熊本地震からマンション防災を考える②「地震発生直後に起こったこと」

松井 久弥

 

熊本地震から考えるマンション防災の2回目は、地震発生直後に分譲マンションに起こったことについて報告いたします。

 

アイキャッチ4

目次

  • 玄関扉が開かない
  • ライフラインが断たれる
  • 品物が売り切れる
  • まとめ

 

玄関扉が開かない

地震によって玄関のドアや枠(フレーム)が歪み、開閉が出来なくなる被害が多発しました。被害が大きい部屋になるとバールを用いないと開閉できない状態でした。

玄関ドア破損

 

一方で、バールで開閉した後に玄関扉の施錠ができないため、応急的に補助錠を取り付けて急場をしのぎました。

004

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備蓄品としてバールや補助錠を備えているマンションは少ないと思いますが、今回の地震を通じて必要であると感じました。

 

ライフラインが断たれる

地震発生直後から電気・水道・ガスの供給が断たれるマンションが多く発生しました。住人としてはライフラインが復旧しないとマンションに居住することが困難となり、避難所に行くケースも多く見受けられました。

管理物件における電気・水道・ガスの復旧までの日数は以下のようになります。

 

<地震発生から48時間の復旧率> あなぶきコールセンター報告より

インフラ復旧時間

地震1回目の時は水道・電気・ガスは地震発生から48時間以内にほぼ復旧しましたが、2回目以降、水道、電気、ガスは復旧までに大幅に時間を要しました。 水道設備は2回目の地震により受水槽が破損(高架水槽を含む)し断水となったマンションが複数発生しています。また、マンション設備に問題無くとも水道局管理下の配水管損傷による水圧低下で流入量が低下し断水となった事例も多数ありました。

電気はライフラインの中では1回目、2回目ともに最も早く復旧しました。

ガス(都市ガス)は1回目では影響がありませんでしたが2回目の地震によりほぼ全域供給停止となり、完全に復旧したのは5月の連休明けとなり、ライフラインの中では最も遅い復旧となりました。

 

品物が売り切れる

地震発生直後はスーパーやコンビニ、ホームセンターにおいて様々な物品が品薄状態となったため、あなぶきグループでも県外から応援に入った社員が他県で必要な物品を購入して現地に入るようにしていました。特に水についてはトイレの問題もあり確実な確保が必要となります。先ほどご紹介したバールや補助錠などもなかなか手に入らない状態が続きましたので、あらためて必要な備蓄品を把握し、管理組合と個人でそれぞれ準備しておくことの大切さを痛感しました。

 

まとめ

日本では災害時に国や他県、ボランティアからの支援を受けることができますが、それでも通常の生活レベルを確保するまでには相当の時間が必要です。それまでの間は様々な制約の中で不自由な生活を強いられます。それを最小限にするために自分のマンションで起こり得る被害を想定し、事前に準備しておくことが重要であり、熊本地震を受けて全国のマンションで検討していくべき課題であると思います。

 

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松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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