おはようございます。
あなぶきセザールサポート保険担当の後藤です。
今回は2016年10月より改定されるセコム損害保険の火災保険“マンション管理組合用あんしんマイホーム保険”の改定内容について2回に分けて紹介します。
1回目の今回は改定される内容について紹介します。
今回の改定により10月以降に更新されるマンション管理組合の中には補償内容は同条件でも保険料が2倍~3倍近くに上がってしまう可能性があります。
今後の管理費会計(一般会計)に大きく影響することが予想されますので是非参考にしてください。
目次
- セコム損保とは
- あれっ?2015年10月にも改定があったはずでは?
- 改定される内容とは
- まとめ
セコム損保とは
あなたがセコムと聞いて思い出すのは「セコムしてますか?」のフレーズではないでしょうか。
セコム損保は警備会社最大手のセコム株式会社を親会社に持つ保険会社です。
なぜ、警備会社が保険業も行っているのかというと、事故を未然に防ぐセキュリティを目的(事前の予防)としていましたが、万が一事故が起こってしまった後もフォローやサポート(事後の補償)をしたいという思いで1998年に前身の東洋火災海上保険に資本参加することで保険業に進出したと聞きました。
セコム損保は中堅規模の保険会社ですが、大手の保険会社(いわゆるメガ損保)のような幅広い保険商品で展開していくのではなく、今回紹介する火災保険や他社で扱っていないガン保険に注力している特徴のある保険会社です。
ちなみに当社が管理しているマンションの共用部火災保険契約の約7割はセコム損保にて契約しています。
あれっ?2015年10月にも改定があったはずでは?
ご存知の方も多いと思いますが、損害保険業界では2015年10月に損害保険の保険料の大元となる参考純率を決めている損害保険料算出機構がその参考純率を改定したことにより、各損害保険会社の保険料が上がった経緯があります。
さらに、2015年の改定時には、これまでマンション管理組合用火災保険では最長10年契約できたものが、改定後には最長5年までと変更されました。
この改定を受けて各損害保険会社は改定された月はバラバラですが、マンション管理組合用火災保険の保険料値上げをしております。
昨年の時点ではセコム損保が大幅改定することはありませんでしたが、今回はこの2015年の改定とは別に保険料の改定をすることとなりました。
改定される内容とは
今回セコム損保が改定する内容については大きく分けて以下の2つです。
1つめは「経過年数別保険料体系の導入」
2つめは「管理組合用補償特約保険料の改定」
それぞれについて説明します。
経過年数別保険料体系の導入
経過年数別保険料体系とはいわゆる“建築年数ごとに保険料が変わる”ということです。
今回の改定には“損害率”というものが大きく関わっています。
損害率とは事故が発生した際に保険会社より支払われる保険金を私たちが支払った保険料で割ったもので算出されます。
【 支払保険金 】 ÷ 【 支払保険料 】 = 【 損害率 】
以下のとおりマンション管理組合用火災保険の場合、損害率が高い状態が続いています。
(2009年度~2013年度のセコム損保データに算出)
損害率が高い原因は、建物の経年劣化を原因とする給排水管からの水漏れ事故などが大きく影響しています。
さらに、以下のとおり築年数が古いマンションほど損害率が上昇する傾向が顕著に現れています。
以上のことから築年数が古くなるにつれ保険料が上昇する経過年数別保険料体系の導入を実施することとなりました。
管理組合用補償特約保険料の改定
管理組合用補償特約とはマンション管理組合用火災保険の特徴でもある以下の3つの特約のことです。
■ 水濡れ原因調査費用補償特約
■ 個人賠償責任保険包括特約
■ 施設賠償責任補償特約
(詳しくは『マンション共用部火災保険の特徴である3つの補償』をご覧ください。)
■ 水濡れ原因調査費用補償特約
水濡れ原因調査費用補償とは水漏れ事故が発生した際に原因箇所を特定するためにかかった費用を補償する特約です。
水濡れ原因調査費用補償特約の保険料改定例は以下のとおりです。
これまでの保険料が低く設定されていたこともあり、損害率が非常に高い状態となっていました。今回の改定により他の保険会社と同等の保険料設定となりました。
■ 個人賠償責任保険包括特約
個人賠償責任とは日常生活において他人に損害を与えてしまい、損害賠償責任を被ることとなってしまった場合に補償される保険です。
マンションのような集合住宅の場合に多いのは水漏れを発生させてしまい、階下のお部屋に損害を与えてしまった場合などに補償されます。(その他の補償内容については『さまざまな場面で活躍する「個人賠償責任保険」とは』をご覧ください。)
水濡れ原因調査費用補償特約とは異なり、これまでの保険料設定額は低すぎたということはありませんでしたが、損害率の上昇に伴い保険料の引き上げとなりました。しかし、築年数5年未満の保険料については、損害率が低いことから保険料が引き下げられることとなりました。
■ 施設賠償責任補償特約
施設賠償責任補償特約とは分譲マンションの建物や設備など共用部分の欠陥や管理の不備が原因で他人に損害を与えてしまった場合に補償される特約です。
(詳しくは『マンション管理組合が賠償責任を負った際に補償となる施設賠償責任保険とは』をご覧ください。)
施設賠償責任補償特約の場合築20年未満までの損害率が低いことから改定後の保険料も築20年未満のマンションは引き下げられることとなりました。
まとめ
以上のように2016年10月よりセコム損保ではマンション管理組合用火災保険の特約部分の保険料が大幅に改定されることとなりました。
現状の管理費会計(一般会計)の収支がギリギリの管理組合には大きな打撃となります。
さらに2017年1月には地震保険の改定があるため更なる支出が必要となります。
この状況を回避するためには中途更改をして管理費会計の支出を少しでも食い止める必要が出てきます。
次回は中途更改について紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
後藤隆史
北海道出身。管理組合様用火災保険の提案や管理委託契約書の作成、各種設備点検の発注業務を行っています。
フロント担当者の経験を生かし管理組合様の費用負担軽減ができるような火災保険の更新提案や各種設備点検項目の見直しなどを目指しています。少林寺拳法有段者(小学校2年生からやっていました)。火災保険や点検項目の見直しの際にはぜひとも御用命ください!
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士
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