あなぶきハウジングサービスの佐藤です。
マンションの長期的な維持管理に『長期修繕計画』は欠かせません。
どのマンション(管理組合)でも各管理会社から作成の提案を受けていることでしょう。
提案を受けて作成をしてみたものの、出来上がった長期修繕計画書を見て
「何が書いてあるかよくわからない!」
と思った人も多いのではないでしょうか。
数字と専門用語ばかりでパっと見て内容を把握するのは難しいかもしれません。
今回はそんなお困りごとを抱える方に向けて、「長期修繕計画書の見方」を3つのポイントでご紹介します。
ポイント① 長期修繕計画の全体像をつかむ
まずは長期修繕計画書の構成を確認しましょう。
長期修繕計画書は大きく分けて3つの項目で構成されています。
(長期修繕計画書の様式は作成する業者によって異なりますが、基本的に記載されている内容はほぼ同じです。)
1.建築工事計画
長期修繕計画書を構成する項目1つ目は『建築工事の計画』です。
大規模修繕工事や建具関係の修繕計画が記されています。
2.設備工事計画
長期修繕計画書を構成する項目2つ目は『設備工事の計画』です。
給排水設備やエレベーターの更新等が記されています。
3.資金計画
長期修繕計画書を構成する項目3つ目は『資金計画』です。
以下の内容が記されています。
① 現在までに積み立てられている金額
② 現在の修繕積立金戸当たり月額
③ 現在の修繕積立金額での収入月額
④ 借入金等による収入
⑤ 上記建築及び設備工事の合計費用
ポイント② 多額の工事費用が発生する箇所を確認する
続いて確認するのは多額の工事費用が発生する箇所です。
建築工事でいえば、下記のように数字が縦に連なって記されている箇所、大規模修繕工事の時期および総額です。
おおよそ12年に1回の周期で実施する見込みで記されていることが多いのではないかと思います。
初めのうちは、細かいひとつひとつの修繕項目や費用は確認しないで、『全体でいくらかかるか』を把握しましょう。
設備工事でいえば、給排水設備の更新やエレベーターの更新の時期と金額を確認します。
各設備の更新は築30年目以降に記されていることが多いのではないかと思います。
築30年目以降は設備の更新に大規模修繕工事と同じくらいの多額の費用が掛かることを確認しましょう。
ポイント③ 資金計画で修繕積立金がマイナスになる時期がないか確認する
最後に資金計画の中の『修繕積立金残高』を左から右に見ていきましょう。高額な建築工事や設備工事を行う年度で残高にマイナスが発生していなければ大きな問題はありませんが、もしマイナスが発生している場合にはその修繕工事に向けて何らかの対策(修繕積立金の値上げや一時金の徴収、借り入れ、あるいは工事の見送りなど…)を考えていく必要があります。
まとめ
以上3つのポイントを確認することで、長期修繕計画書の内容を何となくでも把握できるようになっていただければいです。
繰り返しになりますが、長期修繕計画書の内容で修繕積立金残額がマイナスになっているようであれば修繕計画の見直しや修繕積立金の改定等の検討が必要です。
おそらく現状の修繕積立金の額での資金計画と一緒に、改定案の資金計画も作成してもらえると思いますので、是非、作成した長期修繕計画書を参考に、資金計画の改善に取り組んでみてください。
修繕積立金の改定は、改定する幅等の根拠をしっかりと示さなければ合意を得るのが難しいかもしれません。
長期修繕計画書の内容を十分理解したうえで、定期的に長期的な視点で自分のマンションの将来を見つめることが必要ですね。
佐藤尚斗
2012年に入社し、始めに経理業務に従事した後、現在までマンション管理(フロント)業務に従事しています。主に埼玉・東京エリアのマンションを担当してきました。マンションの会計の健全化、収支改善、修繕・資金計画の策定の提案に力を入れています。
お客様に信頼されるようにお客様起点の提案を行います。
保有資格:管理業務主任者 宅地建物取引士
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