マンション管理会社のM&Aを検討中の社長様必見!成功のポイント「取引会社対応編」

松井 久弥

こんにちは。あなぶきハウジングサービスの松井です。

今回は、マンション管理会社のM&Aにおいて重要となる取引会社との契約承継についてです。マンションの管理業務は、多くの専門会社と連携して保守メンテナンスや運営をおこないますので、スムーズな取引先の承継が欠かせません。

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目次

  • どんな取引会社があるのか?
  • 新規取引と既存取引の差は?
  • チェンジオブコントロール条項とは?
  • 通知の方法
  • 契約締結における注意点
  • 契約開始日には
  • まとめ

どんな取引会社があるのか?

マンション管理の取引会社としては、大きく下記に分類されます。

  • 管理委託契約の履行に必要となる外注先(メンテナンス会社、清掃会社、集金代行会社など
  • 会社として契約している取引先(賃貸借契約、リース会社、システム会社など
  • その他の契約先(金融機関との契約、顧問契約など)

 

上記の中で、新会社になっても契約を継続する会社とそうでない会社に分類しておく必要があります。デューデリジェンスにおいて取引会社は事前に確認していますので、M&Aの契約締結前までには、取引会社の承継においても最大効果がはかれるようにしっかりと確認しておくことが必要です。

 

新規取引と既存取引の差は?

譲受会社において、譲渡会社の取引会社が既に契約があるかどうかは、M&Aにおいて重要となります。今まで取引がなかった会社と新たに取引を開始できる機会となりますので、積極的に新規取引を開始するケースも多いです。特にマンションのメンテナンスを依頼する会社は、特殊な設備を点検したり、緊急時の迅速な対応ができたりと、お客様にとっても欠かせない存在であることも多く、スムーズな引継ぎがポイントになります。

また、既存取引がある顔なじみの会社であっても、取引量が増えることになるため、より一層の関係強化につながります。

新たな取引会社を増やせたり、既存の取引先との関係強化ができることも、M&Aの大きなメリットです。

 

チェンジオブコントロール条項とは?

新たな取引会社を増やせることがメリットと書いた矢先ですが、そもそも取引先から契約を解除されることはないのでしょうか?

COC(チェンジオブコントロール)と呼ばれるこの条項は、平たく言えば「契約当事者の支配権が変わる(例えば株式譲渡で株主が変わる)場合に、相手方が契約を解除できる」と契約書に定められていることです。

M&Aでは、一般的には支配権が変更しますので、譲渡会社と取引先との契約にCOC条項があれば、取引契約が解除されてしまうリスクがあります。マンション管理会社のM&Aにおいても、デューデリジェンスにおいて、取引先との契約条文にこのCOC条項が入っているかどうか、入っている場合には引継ぎができるかを事前に確認しておくこととなります。(例:事務所の賃貸借契約書にCOC条項がある)

 

通知の方法

以上のような項目を確認した上で、経営統合が決まったことについて、お客様への通知と同様に、取引会社へ通知をおこないます。

スキームによって、そもそも通知をおこなうかどうかやその内容は変わってきますが、以下に事業譲渡を例にして通知内容をご紹介します。(株式譲渡や会社分割の場合、取引先との契約は包括的に承継されるため、今回は個別の同意を必要とする事業譲渡を例にしました)

<取引会社への通知例:事業譲渡の場合>

  • 経営統合すること
  • スキーム(事業譲渡)
  • 経営統合日
  • 今後の取引や契約に関する事項
  • 譲渡会社への請求・支払いの区分(売掛金の引継ぎ等)
  • 問い合わせ窓口

 

特に新規取引会社については、通知だけで終わらずに、会社訪問等により、担当者との挨拶や、どのような考え方の会社なのかを実際に見ておくことが必要です。譲受企業によっては、新規取引を開始する場合に、取引会社に関する様々な資料(会社パンフレットや決算資料、登記簿謄本等)の提出が必要となるケースもありますので、事前に準備を依頼しておきます。

 

契約締結における注意点

事業譲渡の場合、新たに取引先と契約を締結することとなります。契約締結する段階になった場合の注意点は以下のとおりです。

  • 従前の契約内容を踏襲する場合、不利益な条項はないか
  • 契約書の書式は、従前のものを利用するか、新しく作成するか
  • 契約内容における従前との変更点(金額や仕様、契約期間、支払いサイトなど)

 

契約開始日には

マンションの管理は、様々な協力会社が集まって、継続的にメンテナンスや清掃をおこないます。それは経営統合日の前後においても同様で、品質を落とすことなく点検やサービスを提供できることは絶対条件となります。

またお客様も、経営統合により新しい体制に期待していますので、会社間の契約不備や連携不足で現場に影響が出ないように、担当者同士の事前打合せや当日の現場対応等について、しっかりと準備をしておくことが必要です。

 

まとめ

マンション管理会社のM&Aにおいて、取引会社とスムーズな契約承継をおこなうことは、お預かりする資産を適正に維持管理していく上では必要最低限の義務であると思います。そして、M&Aを通じて、新たな連携やスケールメリットを活かしたサービスを提供することができれば、譲受会社・取引会社・お客様の3者共にメリットを得られるでしょう。

 

<参考記事>

マンション管理会社の売却・譲渡(M&A)を成功させるために知っておきたい9つのこと

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松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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