ホームライフ管理における障がい者雇用の取り組み~従業員のしあわせ「感」理~

竹林貞治

こんにちは。ホームライフ管理の竹林です。

今回は人事総務部で一緒に働いている障がい者の方に、ブログを書いていただきました。

我々健常者には気づかない目線のお話もありますので、ぜひ読んでみてください。

 

 

こんにちは。

現場で働く従業員の皆さんが毎日笑顔で気持ち良く働けるよう裏で支えるのが、私達管理本部(人事総務部)の仕事です。現場での「お客様」は、マンションの居住者の方々ですが、人事総務部の「お客様」は、従業員の皆さんです。

人事総務部では、障がいを持つ方も、それぞれの障がいの特性に合わせて、その人にできることで従業員の皆さんのしあわせ「感」理のお手伝いをしています。

今回は人事総務部で働く障がい者の社員について、私達、MとKがご紹介したいと思います。

(写真左より)K、M、上司です!

 

1. 障がい者雇用における法定雇用率とは

企業が雇用しなければならない障がいを持つ人の割合です。障害者雇用促進法が1976年に制定され、障がいを持つ人の雇用を安定させるために導入されました。法定雇用率が導入された背景は、障がい者の雇用率が低い水準にあったからです。

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者の割合を、法定雇用率以上にする義務があります。民間企業の法定雇用率は、現在2.5%です(2026年度より2.7%へ)。従業員を40人以上雇用している事業主は、障がい者を1人以上雇用しなければなりません。

障がい者雇用は義務なので、法定雇用率を満たしていない事業主に対しては、障害者雇用給付金の徴収や、ハローワークからの行政指導、厚生労働省のホームページに企業名の公表等のペナルティが課せられます。(M)

 

 

2. ハーモニーについて

成り立ち

ホームライフ管理には、人事総務部内に「ハーモニー」という、障がい者雇用のグループがあります。

今から10年以上前、当社では障がい者を雇用しておらず、法定雇用率を満たしていないと行政指導が入ってしまいました。「2年以内に法定雇用率を満たす人数の障がい者を採用しない場合、企業名を公表します」とのこと……!!

これはまずいと、慌てて障がい者雇用に取り組み始めましたが、障がい者に関して何の知識もなく、行き当たりばったり的に始めたもので、採用した障がい者に対してどのように接し、指導したらよいのかよくわかりませんでした。こちらのフォローが足りず、社内の障がい者に対する理解度も上がらなかったので、入社された障がい者の社員は職場に冷たい壁を感じてなかなか馴染めず、問題を起こしてすぐに辞める…の繰り返しでした。

そんな失敗の連続でしたが、そこからそれぞれの障がいの特性や対応方法を学び、試行錯誤の末、なんとか数名の障がい者が定着するようになってきました。そうして出来上がったのが「ハーモニー」です。

現在は聴覚障がい者2名、知的障がい者2名、発達障がい者1名の計5名が活躍中です。

「失敗は成功の基」とはよく言いますが、ハーモニーの成り立ちもまさにその言葉がぴったりとあてはまります。

 

「ハーモニー」というグループ名は、実はこのブログを一緒に書いているKさんが名付け親なのです。初めはメンバー間だけの呼び名というつもりだったのですが、いつの間にか組織図にも載るグループ名となりました(Kさん、エヘン!と得意顔(^^))。

ハーモニー=調和という意味がありますが、その名のとおり、メンバーの皆さんは直接コミュニケーションを取ることで「和」を大切にしています

毎朝の朝礼で1日の仕事の流れを皆で確認し、完了したら必ず報告をします。

また、毎月1度は上司と1対1で面談があり、仕事を進める上で困っていることの相談、「こうした方が良いのでは?」といった意見交換を行っています。

そのおかげで、メンバーのスキルは着々と上がってきています。メンバー同士で仕事を教え合いながら頑張っています。

 

指導してくれる上司は、仕事に関しては厳しく、細かく、鬼ですが、私達が自信がなく不安そうな顔をしていると、「何かあったら全部僕が責任取るから大丈夫!」と声をかけて安心させてくれる、とても頼もしい方です。惚れちゃいます!

この方は、ハーモニーで働く聴覚障がい者と上手くコミュニケーションを取るために、独学で手話を覚えたそうです。今では管理本部の朝礼や会議等、あらゆるところで手話通訳をしてくれる腕前です。

ここも惚れ惚れポイントです(笑)(M)

 

 

仕事の内容

ハーモニーで行っている主な仕事をご紹介します。

  • 請求書等の封入(多い時は1日700通も!!)
  • 郵便物の差出・受取・仕分け、社内便の回収・配布・発送
  • 事務用品等、備品の発注・補充
  • マンション管理員の勤務シフトの勤怠システムへの登録
  • マンション付属設備点検報告書等のPDF化
  • マンション管理委託契約書等のPDF化及び管理システムへのデータ保存

 

人事総務部のお仕事が中心ですが、他部署から依頼された仕事のお手伝いもしています。

メンバーそれぞれの障がい内容やスキルにより、できることは限られてはいますが「自分にできることを最大限の力を発揮して、正確に、丁寧にこなすこと」をモットーに、日々精進しています。

 

 

こんなこともしています(職場見学会、実習生の受け入れ)

ハーモニーでは、障がい者の職場見学会や、入社を希望される方の実習生としての受け入れも行っています。

2023年末に開かれた職場見学会では、聴覚障がいの方が8名来られて意見交換会も行われ、当社に興味を持たれた方々からたくさんの質問を受けました。

同じく聴覚障がいを持つ私が回答しましたが、この障がいの特性上、人前で話をすることがほとんどないので緊張してしまい、簡単な答えしか言えませんでした。上司はさすが、慣れているので、話の流れがスムーズで理解しやすく、上手くフォローしていただいてありがたかったです。またまた惚れちゃいました!

また同様の職場見学会がある時は、もっと上手く対応できるよう頑張ります。

 

2024年5月中旬、ハーモニーへ入社希望される障がい者の方を2週間受け入れました。

トレーナーである私が、点検報告書のPDF化をはじめ、入社書類の印刷・補充や社内便の配布、郵便物のチェックや受信したFAXの仕分け作業等教えました。

ただ、教え方が難しく、初めはお互いに戸惑ってしまいました。

その時、上司から、次のトレーニングの4ステップを教わりました。

①準備(業務内容の説明)

②提示(トレーナーがやってみせる)

③実行(実習生にやってもらう)

④評価(修正もしくは誉めます)

これが大事だとアドバイスをいただき、身振り手振りを使って繰り返し教えていくことで、実習生が少しずつ作業を進められるようになりました。そして、その方の本採用が決まりました。

私達の教え方が悪くて、「こんな会社には入りたくない!」と断られたらどうしよう…と心配でしたが、当社(ハーモニー)を選んでいただいて、ほっとしました。

今後一緒に働く方には、できたことをしっかり評価して(誉めて)自信を持たせ、仕事にやりがいを見つけて、私達と一緒に長く勤めていただきたいと思います。(K)

 

 

 

3. 手話勉強会

2024年3月より、私達、人事総務部の聴覚障がい者を講師として、管理本部内で毎週1回手話の勉強会を開催しています。

手話勉強会を始めたきっかけは、前述の2023年末に開かれた聴覚障がい者の職場見学会です。当時の人事総務部部長が、「自分も手話で自己紹介する」と、簡単な手話を覚えてくれました。

部長のみならず、職場の皆さんが手話ができるようになったら、もっとコミュニケーションが上手く取れるようになるかな、と思い、部内で手話勉強会を開催してみないかと皆さんに声をかけてみたところ、思った以上に多くの方が賛同してくれました。

なんと、社長もお忙しい中、参加してくださいました(写真が残っていないのが残念です…)

 

これまでは社内での聴覚障がい者とのコミュニケーション方法は、口話か筆談のみでした。

口話では読み取れなかったり、筆談は常に紙とペンを持ち歩いている人ばかりではありません。

また、長い話は書くのが面倒だし…で、お互いに遠慮して話さないということも多くありました。

でも皆さんが手話を覚えてくれたおかげで、本当に以前よりもコミュニケーションが上手く取れるようになってきました。仕事の指示や説明時に手話をつけていただくと、理解度が少し上がります。

手話勉強会の参加者は管理本部の社員中心ですが、手話を覚えた参加者が、他の部署の上司や部下、同僚に教え…といった形で広まっていて、今ではいろんな人が会うと手話で「おはようございます」、「お疲れ様です」と挨拶してくれます。皆笑顔になり、とても嬉しいです。

 

手話は紙もペンも不要で、手の動きと表情ですぐに伝わります。

声を出さなくても伝わるので、どんな場所でも会話ができるのです。

例えば、病気で声が出せない時、駅のホームや道路を挟んで離れた場所にいる人との会話、電車や人混みの中等の、声が聞こえないようなうるさい場所での会話等々…

人に聞かれたくない内緒話もできます。とても便利です。

 

また、加齢とともに耳が遠くなった時に手話が使えたら、コミュニケーションに困らずに幸せな老後を送ることができます(と思いたいです!)。他人事とは思わず、皆さんも手話を学んでみてはいかがでしょうか。(M&K)

 

 

4. 最後に

今回はマンションライフとは全く関係のない内容となってしまいましたが、マンションやビルの現場で働く従業員の皆さんを裏で支える障がい者の皆さんの存在も知っていただきたく、ホームライフ管理における障がい者雇用の取り組みについて、お話いたしました。

健常者、障がい者という枠組みを取り払い、皆が笑顔でコミュニケーションが取れる、しあわせな社会になることを願っています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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竹林貞治

ホームライフ管理
管理本部 人事総務部 総務課
竹林 貞治(たけばやし さだはる)

10数年人事総務部で過ごし、約4年ほどマンション管理員をサポートする部署へ異動。現在は人事総務部へ出戻ってきました。
支えるだけの『縁の下の力持ち』にとどまらず、自ら動くことによってチームが活発になる『潤滑油』になることをモットーにしています。

マンション管理員をサポートする部署在籍時はマンション管理員による的確な事務手続きや担当フロントとの良好なコミュニケーション、
居住者のためにより快適な空間を提供するためにマンション管理員のスキル向上をサポートしていました。
人事総務部へ異動となりましたが引き続きマンション管理員研修にも携わることとなりましたのでこれからもよろしくお願いいたします。


ちなみに人事総務部では障がい者雇用に携わり手話を覚え、現在も聴覚障がいの社員と手話で会話していることが特技かな??
週末はボーイズリーグや少年野球の審判をして体を動かし健康も気にかけていますが一向に痩せないのは何故だろう・・・。

保有資格
・マンション管理士
・管理業務主任者
・警備員指導教育責任者
・宅地建物取引士
・マンション維持修繕技術者
・賃貸不動産経営管理士
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