「管理会社から管理委託費の大幅値上げを要請された」
「管理会社から契約更新を拒否された」
「管理会社変更を相談したが、大手管理会社からは断られた」
以前は多くの管理会社が管理戸数を伸ばすため、管理会社変更(リプレイス)に参入し、各社激しい価格競争を繰り広げていましたが、数年前からその状況は一変しています。
管理業界は大手管理会社も含めて慢性的な人材不足に悩まされており、最近では人件費や物価の高騰等も相まって管理会社の経営は厳しい状況にあります。
そのような背景から前回のブログでも申し上げたとおり、管理会社から管理委託費の値上げ要請や管理委託契約の更新を拒否(解約通知)する事例が全国的に急増しています。
特に、どうしても委託費が安価で利益率が低くなる「小規模マンション」であったり、建物の老朽化や修繕積立金不足等いろいろと問題の多い高経年マンションは管理のリスクが高いため、優先的に値上げや解約を通知されているようです。
人材不足からリプレイスを辞退する管理会社も年々増加しており、他の管理会社から見積りを取得するのも苦戦するような状況にあります。
そこで今回は、ある日突然、管理会社から値上げや解約を通知されても、慌てず新たなパートナーが見つけられるように、管理会社を選ぶときのポイントや進め方についてお話ししたいと思います。
管理会社の種類
管理会社は全国に2,000社以上ありますが、大きく3つのタイプに分類することができます。
当然ながら管理会社によって強みや特徴はそれぞれ異なるため、一概には言えませんが、まずは以下の3つのタイプの中から自分のマンションに合う管理会社を選ぶのも一つの方法かもしれません。
デベロッパー系(ゼネコン系)
親会社やグループ会社に新築マンションを分譲(建設)しているデベロッパー(ゼネコン)を持つ管理会社。
マンションの設計や設備の情報に精通しており、マンションの構造上のトラブルや修繕の相談にも的確に対応してくれる。
リプレイス営業をあまり積極的にはおこなっておらず、下に記載している独立系やビルメンテナンス系の管理会社と比較すると管理委託費は高い会社が多いです。
独立系
デベロッパー系やゼネコン系のような親会社やグループ会社を持たず、リプレイスやM&Aなどで管理戸数を増やしている管理会社。
デベロッパー系やゼネコン系に比べ、設計や設備など建物に関する情報が不足しやすい傾向にありますが、積極的にリプレイス営業をおこなっているため、相場より管理委託費は安価な会社が多いです。
※修繕工事のコストは割高になるケースがあるようなので注意が必要
ビルメンテナンス系
オフィスビルや商業施設の管理を得意としており、自社で清掃や設備点検等をおこなっている会社が多いです。
社内には建築や設備に精通した社員が多くハード面には強いが、マンション管理の実績が少なく組合運営のサポート等のソフト面にはやや弱いように思います。
自社社員で実施する清掃や設備点検の費用は相場より安価。
管理会社の見直しから変更までの流れ
管理会社を変更する場合、以下の手順が一般的な流れとなります。
金額だけで判断するのではなく、管理組合のパートナーとして安心して管理を任せることができる管理会社であるかの見極めが重要です。
管理体制・サービス内容・変更実績など判定基準を設定して、総合的に評価することをオススメします。
STEP1
理事会にて現在の管理会社の問題点やマンションが抱えている課題等を整理
<ポイント>
・必要に応じて、理事会だけでなく組合員の意見をアンケート等で集約
STEP2
管理会社を変更することになれば、見積りを依頼する管理会社を選定(3~5社程度)
<ポイント>
・各社の見積りが比較しやすいよう仕様を統一
STEP3
見積りを依頼した管理会社による現地調査
<ポイント>
・現在の管理内容が確認できる仕様書(管理委託契約書等)、各種点検報告書、管理規約を準備
・見積り依頼会社と面談(各社の管理体制やサービス内容をヒアリング、現在の管理会社の問題点やマンションが抱えている課題等を相談)
STEP4
各社の見積り金額や管理体制等を比較検討、自分のマンションに合いそうな管理会社(2~3社程度)に会社説明(プレゼンテーション)を依頼
<ポイント>
・プレゼンテーションは1社あたり1時間程度(プレゼン時間30分、質疑応答20分、休憩10分)が一般的です
・マンションを担当する社員にもプレゼンテーションへ参加してもらえると、管理に対する思いや人柄などを知ることができます
STEP5
候補会社から会社説明(プレゼンテーション)を受けた後、理事会にて意見を集約して候補会社を1社に選定
<ポイント>
・選考基準として、現在の管理会社の問題点やマンションの課題等が解決できるのかというところが重要
・プレゼンテーションは組合員全員が参加できるような形式にすると、より多くの意見が集約でき、その後の合意形成がスムーズに進められます
STEP6
候補会社と契約内容を協議し、総会にて管理会社変更の決議をおこなう
<ポイント>
・総会前に候補会社から重要事項説明が必要
STEP7
管理会社変更が総会で承認されたら、3か月前までに解約通知書を現行管理会社へ発送
(※契約満了のタイミングで管理会社変更をおこなう場合は不要)
STEP8
新旧管理会社間で会計関係・マンションのルール・組合保管書類・共用部分の鍵・通帳等の引継ぎをおこなう。
<ポイント>
・新管理会社は管理員の採用・管理費等の引落し手続き(預金口座振替依頼書の回収)が必要になるケースもあります
まとめ
「マンションは管理を買え」と言われることがありますが、金額ではなく質の高い管理を求めて管理会社を変更される管理組合も多いです。
「費用は安くなったが管理の質が下がった」と居住者から言われないためにも、管理体制やサービス内容をよく確認して管理会社を選択することが重要です。
梅本真輔
梅本 真輔(うめもと しんすけ)
兵庫県出身
2022年入社(2014年から2021年まで同社に在籍、一度退職し2022年に復帰)
入社以来、分譲マンションの管理会社変更をご提案する営業を担当。
2021年まで近畿エリアで活動、2022年5月から関東エリアに異動。
慣れない土地で不安もありながら、様々な人との出会いを大切に日々仕事をしています。
保有資格:管理業務主任者、宅地建物取引士、第一種衛生管理者
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