こんにちは。あなぶきセザールサポート飯野です。
本日は10年目以降に実施をしなければならない消防用設備点検(連結送水管耐圧検査・消防ホース耐圧試験)についてご説明します。
竣工後10年経過してから新たに費用が発生するため、管理費会計の収支に余裕が無い管理組合は要注意です。
※2016年6月19日に公開した記事に修正して、2016年12月25日に再度公開しています。
目次
- 消防設備点検とは
- 連結送水管耐圧検査とは
- 消防ホース耐圧試験とは
- まとめ
・消防設備点検とは
本題に入る前にまずは消防設備点検について説明します。
消防用設備等を設置することを消防法で義務づけられている防火対象物の関係者は、その設置された消防用設備を定期的に点検を実施し、その結果を消防長または消防署に報告する義務があります。(消防法17条 3の3による)これら点検や報告を含めて「消防設備点検」と呼んでいます。
消防用設備等とは、たとえば消火器やバルコニー・ベランダの床に設置してある非難ハッチやお部屋の中にある感知器等です。分譲マンションはこれら消防用設備を備えているため、管理者はそれら設備の点検を実施しその結果を消防署へ報告しなければならない、と定められています。これらの消防用設備等はマンションが竣工した1年目から点検が義務付けられていますが、竣工10年後に初めて開始する消防設備点検があります。それが連結送水管耐圧検査と消防ホース耐圧試験です。本日はこの2つの検査についてご説明します。
・連結送水管耐圧検査とは
連結送水管設備とは消火活動時に消防隊が使用する設備で、外部からの消火活動が困難となる7階建て以上の建物、または5~6階建てでかつ延べ面積が6,000㎡以上のマンションに設置が義務づけられており、設置(製造年月)後10年を経過したものについては、消防法により3年毎の耐圧検査の実施が義務づけられています。
点検基準:ホースの端末部に充水し、耐圧試験機等により所定の水圧を5分間かけて確認する。
判断基準:変形・損傷等がなく、ホース及び金具との接続部から著しい漏水がないこと。
点検費用(目安)
1系統の場合:90,000円程度
※40戸程度のマンションの場合(規模形状により異なります。)
・消防ホース耐圧試験とは
消防ホースとは屋内消火栓の中に収納されているもので、消防車が連結送水口から水を送り、屋内消火栓の消防ホースから水をまいて消火活動を行うためのものです。
このホースについて、設置(製造年月)後10年を経過したものは機器点検時にホースの端末部に所定の水圧をかけて漏水しないことを確認します。
ホースを新しく交換した場合は取替え(製造年月)後10年間は耐圧性能試験が免除となります。一回のコストで比較すると耐圧試験の方が安価ですが、10年間のスパンで考えるとほぼ同等の費用となります。また耐圧試験をしても不合格の場合には是正措置(交換)をしなければならないため、結果的に最初から交換したほうが安価となります。
消防ホースの耐用年数は全く使用しない状態で10年、使用した場合は6年~7年と言われています。消防ホース耐圧試験が始まる時期に点検費用・交換費用を比較検討してみましょう。
点検費用(目安)
0.7MPA(メガパスカル) 2本の場合:25,000円程度
※40戸程度のマンションの場合(規模形状により異なります。)
※11階以上は0.9MPAとなり若干費用も値上がりします。
・まとめ
連結送水管耐圧検査および消防ホース耐圧試験の実施義務が生じると、点検の実施年には約12万円の支出が発生し、管理費会計に余裕の無い場合、赤字会計となる組合もでてきます。連結送水管は建物全体に配管されていて大がかりな工事となるため、点検を実施するしか選択肢はありませんが、消防ホースの交換は点検費用3回分程度の支出のため、交換を選択される管理組合も多いです。わずかな費用ですが出来るだけ日々のコストを削減できるよう、管理会社のフロントからアドバイスをもらいましょう。
飯野琢磨
前職では大工や建築積算を経験。入社後、マンション修繕工事のコンサル業務、分譲マンションのリプレイス営業、分譲マンションのフロントを経験。
マンション管理のことについてはもちろんのこと、リフォームやリプレイスなどさまざまな視点から幅広い情報を提供します。
所有資格:一級建築士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士
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