マンションにおける管理費の相場は、駐車場などの使用料も含めると月額10,000~20,000円ほどが相場で、平均17,103円です。設備や住戸数などによって、適切な価格は変わります。管理費設定の基準や価格設定の方法などについても解説します。
マンションを購入する際、マンション自体の費用と合わせて発生する代表的な費用が管理費です。管理費にも相場があり、マンションの特性によって費用が決められます。
今回は、マンションにおける管理費の相場や金額の基準などについて、管理組合員の方向けに解説します。適切な価格の設定方法についても解説しているため、現在の管理費と照らし合わせながらご覧ください。
管理費の相場
国土交通省が発表した「令和5年度マンション総合調査」によると、駐車場などの使用料からの充当額を除く管理費の全体平均は、ひと月当たり11,503円でした。
最も多い価格帯は、10,000円超~15,000円以下で全体の30.8%で、その次に7,500円超10,000円以下の20.6%となっています。
また、使用料からの充当額を含めた管理費の全体平均はひと月当たり17,103円で、15,000円超~20,000円以下の26.1%が最も多く、10,000円超~15,000円以下の25.9%が続く結果となりました。
ただし、マンションの管理費はマンションの形態や総戸数、地域によっても大きく変動します。総戸数が少ないマンションや施設が充実しているマンションは、管理費が高くなる傾向にあり、50,000円を超える物件もあれば、逆に2,500円以下で収まる物件もあります。
管理費の用途と金額を決める基準
マンションの管理費はどのようなことに使われ、どういった基準で管理費が決められているのでしょうか。
以下で、マンションの管理費に関する用途と金額を決める基準について解説します。自分が住んでいるマンションの事情と照らし合わせると、理解度が深まるでしょう。
用途
マンションの管理費は、マンションを日常的に管理する上で必要なあらゆるシーンに使われています。
具体的には、管理委託費(管理員業務、エレベーターなど共用設備の保守・点検、共用部の清掃など、マンションの管理事務について管理会社へ委託した際の委託業務費)の他に、公租公課。共用部に係る損害保険料、経常的な補修費、管理組合の運営に要する費用などがあげられます。
なかでも、特に多くの費用が使われているのが、マンションの管理会社へ支払われる管理委託費です。
マンションを管理する際は、管理組合が関わりますが、管理組合のみでは対応できないことが多く、マンション管理自体は管理会社へ委託するのが一般的です。そのため、マンションの管理費として徴収した多くの費用が管理委託費となっています。
また、コンシェルジュや警備員などが在中しているマンションでは、その際に発生する人件費もマンションの管理費から支払われています。
つまり、マンションを管理する上で日常的に発生する費用は、マンションの管理費からまかなわれているということです。
金額を決める基準
マンションの管理費を決める基準は、主に3つあります。以下の3点を確認し、自分が住むマンションの管理費は適正な価格であるのかを考えてみましょう。
最終的に管理費の金額を確定させるには、以下の3点を含めた総合的な判断になります。
管理費が安くなりやすい要素を一部押さえていても、高額になりそうな突出した要素があれば、管理費は高額になることもあります。
戸数
戸数が多いと、管理費が比較的少額になる傾向にあります。その理由は、戸数は母数としての役割を果たすためです。
全体的な管理費を戸数で割った金額が、1人あたりの管理費となります。そのため、戸数が多いとマンションの管理費は比較的抑えられます。
設備の充実度
マンションの共用部の設備が充実していると、その分管理費は高額になります。
特に、マンション内にフィットネスジムやラウンジなどの設備が設置されている物件は、管理費が比較的高額です。また、コンシェルジュや警備員などの人員が配置されているマンションも、管理費が高額になる傾向にあります。
共用部の広さ
共用部の広さも、管理費の金額へ影響します。共用部が広いと、その分電気代や清掃の手間などが多く発生し、管理費もおのずと上がる傾向にあります。
また、土地代が高い地域は特に注意が必要です。敷地内に設置されている駐車場やゴミ置き場が広いと、管理費も比例して高額になります。土地代には駅からの距離や周辺施設の充実度など、利便性が金額に反映されます。ニーズが高い土地ほど、土地代も高額になると把握しておきましょう。
管理費以外にマンションの維持に必要な費用
購入したマンションに住む際は、マンション自体の金額や管理費以外にも支払う必要のある費用が複数存在します。
管理費以外にマンションの維持に必要な費用を5つご紹介します。自分の生活状況と照らし合わせながら必要な費用を算出し、日々のお金に関する管理に以下の情報を役立てましょう。
修繕積立金
修繕積立金とは、12~15年周期で行われる大規模な修繕工事のために、区分所有者全員から徴収する積立金のことを指します。
マンションの価値を維持するためには、定期的な修繕がかかせません。大規模な修繕となれば費用が高額となるため、少額ずつ区分所有者から徴収していくシステムが採用されています。
大規模な修繕工事として行われる工事は以下の通りです。
●屋根や屋上の改修工事
●共用スペースの改修工事
●外壁の改修工事
●地震や台風などの自然災害で被害を受けた部分の修繕工事
●廊下・バルコニー床の防水工事
●駐車場や駐輪場の増設
「令和5年度マンション総合調査」によると、駐輪場などの使用料からの充当額を除く修繕積立金の全国平均はひと月当たり13,054円で10,000円超~15,000円以下が最も多く30.4%でした。7,500円超~10,000円以下が13.7 %、15,000円超~20,000円以下が13.8%とほぼ同じ割合で分かれています。
使用料からの充当額を含めた修繕積立金の全体平均は、13,378円で10,000円超~15,000円以下の35.7%が最も多く、15,000円超~20,000円以下の18.2%が次ぐ結果となっています。
修繕積立金は、国土交通省が作成した「長期修繕計画作成ガイドライン」を参考にして金額が定められています。また、修繕積立金には毎回支払う金額を一定にする「均等積立方式」の採用を基本としています。しかし、従来はとくに新築時については均等積立方式よりも、段階的に増額させる「段階積立方式」を採用するマンションの方が多く見られました。
長期的な修繕計画は通常5年ごとに見直されますが、突発的に工事が必要になるケースはどんなマンションでも起こり得ます。その際に均等積立方式を採用していた場合は、改めて修繕積立金の見直しが行われるでしょう。
駐車場代・駐輪代
車や自転車を利用している方であれば、駐車場代や駐輪代も別途支払うことになります。駐車場代は、月5,000~30,000円ほどが相場です。地域によって、金額に非常に差があります。都心であれば、50,000円以上するエリアも存在します。
駐輪代は、1台につき500~1,000円ほどが相場です。駐輪代も地域によって金額に差があり、なかには駐輪代を無料にしているマンションもあります。
また、分譲マンションを購入していても、駐車場は賃貸方式で借りるのが一般的です。もし分譲方式で駐車場自体を購入した場合は登記費用や毎年の固定資産税などが発生することになります。
施設使用料
専用の庭やルーフバルコニーが設置されているマンションもあります。これらのスペースがある部屋を契約すると、別途使用料がかかる場合があります。
また、地下や住戸の近くなどの共有スペース卯にトランクルームを設けているマンションもあり、こちらも別途使用料がかかる場合があります。こうした施設の使用料は、管理費や修繕積立金とともに支払います。
税金
マンションを所有している方は、固定資産税を支払わなければなりません。地域によっては、都市計画税もあわせて徴収されます。固定資産税と都市計画税の算出方法は以下の通りです。
●固定資産税:固定資産税評価額×1.4%(税率)
●都市計画税:固定資産税評価額×0.3%(制限税率)
固定資産税評価額とは「固定資産税評価基準」に基づき、各自治体の担当者が個別に決める評価額のことです。
建物の築年数・立地・規模などによって、評価額が決まります。
また、固定資産税も都市計画税も、地域によって税率に差があります。自分が住んでいる地
域の税率は、該当する自治体の公式ホームページや窓口で確認しましょう。
保険料(火災保険・地震保険)
所有しているマンションでの火災や地震への備えとして、保険に加入する場合もあるでしょ う。火災保険や地震保険にはさまざまな種類があり、全体的な保険料も選ぶ内容によって大 きく変わります。もちろん、複数の保険に加入するほど支払う保険料は高くなります。
火災保険への加入は強制ではありませんが、万が一の備えとして多くの場合加入を勧められます。とくに、住宅ローンを組む場合は住宅が担保となるため、火災保険への加入は重要視されるポイントです。
地震保険の加入も任意ですが、地震を原因とした損害は火災保険では補償されない可能性があります。近年頻繁に発生する地震への備えとして、火災保険とともに加入する必要があります。自分の生活状況と照らし合わせながら、検討しましょう。
管理費や修繕積立金の適切な設定方法
管理費や修繕積立金は、適切な金額を設定するのが理想です。しかし、適切な金額を設定す るには工夫が必要です。
管理費や修繕積立金の適切な設定方法を3つご紹介します。
専門業者に適正金額を見積もってもらう
管理費や修繕積立金の金額を設定するために、専門業者へ見積もりを依頼することで、金額 の妥当性を保持できます。マンションの管理や工事などに関する見積書には、専門用語が多 く記載されています。
そのため、見積書に記載されている用語の意味を理解するのはなかなか困難です。用語の意味を理解するのが困難であれば、金額自体が適正なのかを見極めることもできない可能性があります。
中立な立場で見積もりをしてもらえる業者に依頼することで、適正な金額を提示してもらえます。自分が詳しくない分野に関しては、その分野に関するプロの力を借りることが効果的です。
業務委託費の見直しを提案する
マンションの管理費は、業務委託費で大半を占めています。そのため、管理費を抑えたい場 合は、業務委託費から見直しましょう。
業務委託費は、主に以下の要素で構成されています。この要素から減額できる部分はないか を、業者と相談しながら決めていくことが重要です。
- 事務管理業務費(管理業務全般にかかる費用)
- 人件費(管理業務に関わる人員への報酬や経費)
- 清掃業務費(清掃業務にかかる費用)
- 建物・設備管理業務費(メンテナンス費用・メンテナンスに関わる人件費)
- 管理報酬(管理会社の利益)
減額を希望する場合は、勤務時間の短縮や必要な業務の選別などで減額できるのかを検討しましょう。
また、場合によっては管理会社自体を変更する方法も得策です。複数の管理会社へ見積もり をとり、各管理会社と打ち合わせをしながら、管理会社を変更したほうがよいのかを検討し ましょう。
現時点での管理会社へ複数の管理会社に見積もりをとっている旨を伝えると、値下げに応じてもらえる場合もあります。業務委託費を見直す際は、業務内容や管理会社自体の見直しから行いましょう。
国土交通省のガイドラインを参考にする
修繕積立金の平均値を確認したい場合は、国土交通省が発表している「マンションの修繕積 立金に関するガイドライン」を参考にしてみましょう。修繕積立金に関する平均額の目安は 、以下のように設定されています。
地上階数・建築延床面積
修繕積立金額の平均値
20階未満
5,000 m2未満
335 円/m2・月
5,000 m2以上~ 10,000 m2 未満
252 円/m2・月
10,000 m2以上~ 20,000 m2 未満
271 円/m2・月
20,000 m2以上
255 円/m2・月
20階以上
338 円/m2・月
大半のマンションは平均値よりも下回る額を設定していますが、なかには平均値を著しく上回る額を設定しているマンションがあるかもしれません。その場合は、修繕積立金の見直しを図るきっかけとなります。
管理費に関するQ&A
管理費について考えるうえで、よくあるQ&Aを3つご紹介します。各Q&Aの内容を把握し、 自分が住んでいるマンション事情に当てはめて考えてみましょう。
共益費との違いは?
「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」によると、共益費は「借家人が共同し て使用又は利用する設備又は施設の運営及び維持に関する費用」を指し、管理費は「マンシ ョンの事務を処理し、設備その他共用部分の維持及び管理をするために必要とされる費用」 を指します。
管理費の方が、定義している範囲は広いです。しかし、管理費と共益費の各使い道に明確な 規則はなく、業界的には独自で使い分けている場合がほとんどです。
そのため、管理費=共益費と認識されており、管理費と共益費を両方徴収されることはあり ません。
消費税はかかる?
管理費または共益費として徴収される費用は、非課税として徴収されます。国税庁が提示し ている「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」において、管理費や共 益費に該当する費用は非課税であると定めています。
安ければ安いほどよい?
マンション管理に求めるものは人それぞれです。もちろん、管理費は安ければ安いほどよい という評価をする方はいらっしゃるはずですが、なかにはマンション管理としてそれなりの 質を求める方もいらっしゃるでしょう。
そのため「費用のわりにサービスが行き届いている」という費用対効果を実感する場合は、 管理費の価格設定がよいという評価につながります。 たとえば、高級マンションやタワーマンションなどであれば、マンション内に設置されてい るジムや会議室などに関する一部の費用が管理費に含まれている場合もあります。 その場合、ジムや会議室を使わない方には無駄に感じてしまう費用になるでしょう。一方で 、ジムへ頻繁に通う方にとっては、マンション内にあることで便利さを感じ、費用対効果を 感じるでしょう。
マンション内の設備が充実していると、やはりその分管理費は高額になる傾向にあります。 そのため、自分が住むマンションに「求めているもの」「求めていないもの」を選別しなが らマンションを選ぶことが大切です。
まとめ
今回は、マンションにおける管理費の相場をマンションの管理組合員である方向けに解説し ました。管理費の相場はひと月当たり10,000〜20,000円ほどであり、戸数・設備の 充実度などを基準に、管理費が決められます。
また、管理組合だけでは管理しきれない業務はほとんどの場合委託することになります。そ の際に発生する管理委託費も、適正な価格で設定されているかなど、精査しながら信頼でき る管理会社に依頼することが大切です。
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