「売主」物件?中古売買における不動産業者売主物件のメリットとは

長谷川裕紀

 

こんにちは。あなぶきハウジングサービスの長谷川です。

不動産を探していると、取引態様という欄があるのを見たことはないでしょうか。
中古物件では、”仲介”や”媒介(一般)”などの表記が多いですが、”売主”と表記されている物件も見たことがないでしょうか。新築の他、不動産業者が買い取って再販している物件などは、各不動産業者等が直接販売しているため売主と表記しているのです。

新築なら新しい物を買うので、不動産会社から購入することに違和感はないかと思います。では、中古物件を不動産業者から直接購入する場合のメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
本日は、中古物件における「業者売主物件」の特徴をお話ししたいと思います。

 

売主物件とは?

売主物件とは、売主が仲介業者を介さず、直接物件の売却を行う物件のことです。仲介業者を介さないことで、より物件について詳しく説明してもらえたり、直接取引なのでレスポンスが早い場合が多いです。

 

売主物件のメリット

お部屋がきれい・暮らしが想像しやすい・即入居可能

不動産業者が買取再販物件として売り出している中古物件は、築浅などの一部の物件を除き、多くの場合はリフォームを施工し、壁紙などの修繕やキッチン・浴室などの設備を更新して価値を高めてから販売しているため、内覧の際には非常にきれいな状態のお部屋を見ることができます。そのため、そこで生活するイメージがしやすく、リフォームなど追加で検討する項目が少ないので選びやすいです。
また、施工が完了しているので、購入後すぐにお住まいになれる(手続きの時間が短くて済む)点も魅力の一つです。

 

リフォーム費用が物件代金に含まれているので、リフォームにかかっていた費用も住宅ローンで組める

住宅を購入されるときにはご予算の都合などから、ある程度価格が下がっている古めの物件を購入し、リノベーションのような大きな工事をしたうえで住むことを検討される方も多いと思います。

しかしながら、住宅ローンの商品の多くは、借入に含められる項目や上限金額に制限があるため、リフォームの金額に関しては別途リフォームローンを組むことになることも多いです。リフォームローンを借りる場合、金額は住宅ローンほど多くはならないものの、より高い金利で借りる必要が出てきます。

業者売主の物件はリフォーム費用などをすべて含んだ額として物件を売り出しておりますので、物件価格全体住宅ローンで借り入れることができます

 

仲介手数料がかからない、税率軽減の優遇

不動産業者が売主の物件では、業者とお客様の直接契約(仲介ではない)となりますので、新築と同様に仲介手数料がかかりません。一般的に仲介手数料は物件価格の3%+6万円に消費税を併せた額がかかりますので、仲介だと数十万円以上かかってくる手数料が不要となります。

また、不動産業者が一定規模以上のリフォームを行っている物件買取再販住宅)に該当する場合は、自己居住の場合であれば、2024年3月末までは登録免許税の軽減も通常より大きく受けることができます
(一般の中古物件の場合:0.3% → 買取再販住宅:0.1%)※自己居住用の場合

出典:財務省 登録免許税に関する資料(住宅に係る登録免許税の軽減措置)

 

ちなみに住宅ローン控除についても、普通に中古物件を購入した場合の控除期間は最長で10年間ですが、先程と同様の買取再販住宅の場合は、中古物件でも控除期間が最長13年まで延長2023年内に居住の場合のみ)されますので、本年内であれば長い期間の優遇を受けることができます。

出典:国税庁 買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

住宅ローン控除の制度に関して記載した記事もありますので、新築など含めて検討されている方は是非参考にしてください。

控除率が「0.7%」へ引き下げ…2022年住宅ローン減税はどう変わる?

 

業者売主なので安心(2年間の契約不適合責任)

仲介で売り出されている個人売主の物件に関しては、売主に売却後の不具合まで物件の状態を保証してもらうのは負担が大きいため、契約不適合責任については多くの場合で1ヶ月程度の短期間になっていたり、契約に適合しない状態でも各種対応を求められない(契約不適合責任免責)特約を導入しているケースが一般的です。

一方、不動産業者に関しては宅地建物取引業法により、最低でも2年の契約不適合責任を負うことが定められていますので、2年間は契約に適合しない状態が発生した場合でも、修繕などの対応を取ってもらうことができます。
中古物件であっても新築購入などの際と同じように、契約後の保証があるのは安心できる大きな魅力です。

 

売主物件のデメリット

ここまでは不動産業者が売主の場合のメリットを見てきましたが、デメリットとしてはどのようなものがあるでしょうか。
購入の流れとしては、基本的に一般の中古物件の売買の流れと同じですので、お部屋の現況を内覧いただき、納得したうえでご購入いただきますので、特別不利益を受けるようなことはありません

ただ、リフォームをしてから販売していることが多いため、内覧する際にはきれいにリフォームが完工した状態になっています。好きなようにリフォームをして住むことを検討している方は、希望の内容や間取・設備等を選ぶことができず、また追加の変更をするとかえって割高になってしまいかねません。

ご自身でのリノベーションを検討されている方は、工事がされていない一般の物件を探されるほうが、より希望に近い住宅を手に入れることができると思います。

 

売主物件と仲介物件の違い

売主物件と仲介物件の大きな違いはやはり、仲介手数料が発生するかしないかというところでしょう。

売主物件のメリットについて詳しく説明してきましたが、仲介物件は仲介手数料が生じる分、売主に対しての交渉を代理で行ってもらえたり、第三者としての視点で意見をもらうことができます。また、契約時も不動産会社が間に入って契約を成立させるのでトラブルなく、進めることができるのも仲介物件の特徴です。

 

さいごに

いかがでしたでしょうか。中古物件の中では件数が少ない不動産業者売主物件ですが、新築の場合と同様に契約不適合責任や手数料のメリットがあるので、安心だけでなく金額的な面でもメリットがあります。

ひとつ注意点をあげれば、契約不適合など業者へ依頼や申し立てをする際にしっかりとした対応をしてもらえなければ不動産業者から購入する安心が得られませんので、売主の業者が信用に足る会社かどうかをしっかりと見定める必要があります。

リフォームやリノベーションをかけられた物件は、築年数が多少経っていてもきれいで価格も新築より低く、選びやすい物件が多いです。中古物件で不動産業者が売主の場合は、どこをリフォームしたのか、契約の条件など疑問点をしっかり確認して、納得できる物件を選んでください。
今回もご覧いただきありがとうございました。

 

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長谷川裕紀

あなぶきハウジングサービス 西日本不動産事業部 山陰営業所
長谷川 裕紀(はせがわ ゆうき)

北海道出身、2021年新卒であなぶきハウジングサービスに入社しました。
西日本不動産事業部にて、鳥取・島根両県において主に中古物件の売買の仲介を行っております。
不動産取引の視点から、ちょっとした疑問の解決など、みなさまの暮らしの一助となる情報をお届けできるよう頑張ってまいります。
よろしくお願いいたします!

保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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