■民泊開業までの流れ・必要手続きについて

田村浩彦

こんにちは
ここ沖縄の2月と言えばプロ野球キャンプシーズン!
今年は各地プロ野球キャンプが一般公開で開催され、お目当ての球団や選手を一目見ようと昨年とは比べ物にならないくらいファンの方々で賑わっております。
インバウンドのお客様も目に見えて増えており、国際通り等でも韓国・香港・台湾の方々を多く見かける機会も増え今後に期待が膨らむ今日この頃でございます。

因みに気温は平均気温17度、時には25度超えの汗ばむ日もちらほら出始めとても過ごしやすい季節を迎えております。
今から5月の梅雨入れまでが沖縄で一番過ごしやすいシーズンとなりますので、皆様是非お越しくださいませ。

さて、今回はそんな観光需要の盛りあがりを見せる沖縄で実際に宿泊業を始める際どのような手順で、オープン迄の期間はどれくらいかかるのかをご案内させて頂きたいと思います。

【目次】
其の①~開業迄の流れ~
其の②~必須手続き~          
其の③~開業までの所要期間~
其の④~開業準備始めるのにベストな時期~
まとめ

 

<其の①~開業迄の流れ~>
ますは早速、宿泊業を開業するにあたり準備段階から開業迄の流れをご案内させて頂きます。
① 物件リフォーム・内装・消防設備・主要大型家具類の設置
※優先的に用意しなければいけないのは「消防設備(自動火災報知機・非常誘導灯・消火器等)」及び「防火認証マークのついたカーテン、カーペット」「監視カメラ」続いてベッド等の大物家具となります。
【※注意事項※】
消防設備は専門の消防設備業者にお願いするようにしましょう。中にはコスト削減の為ホームセンター等で購入し揃えられるといった強者オーナーさんもいらっしゃいますが、素人が設置しても高確率で検査時NGとなってしまい結果二度手間です。またカーテン・カーペットにおいては防火印が付いたモノでないと消防適合検査に引っ掛ってしまい、思わぬ時間のロス及びコスト的ダメージも伴いますので、見た目のお洒落さだけに捉われず十二分に注意して選ぶようにましょう(※カーペットは意外に盲点となり、再購入の事例がよくありますのでご注意くださいませ)

② 一通り揃えましたら、管轄の消防署による『消防適合検査』を行ってもらいます。
(きちんとモノが揃っていれば20~30分程度の現場確認で終了します)

③ 残りの備品・小物類を揃え「明日からゲスト様をお迎え出来る」本番状態迄セットUPしましょう。アメニティ・消耗品類の仕入れ業者及びリネン業者との打合せも行っておきましょう。

④ 必要書類を準備し保健所へ許可申請を行います。この際、書類に不備や不足書類があると思わぬ時間ロスが生じますので、事前に保健所窓口担当者とコミュニケーションをよく取り、完璧な準備で申請しましょう。

⑤ いよいよ最終難関!保健所職員による現場検査を行います。
この際、注意すべき点は「遠隔で監視カメラ映像がしっかり確認出来ているか」となりますので監視カメラ映像を確認するデバイスの映像チェック及び出入りする方の顔が鮮明に映るかの事前チェックを行っておきましょう。

⑥ 「営業許可証」が出るまでの審査期間中に各掲載サイトの公開準備及び清掃業者との清掃・各種セッティングのすり合わせを行っておきます。

⑦ 保健所から「営業許可証」発行されましたら、その『許可番号』をもって物件掲載サイトへ公開申請を行います。

⑧ 知人・関係者を呼んで試泊体験を行います。
実際に泊まって頂いた方からのフィードバックは非常に重要な意見となりますのでなるべく様々な年代・性別の方々にご宿泊頂くようにしましょう。

⑨ 一般オープンに向けて準備が整いましたらいよいよ開業です

 

<其の②~必須手続き~>
ひと昔前までは賃貸物件を転貸し無断で宿泊業を行ういわゆる「闇民泊」が横行しておりましたが、2018年6月15日施行された『住宅宿泊事業法』により、闇民泊のそのほとんどは一掃されました。法整備されたことにより開業時は然るべき手続きが必須となりましたので、この章では開業するにあたっての必要手続きご案内させて頂きたいと思います。
① 消防適合検査
民泊では、宿泊客の安全を守り、不安のない生活を送ってもらうために、消防庁の監修した消防設備の設置が必須となっており、旅館業法や特区民泊では、消防法令適合通知書(以下、適合書)という書類の提出が義務付けられています。
尚、住宅宿泊事業法(民泊新法)では条例で提出を義務付ける記述はありませんが、消防法令に適合していることを担保するために、提出を義務付けている自治体が多く、必須事項と考えておいた方が良いです。
設備工事については前章でも触れさせて頂きましたが専門の消防設備業者に依頼の上、必要設備を整えた上で管轄の消防署に検査依頼致しましょう。

② 旅館業法許可
この法律の許可であれば、民泊新法の「年間180日しか営業できない」や特区民泊の「最低宿泊日数が2泊3日から」という制約が一切なく、年間無休で営業することができます。なので宿泊業の開業を検討する際、用途地域や物件自体の制限が無い限り、まずは旅館業法取得で進める事をお勧めします。因みにこの旅館業法は『許認可制』となります。
【注意すべき点】
・用途地域:開業検討している以下4つの用途地域ではどんなに物件が収益望めようとも残念ながら旅館業の取得は出来ません。
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第ニ種中高層住居専用地域

・周辺施設:予定施設敷地の周囲、おおむね百メートルの区域内に「学校、児童福祉施設、図書館」等ある場合は旅館業取得が出来ません。

・物件構造:延床面積が「200㎡」以上となる施設の場合用途変更が必要となりますので大型物件の場合ちゅういが必要です。あと自治体によいって多少の差はありますが5名以上の収容施設の場合トイレや浴室は2つ以上必要となる場合ございますので事前に保健所窓口で確認致しましょう。

③ 住宅宿泊事業法(民泊新法)
申請方法が『届出制』なので、旅館業法や特区民泊のように行政の承認を得る必要はありませんので3つある民泊関連の法律の中では1番ハードルの低い法律となっています。
もちろん、保健所の立ち入り検査やある程度の規定はあり、お手軽な分制約も存在し民泊新法下では最大年間180日の営業しかできません。
365日運営できる旅館業法と比べると、この営業日数の半減が最大のデメリットと言えます。
また2018年6月に施行された新しい法律という事もあり、運営開始後も2ヶ月に一度行政への運営実績報告義務があり旅館業に比べるとやや窮屈な感は否めません。

最大のデメリットとしては、各市町村判断で条例による営業日数制限を設定できるので開業時180日営業可能なエリアであっても、地域住民からの騒音苦情等の意見が上がり、議会で「営業日数制限減少又は営業不可」採択がされた場合、最悪条例施行後、民泊営業が出来なくなってしまう可能性もあり、将来的な不安を常に内包しながら運営していく形となってしまします。

こう考えますと、やはり物件選びの段階で365日運営可能な「旅館業」営業可能エリアでの探すことが肝要である事が見えてきますね。

<其の③~開業までの所要期間~>
物件によってリフォーム規模により期間差がありますのでここでは、割愛させて頂きまして「内装インテリアの準備」段階からのリードタイムでご案内させて頂きたいと思います。

結論から申し上げますと「内装準備~開業」までのリードタイムは平均『3ヶ月間』となります。
では手掛ける順番事に見てみましょう。
・内装準備:『1ヶ月』(同時並行にて消防設備設置工事も行います)

・消防適合検査(現場検査~結果):『1週間』程(早い場合検査後翌日に結果出る場合もございます)

・保健所旅館業(申請~現場確認~許可):『1.5ヶ月程』※一番読めないのがこの旅館業許可取得までの期間です。各自治体の人員配置にもよるので一概には言えませんが、沖縄の場合担当部署人員が「2人~多くても4人」となり、申請が混み合う夏場前等は2~3ヶ月待つ場合などもございます。

・各サイト掲載申請・試泊開催・開業前修正期間:『2週間』程営業許可が下りると施設ごとに認証番号が発番されますのでそれから初めてサイトへの公開申請を行う順番となります。試泊に関してはサイト申請と同時並行で進めまして1週間(平日・週末)程は行い、その後1週間かけてフィードバック内容を元に修正行います。
そしていよいよ『一般公開』開始となります。

<其の④~開業準備始めるのにベストな時期~>
まずいつオープンが良いのか?
やっぱり最繁忙期の夏場7・8月と思う方も多い事かと思いますが、実はその1ヶ月前「6月」くらいがベストです。
【理由】
ゲストが物件予約を決める判断材料は「金額・リスティング写真」そして『口コミ(レビュー)』が大きな決め手となります。
開業時は当然ながら口コミ(レビュー)は「0」でのスタートとなる為、他の競合物件と比べた際どうしてもレビュー数の数で見劣りしてしまい、同じ土俵で戦う上では不利である事は否めません。
例えば、同じ金額・同等クオリティの物件でゲストが迷った時、最後の決め手となるのはレビュー(口コミ)数となります。そうなると当然ながら、競合施設と肩を並べる為に、レビュー構築期間が必要となり、その期間はオープン価格等で宿泊料金をさげて営業することとなります。

では、この準備期間を最も高単価が見込める「7・8月」に充ててしまうのはどうでしょうか?
正直もったいないですよね。

なので、その前1ヶ月前又は2ヶ月前(5・6月)から開業しレビュー構築の準備期間を経て、最高収益が狙える「7・8月」を迎えるのが最もベストと言えるんですね。

他にもGWであったり、沖縄であれば旧正月シーズンを照準に、狙った月の1~2ヶ月前開業を図ると良いので是非参考にしてみて下さい。

<其の④~まとめ~>
如何でしたでしょうか。
これから宿泊業開業を検討されている方にとって、少しは目安となる情報を提供できておりましたら幸いです。
現状の沖縄はインバウンドゲストも増え始め、2025年には北部テーマパークの開業も控え宿泊業物件をお求めになる方も比例して増加傾向にございます。
尚、土地からお考えの場合は、過去事例から開業までおおよそ「2年」程は掛かりますので開業されたい時期から逆算で動き出しされることをお勧めいたします。

これから沖縄での宿泊業用物件・用地または運営代行会社お探しの方は私(田村)迄、いつでもご連絡下さいませ。

ではまた次回宜しくお願い致します。

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田村浩彦

株式会社One Note営業統括部長
田村浩彦(タムラ ハルヒコ)
東京都出身/沖縄移住歴11年目。
2020年あなぶきグループ入り。
2017年12月「株式会社One Note」入社

【主な業務】
運営代行物件の新規開拓、開業コンサルティング、既存クライアント様ケア、不動産売買仲介、土地建物仕入れ・査定、別荘・留守宅管理業拡販、関連企業様との各種業務アライアンス開拓、
最近は離島宮古島開拓に注力させて頂いております。

沖縄でのリゾート用地、建物又は移住・収益物件お探しの方は田村まで。
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