株式会社ツツミワークス神奈川支店の中山竜(なかやまりょう)です。
前回、アフター点検の流れについて、ご説明させて頂きました。
また、前回配信者が2021年8月から2022年7月までの1年間にわたり配信を行った『大規模修繕工事準備編から実施編まで』をストーリー仕立てで充実した内容が盛り込まれていますのでまだお読み出ない読者様はぜひ、第一回目のブログ【一体なにからはじめればいいの?】から読んで頂ければと思います。
マンションの資産価値の維持・向上を行っていくには、定期的なメンテナンスが必要となってきます。大規模修繕工事が終わったからといって、定期的なメンテナンスを怠ってしまうと、マンションの資産価値の維持・向上ができず、せっかく大切な修繕積立金を使って大規模修繕工事を行ったのに、無駄になってしまいます。そうならない為にも、定期的なメンテナンスを行い、マンションの資産価値の維持・向上を行っていきましょう。その定期的なメンテナンスというのがアフター点検になります。
今回は1年目のアフター点検、2年目のアフター点検について、具体的にどういったところをチェックしていけば良いかのお話となります。
1年目のアフター点検
1年目のアフター点検では、大規模修繕工事で行いました、全ての工事項目が保証の対象となりますので、屋上から共用廊下、階段、外壁、外構など建物全体をチェックしていく必要があります。
大規模修繕工事にて施工を行った箇所に不具合が発生していれば、保証の範囲内であれば、無償にて対応を行ってもらいます。
保証の範囲内の一例として、
下地補修工事・・・補修部再発。
シーリング工事・・・施工箇所の剥離・施工箇所からの漏水。
外壁塗装、鉄部塗装工事・・・施工箇所の剥離・鉄部の発錆。
防水工事・・・施工箇所からの漏水。
となり、上記保証内容に該当していれば、無償にて対応を行ってもらえます。
また、金物工事等でバルコニーの物干し金物や集合郵便受けなど大規模修繕工事の時に交換工事を行っていれば、施工業者は性能保証で1年間は保証書を発行していると思われますので、保証範囲をご確認の上、施工業者にご相談してみて下さい。
1年目のアフター点検では、共用部点検の実施及び施工業者から各住戸へバルコニーアンケートを配布されます。
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共用部点検
管理組合・監理者・施工業者3者立ち会いにて、屋上から共用廊下、外部階段、外壁、外構など建物全体を目視や打診棒を使って打診し、チェックを行っていきます。
チェックポイントとしては、
屋上・・・防水層からの漏水・臭気筒などの鉄部の発錆。
外壁・・・張替えたタイルからのエフロレッセンス(白華現象)・仕上げ塗装の剥離。
共用廊下・・・天井・壁の仕上げ塗装の剥離・排水溝防水層・床シートの膨れや剥がれ。PS扉や玄関枠などの発錆。

外部鉄骨階段

外壁塗装(塗膜剥がれ)

外壁タイル(エフロ)

防水層(保護塗装剥がれ)
このような不具合については、大規模修繕工事にて施工を行っていれば、保証の対象となるため無償にて対応してもらえます。
1年目のアフター点検での施工箇所の大きな不具合というのは、施工をしっかりと行われていれば、基本的にはないと思われますが、まれに、大規模修繕工事竣工時の検査では気付かなかった、または見落としていた部分の不具合についても、保証範囲として、施工業者にご相談下さい。
但し、経年での劣化や日常生活での故障(例えば不注意等で壁の塗装やタイルを傷つけてしまったなど)については、保証範囲外になる事が通常であり、そのような場合には施工業者にご相談下さい。例え、保証範囲外になったとしても、そのまま不具合を放置してしまうと、劣化が大きく進行してしまう場合がありますので、補修実施の必要性について施工業者にご相談下さい。
また、管理人さんがいるようであれば、管理人さんにマンションの不具合等について、ヒアリングをしてみてもいいかもしれません。管理人さんは日々、マンションの清掃などで建物の巡回を行っています。その他にも、各居住者の方とお話している中で、普段、居住者の皆様が気付かない細かな所の不具合を見つけているかもしれませんので。
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バルコニーアンケート内容の確認
各居住者の皆様に対して施工業者からバルコニーアンケートが配布されます。
バルコニーアンケートでのチェックするポイントとしましては、各居住者の皆様から提出されたバルコニーアンケートを基に、どのような指摘があるのか施工業者から報告がありますので、それらの指摘が共通する指摘であるのか、はたまた単発的なものなのかの確認を行います。
もし、共通する指摘であれば、その指摘をあげていない他の居住者の方のバルコニーにも同じ指摘があるかもしれないので、施工業者に対して、各居住者のバルコニーを点検する時、共通する指摘を重点的に確認するよう指示することができます。もしその指摘が保証範囲内の不具合であれば、補修対応を求めることができます。
バルコニー内の指摘に関しても、保証範囲外の内容であれば、不具合の内容に応じて、施工業者に相談・協議の上、見積依頼・施工依頼の有無を管理組合様で協議して下さい。
2年目のアフター点検
2年目のアフター点検での保障の対象については、金物工事を除く工事項目になりますので、建物全体をチェックしなければならないのは、1年目のアフター点検と同じですが、この2年目のアフター点検で、特に重点的に点検を行わないといけないのは、塗装を行った天井、PS扉などの鉄部になります。雨樋などの塩ビ製品についてもこの鉄部に含まれます。この2項目共に、通常2年の保証になりますので、こちら2項目を重点的に点検していきます。
2項目のチェックポイント
天井・・・塗装の剥離など。
鉄部(雨樋含む)・・・塗装の剥離・発錆など。
(参考写真)
特に、雨が掛かる部分の鉄部に関しては,非常に錆が発生しやすいので、良く点検する必要があります。
例えば・・・屋上の臭気筒・消火栓ボックス・側溝部分のドレンキャップ。

臭気筒(発錆)

ドレンキャップ(発錆)
2年目のアフター点検以降、バルコニーアンケートを施工業者にて配布することはありませんが、バルコニーに関しても不具合があり、保証範囲内であれば、施工業者に補修対応を求めることができます。
まとめ
今回1年目のアフター点検・2年目のアフター点検でのチェックポイントをご説明させて頂きました。1,2年目のアフター点検については、大規模修繕工事を担当していた現場代理人が立ち会うことが一般的です。マンションの修繕箇所やマンションのどこが弱点だったのかを熟知していますので、細部まで点検することが可能となります。管理組合様もこのアフター点検に積極的に参加してマンションの資産価値の維持・向上に携わっていきましょう。

中山竜
中山 竜(なかやま りょう)
高知県出身。七夕生まれ。
2011年入社。
施工管理12年。マンション改修一筋で努めてきました。
【去年の自分よりも成長する】をモットーに日々学ぶことを大事にしています。
皆様のお役に立てる情報を発信できるよう頑張ります!!
保有資格:1級建築施工管理技士

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