徹底検証!マンション室内ドアの開き勝手はどうあるべきか【内開きと外開き・開き戸と引き戸】

木須 拓己

あなぶきハウジングサービスの木須です。

突然ですが、先日古い公共トイレのドアで危うく怪我をするところでした。現在のデパートや公共施設のトイレのドアは、内開きが主流です。その理由は「外に人がいる可能性が高い」からです。
通常、『トイレは狭い空間なので内開きにす2021と非常に入りづらい』、という理由から住宅では外開きが主流ですが、多種多様の人が出入りする公共のトイレは危険防止の為に内開きなのです。

しかし、私が利用した公共トイレは、ドアが外開きだったため、中の人が勢いよくドアを開けたことで、危うくドアに直撃するところでした。90度にしか開かないドアだったため、直前で止まりセーフとなりました・・・

今回はそんな経験から、“お部屋の中でドアの開き方はどうあるべきか”、ドアの開き勝手についてご紹介します。

 

洋室のドアの開き方(内開き・外開き)

LDKや洋室といった、いわゆる居室は公共施設とは逆で、廊下側から押して室内に入る「内開き」が基本です。一方、室内側から外側に押して開くのが「外開き」です。

ではなぜ、居室は「内開き」が基本になっているのでしょうか。

居室に入る際に、狭い廊下側に引いて入るとき、ドアの場所によっては、かなり体を捩じって部屋に入らないといけない場合があります。
また、前述した通り、狭い方向にドアが開くため、ドアが開く側(例えば廊下など)に逃げ場がなく、ドアが人にぶつかる場合があります。

こういった利便性と危険防止面で、居室は「内開き」が基本となっています。

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スペース的には、開く方向にドアの幅分の1/4円には物が置けないといったデメリットはありますが、本来、人を部屋に招き入れるといった観点からみれば、居室は「内開き」がもっとも自然だと言えます。

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トイレのドアの開き方(内開き・外開き)

築30年以前の一戸建てでは、トイレのドアは「内開き」が主流でした。一戸建ての場合は、トイレといってもマンションよりも広いスペースがとれるので、内側に開く余裕があったためです。

しかし、内開きの場合、スリッパ等に当たってしまうというデメリットがあることと、90年代からバリアフリーリフォームが一般的になってきたため、現在では一戸建て・マンションに関わらず、トイレのドアは「外開き」が主流になっています。

また、健康面への関心が高まっていったことにより、狭い空間で人が倒れた場合の配慮として「外開き」になったということもあります。
例えば、トイレの中で脳溢血等で倒れた場合、「内開き」では倒れた体が邪魔になり、助けに入れないケースがあります。
こういった最悪の事態を想定すると、外開きの方が安全と言えます。

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ただ、やはり廊下側に開くといったデメリットはなくならないので、現在は、狭い空間の内外にもメリットがある“中折れドア”という優れものも誕生しています。開閉するためのスペースは、開き戸と比べて約1/3ですみます。狭い空間での活用のほか、他の部屋のドアと干渉する場合にもおススメです。

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引き戸の利点

これまで、開き戸についてお話してきましたが、“引き戸へ変更する”という選択肢もあります。開き戸はどうしても開く方向にスペースを確保しないといけない、というデメリットがあります。これは物理的にどうしようもないことです。ですが、横にスライドする引き戸にすることで、そのデメリットを解消することができます。

また、バリアフリーの観点からも、開き戸より引き戸のほうがより広い巾の開口が確保できる可能性があることと、車いすでの移動の際、開き戸ではドアを引いて部屋に入らないといけない煩わしさがありますが、横にスライドするだけの開き戸のほうが、車いすでのスムーズな出入りが可能となります。

ただし、横にスライドするということは、スライドする方向に扉の幅+αのスペースを確保しなければいけませんよね。例えば、狭いトイレの室内側に引き戸を設置しようとする場合、そのスペースが確保できないことがあります。その際は、廊下側に設置するアウトセットという方式を採用する、といった工夫が必要です。

しかし、利便性では、開き戸より引き戸のほうがメリットが多いケースがありますので、将来のことも考えれば、引き戸への変更がおススメです。

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まとめ

開き戸の外開き・内開きの使い勝手についてお話してきましたが、さいごに改めてまとめておきます。

●内開きの場合
・ドアを開けた際に、人にぶつかる危険性がない。
・ドアを開け放しにしておいても邪魔にならない。
・ドアを開く方向にドア幅分の1/4円に物が置けない。
・狭い空間から出る場合、体を捩じって開かなければいけない。

●外開きの場合
・廊下から部屋に入る際に開けると、場所によっては体を捩じる必要がある。
・中で人が倒れている場合、外から助けやすい。
・ドアを開けた際に、人にぶつかる危険性がある。

といったことが主に挙げられます。居室の場合は、内開きのほうが自然であり、狭い空間の場合は、出入りの煩わしさが少ない外開きがベターとなります。また、引き戸への変更を検討することで、より使い勝手のよい空間を作ることが可能です。

開き方ひとつでも、使い勝手は様々です。リフォームをする際は、各部屋の使い方と毎日の暮らし方を考えて、どのようなドアと開き方がよいのかを検討されてはいかがでしょうか。

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木須 拓己

あなぶきハウジングサービス :木須 拓巳(きす たくみ)
分譲マンション管理会社で専有部(お部屋内)の様々なサービス開発・企画の立案、リフォーム&リノベーション・室内クリーニング、インテリア商品販売等、お客様の快適な生活をサポートする部署の担当。分譲マンションの管理会社を15年務めた実体験及び情報をわかりやすく伝えるために日々仕事に励んでいます。仕事での心情:ニーズを形にする
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