに注意しましょう。
事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効
消費者契約法では、消費者の利益保護のため、事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効について定めています。
1 債務不履行に基づく損害賠償責任を免除する条項の無効
消費者契約法では、①事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項、および、②事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者またはその使用する者の故意または重大な過失によるものに限る)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項を、無効としています。
2 不法行為に基づく損害賠償責任を免除する条項の無効
消費者契約法では、①消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項、および、②消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者またはその使用する者の故意または重大な過失によるものに限る)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項を、無効としています。
3 瑕疵担保責任に基づく損害賠償責任を免除する条項の無効
消費者契約法では、消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項を、無効としています。もっとも、この規定は、当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任または当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合には適用されません(無効とはなりません)。
なお、ハッキリとは規定されていませんが、この規定は、売主が事業者で、買主が消費者である場面を想定しています。したがって、売主が消費者で、買主が事業者の場合において、上記のような瑕疵担保責任に基づく売主の責任を免除する特約をしても、無効とはなりません。
消費者の解除権を放棄させる条項の無効
消費者契約法では、①事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項、および、②消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させる条項は、無効とされます。
これらの規定は、近年の改正により加わったものですので、ざっと確認しておきましょう。
仲井悟史
東京イーストエリアで約10年にわたりマンション管理担当者を経験しています。前職は資格試験予備校で長年にわたり宅建等の講師として教壇に立っていました。その経験を活かし、現在、社内講師も務めています。息子たちと野球をしたり観たりすることが最大の楽しみ。
保有資格:管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・宅地建物取引士
特技:中国語
最新記事 by 仲井悟史 (すべて見る)
- 宅建合格講座!宅建業法|「手付金等の保全措置」を解くときのポイント - 2020年8月28日
- マンションで居住者イベントを実施する3つのメリット - 2019年4月6日
- マンション入居者イベントのオススメ企画|初心者向け - 2019年3月27日