マンションの理事の方必見!管理に関する2つの法律のポイント

北林真一

区分所有法とマンション管理適正化法

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マンションの理事になったらどうしよう?
何をすればよいのかしら?
と、誰しも思うことです。でも、大丈夫です。

プールに入るときに、事前の準備運動や、水をかけて身体を慣らすように、マンション管理に関する基本的な事項を押さえ、理解すれば、理事になっても戸惑うことは少なくなります。

マンション管理に関しては、関係法令や管理組合の仕組み及び運営方法等、幅広い知識が必要となりますが、最初に、マンション管理に関する法令等の全体像を俯瞰しておきましょう。

マンションの管理に関する法令等および実務に関し、以下のものがあります。

これ

目次

  • 区分所有法
  • マンション管理適正化法

今回は、マンション管理に関する代表的な2つの法律についての説明です。

 

区分所有法(正式名称:建物の区分所有等に関する法律)

区分所有法は昭和37年に制定された後、昭和58年に大幅な改正がなされています。区分所有法は、建物の区分所有関係及びこれに伴う敷地関係並びに管理関係について定めており、マンションだけでなく区分所有形態となっている建物すべてに適用されます。

また、昭和58年の改正から老朽化したマンションの建替えの問題等、見直しが必要となったことから、平成14年12月にその一部が改正されました。

 

区分所有法のポイントを押さえておきましょう。

①管理組合の成立

建物が完成し、区分所有関係が成立した時点で、区分所有者全員を構成員とする団体=管理組合が、法律上当然に成立します。

 

②専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止

専有部分と敷地利用権(敷地に関する所有権や賃借権等)は、原則として分離して処分することはできません。(処分とは売買や抵当権の設定等をいいます)。

 

③管理は原則として集会で決議

マンションの管理に関する様々な事項は、原則として区分所有者及び議決権の各過半数以上の集会(一般的には総会)の決議に基づいて行います。

 

④規約

マンションの建物や敷地・附属施設の維持管理、区分所有者の共同の利益、管理組合の運営等マンションにおける根本的なルールが定められています。

 

⑤重要な事項は特別決議で

共用部分の変更(形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く)、管理規約の設定・変更・廃止等の重要な事項については、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の集会の決議が必要です。

 

⑥管理に関する費用の負担

敷地・共用部分・附属施設の維持管理に要する費用は、原則として区分所有者の持分割合(専有部分の床面積の割合)に応じて負担することとなります。

 

⓻占有者の義務

賃借人等の占有者は、建物や敷地・附属施設の管理・使用方法について、区分所有者が規約や総会決議に基づいて負う義務と同じ義務を負います。区分所有者、占有者の同居人についても同様です。

 

⑧義務違反者に対する措置

悪質な義務違反者に対しては、共同の利益に反する行為の停止を請求することができます。また、専有部分の使用禁止、区分所有権の競売を請求、占有者に対しては専有部分の引き渡しを請求することができます。

 

⑧建替え

区分所有者及び議決権の5分の4以上の集会決議により、マンションの建物の取り壊し及び新たな建物を建築する建替えの決議をすることができます。

なお、この場合、集会の少なくとも2月前に招集の通知を発することや、1月前までに建替えを必要とする理由その他所定の事項についての説明会を開催することが必要になります。

 

マンション管理適正化法

(正式名称:マンション管理の適正化の推進にする法律)

昭和40年代後半から今日にかけてマンションの数が急速に増加し、マンションが一般的な居住形態として定着化してきました。多数の区分所有者が生活するマンションを適切に維持・確保することを目的に、平成12年12月、マンション管理適正化法が成立し、平成13年8月から施行されました。

 

 

マンション管理適正化法のポイントを押さえておきましょう。

①マンション管理業者の登録の義務化

適正化法により、一定の業務を行うマンション管理業者は、国土交通省に備える「マンション管理業者登録簿」に登録することが義務付けられました。登録期間は5年で、継続して営業をしようとするときは登録の更新をしなければなりません。登録をした管理業者は、その事務所に所定のマンション管理業者票を掲げることが義務付けられています。

 

②管理業務主任者の設置

マンション管理業者が登録を受けるにあたっては、事務所ごとに「管理業務主任者」という、一定の要件を満たした国家資格者を、一定人数以上設置することが必要とされます。マンション管理業者は、管理事務の受託を受けた30管理組合ごとに1人以上の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければなりません。

 

③マンション管理業者がやるべきこと

登録を受けたマンション管理業者は、適正化法により行うべきことが定められています。具体的には以下のとおりです。

 

④重要事項の説明

マンション管理業者は、管理組合と管理委託契約を締結しようとするときは

その契約の内容・履行に関する一定の事項(「重要事項」といいます。)を、管理組合・理事長等に対して、管理業務主任者をして説明させなければなりません。

 

⑤契約成立時の書面の交付

マンション管理業者は、管理組合と管理委託契約を締結したときは、一定の事項を記載した書面を交付しなければなりません。この契約成立時の書面には、管理業務主任者の記名押印が必要とされます。

 

⑥管理事務の報告

マンション管理業者は、管理組合の事業年度終了後、一定事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして説明をさせなければなりません。

 

⓻書類の閲覧

マンション管理業者は、その業務及び財産の状況を記載した書類を事務所ごとに備え置き、関係者の求めに応じ閲覧させなければなりません。

 

⑧秘密保持義務

マンション管理業者は、正当に理由なく、業務に関して知り得た秘密を漏らしてはなりません。マンション管理業者でなくなった後も同様です。

 

 

管理組合として注意すべきこと

適正なマンション管理のために、また区分所有者間のトラブル防止のために管理組合として注意すべきこととして、マンション管理適正化指針では、以下の事項が定められています。

①区分所有者の意見が十分に反映されるよう、情報を開示し運営を透明化して、民主的な運営となるよう配慮すること。

②管理組合の役員は法律等を守り、管理組合のために誠実に職務を行うこと。

③マンションの実態に即した規約や使用細則等のルールを定めること。

④専有部分・共用部分の区分や管理費用・使用料等の負担を明確にしておくこと。

⑤管理費・修繕積立金等を明確に区分経理すること。

⑥経年劣化に備えて長期修繕計画を策定し、必要となる修繕積立金を積み立てておくこと。

 

区分所有者として注意すべきこと

管理適正化指針では、区分所有者として注意すべきことも定めました。

①マンションの管理の重要性を十分認識し、規約や使用細則、委託契約や長期修繕計画に留意すること。

②居住形態が一戸建てとは異なり、隣接の住戸や上下階の住戸に配慮を要する住まい方が必要であることを十分に認識すること。

③管理組合の一員として、総会や管理運営に進んで参加すること。

④規約や総会決議等を守ること。賃借人も同様とする。

⑤マンション管理に関する法律等を理解すること。

 

 

区分所有法では、区分建物の住まい方、ルール等について、マンション管理適正化法では、管理の重要性に鑑み、管理業者がやるべきこと、管理組合として注意すべきこと、区分所有者として注意すべきことなどがあります。ここを押さえておけば、管理についての理解が深まります。

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北林真一

あなぶきハウジングサービス 北林 真一(きたばやし しんいち)
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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