憧れのマイホームを買った人、土地を相続した人、老後の年金不足を補ったり、財産形成をめざすために不動産投資をしている人など、不動産に関わる理由はさまざまです。今回は、時系列に沿った不動産に関する税金の流れについてお話します。
目次
- 時系列に沿った不動産にかかる税金のあれこれ
- 節税策の基本となる不動産に関わる税金について
- 不動産所得の必要経費として認められる「租税公課」
- まとめ
時系列に沿った不動産にかかる税金のあれこれ
不動産に関係する税金を考えるときには、不動産を取得したとき、土地を保有しているとき、そして譲渡したときにかかる税金という流れで、不動産を時系列で考えると分かりやすいです。
■不動産には次のタイミングで、さまざまな税金がかかります。
- 購入時・・・不動産取得税、登録免許税、印紙代、消費税など
- 保有時・・・所得税、住民税、固定資産税、都市計画税、消費税など
- 売却時・・・所得税、住民税、印紙税、消費税など
この他、相続が発生した場合には、相続税の対象となるなど、不動産には常に何らかの税金が関わってきます。税務署にとっては、「不動産は税金の宝庫」といえます。
節税策の基本となる不動産に関する税金について
購入時
- 不動産取得税:不動産(土地・家屋)取得時に1度だけ評価額の一定率で課税
- 登録免許税:不動産取得の際、登記に関して評価額の一定率で課税
- 印紙税:不動産取得の際の契約書や領収書などに貼付して納める
- 消費税:建物の取得の際、その取得金額に税率をかけた金額を支払う
保有時
- 所得税:不動産貸付を行った際、そこで得た所得に対して課税
- 住民税:毎年1月1日の所有者に評価額の一定率で課税
- 固定資産税:毎年1月1日の所有者に評価額の一定率で課税
- 都市計画税:不動産収入(土地貸付、居住用貸付除く)に対して課税
売却時
- 所得税:不動産譲渡益に対し所有期間に応じて一定率で課税
- 住民税:不動産譲渡益に対し所有期間に応じて一定率で課税
- 印紙税:不動産売却の際の契約書や領収書に貼付して納める
- 消費税:売却不動産(土地除く)の売却金額に税率を掛けた金額を受け取る
その他
- 相続税:相続時に保有していた不動産についてその評価額が財産として課税対象
不動産所得の必要経費として認められる「租税公課」
家を買った人、子供が産まれた人、病院に通った人・・・そんな人は確定申告すれば、納めすぎの税金が返ってきます。不動産を保有し賃貸事業している人にも所得税・住民税・事業税、固定資産税・都市計画税がかかりますが、確定申告で税金が還付されることもあります。事業所得の節税の基本は、収入金額を減少させるか、必要経費を増加させるかしか方法はありません。収入金額を減少させることは事業目的からすると本末転倒です。収入を上げるために支出した租税公課や必要経費を漏れなく帳簿に記載することが大切です。細かいことをコツコツと積み重ねることに尽きます。不動産はその金額が高額になるため、それに付随する税金も高額になります。資金計画やライフプランを立てる際に税金の存在は欠かせません。「不動産所得の必要経費」として認められる租税公課には、収入印紙、不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の租税公課自体も費用計上できます。
ちなみに、租税公課以外にも、減価償却費、支払手数料、修繕費、損害保険料、地代家賃、専従者給与、備品・消耗品、光熱費、図書調査費、郵送費、通信費、交通費、交際費などは必要経費として算入できます。
まとめ
「税金のことは難しくてよくわからない」とよく聞かれます。税金の仕組みは難しく、なじみの薄いものですが、世の中は大増税時代。消費税が8%(やがては10%)に上がり、さまざまな税金の負担が増えています。管理組合の収益事業にも課税の動きがあります。しかし、そんな中で、減税や節税になる項目もあります。税金の知識がないと、払う必要のない税金を払ったり、受けられる控除が受けられず、みすみす損をすることになります。税務署は納税者が税金を多く払いすぎていても、それを親切に教えてくれませんし、言わないかぎりは戻してもくれません。「自助節税」ということで、私も勉強中です。今まであまり税金に触れる機会の少なかった方への参考になれば幸いです。
北林真一
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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