高圧一括受電でマンション共用部の電気代を削減する方法

松井 久弥

あなぶきセザールサポートの松井です。

今回もマンション管理費の支出削減を考えるシリーズの第三弾として、「高圧一括受電を導入してマンションの電気料金を削減する」方法をご紹介します。

そもそも高圧一括受電とは何なのか、導入する場合の注意事項等についてご紹介します。

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目次

  • 高圧一括受電とは
  • 電気代が安くなる仕組み
  • 導入までの流れ
  • 専有部と共用部、どちらを選ぶ?
  • 削減予測例
  • スマートメーターとは?
  • 注意事項
  • よくある質問
  • まとめ

 

 

高圧一括受電とは

マンション全体で考えた時に、電気はどこから購入しているのでしょうか?今までは地域の電力会社と各住戸が個別に契約をおこない、また共用部分は管理組合が契約をして、それぞれが電気を購入していました。

これを高圧契約に変更することで電気代を削減するのが高圧一括受電です。具体的には、地域電力会社との個別契約を廃止して、マンション全体で一括して、高圧一括受電サービス事業者との契約に切り替えます。あなぶきグループの場合には、あなぶきパワー&リースという会社がこの高圧一括受電サービス事業者として電力提供サービスをおこないます。

<従前までのイメージ>

電力1

 

<高圧一括受電導入後のイメージ>

電力2

 

電気代が安くなる仕組み

各個人が電力会社と個別に契約するメニューが低圧契約である場合、高圧一括受電に切換えることで、マンション全体で一括での高圧契約となります。高圧契約は低圧契約に比較して、割安であり、この価格差を利用して電気料金を安くすることができます。

 

電力3

 

導入後は、電気料金の支払先が、地域電力会社から高圧一括受電サービス事業者へ変更になります。

 

導入までの流れ

既存マンションにおける一般的な導入の流れは以下のとおりです。

  1. 現地調査(マンション高圧一括受電サービス事業者による調査)
  2. 調査結果の確認(この時点で削減効果が期待できる場合、3.以降に進める)
  3. 調査結果に基づく説明会の開催(理事会、全体説明会※複数回開催する)
  4. 総会決議(特別決議が必要)
  5. 電力受給契約変更申込書の回収(全住戸からの回収が必要)
  6. 電力提供サービス契約の締結(高圧一括受電サービス事業者とマンション管理組合)
  7. 電力会社と協議(高圧一括受電サービス事業者と地域電力会社)
  8. 切換え工事
  9. サービス開始

 

専有部と共用部、どちらを選ぶ

電気料金のプランとしては、①専有部(各住戸)の電気料金を削減する「専有部割引プラン」、②共用部(マンション共用部分の電灯や動力)を削減する「共用部割引プラン」、③専有部と共用部を組み合わせた「ミックス割引プラン」の3タイプがあります。

どのプランを選択するかは管理組合の状況に応じて個別判断になるのですが、弊社での導入実績では「共用部割引プラン」が多いように思います。

 

削減予測例

実際に、「共用部割引プラン」を提案したマンションでの削減事例をご紹介します。

電力4

 

スマートメーターとは?

高圧一括受電への切換えに際して、スマートメーターへの切換えをおこないます。スマートメーターとは、従来のアナログ式電力量計とは異なり、電力をデジタルで計測しメーター内に通信機能を持たせた次世代電力量計です。スマートメーター導入により電気の「見える化」に対応でき、具体的には各住戸の電気使用量をパソコンやスマートフォンでいつでも確認することができます。また、電気の検針が遠隔で可能となり、検針員がマンションに立ち入ることが無くなります。

電力5

 

注意事項

高圧一括受電を導入する際には、いくつかの注意点があります。

  1. 総会においては、特別決議が必要となる(4分の3以上の承認)
  2. 総会承認後、全住戸から、電力サービス変更の同意書回収が必要となる。1住戸でも回収できない場合、サービスが開始できない
  3. サービス導入時にマンション全体で停電がある。また、1年に1度の法定設備点検に伴いマンション全体の停電が1時間半程度発生する

 

よくある質問

Q1.電気の品質に問題はあるか?

A1.マンション全体は地域電力会社から電気の供給を受けているので、品質は変わりません。

Q2.導入に際して、管理組合の費用負担はあるか?

A2.サービス導入にかかるイニシャル費用と設備保守等のランニング費用は、通常、高圧一括受電サービス事業者が負担します

Q3.電気代の滞納者が出た場合はどうなるか

A3.高圧一括受電サービス事業者が督促等の対応をおこなうため、管理組合での負担はありません

Q4.契約期間はどれくらいか?

A4.10年程度の契約期間が標準となっています

 

まとめ

電気料金の削減を検討されている管理組合において、高圧一括受電サービスへの変更は選択肢の一つとして有効な手段であるといえます。一方で、マンションの規模や設備によっては導入できないケースもあります。また、全戸からの同意書回収というハードルも考慮すると、検討開始からサービスインまでには、半年から10ヶ月程度の期間が必要となりますので、スケジュールも含めて協議を進めていくことが必要です。

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松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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