あなぶきハウジングサービスの生山です。
当社では、2021年4月に宮崎県日南市に「焼酎バイオエナジー宮崎日南工場」を開設し、焼酎廃液を利活用してバイオマス燃料を製造する事業を開始しましたが、今回は本事業の取組みをご紹介します。
焼酎廃液の処理という地域課題
当社はグループビジョンである”地域に生かされ、生きる”をもとに、地域社会の問題解決に取り組んでいます。
焼酎といえば九州ですが、中でも宮崎県は焼酎の出荷量が全国首位の盛んな地域です。
一方でそこには『焼酎廃液の処理』という地域課題があります。
一部の酒造メーカーでは工場内に焼酎廃液の処理設備を導入し、飼料や肥料にしているところもありますが、処理設備の無い酒造会社では業者に焼酎廃液の処理を依頼しており、そのコストが収益圧迫の要因の一つとなっています。
この地域課題を解決するために、当社では2014年より宮崎大学と産学連携で、『焼酎廃液から高濃度エタノールを抽出し、ペレットの生産を行う、結果、焼酎廃液処理コストの削減ができる』という仕組みを共同研究してきました。
少し分かりづらいですよね…簡単に言うと”従来お金を払って処理していた焼酎の廃液をエネルギーに変えてしまう”というものです。
(当社では本事業を通じて、SDGsの目標である7(エネルギーをみんなに、そしてクリーンに)と9(産業と技術革新の基盤をつくろう)の達成に向け、持続可能な開発を推進しています。)
宮崎大学産学・地域連携センター内の実証プラント
産学連携の研究で焼酎廃液から燃料用エタノールを抽出
焼酎廃液からエタノールを抽出する研究は宮崎大学と共同で行われました。
焼酎廃液に芋くずなどデンプン質の食品加工廃棄物を混合し、焼酎廃液に含まれる酵素や酵母の働きでエタノールを生成するというものです。
当初は濃度も低く、エネルギー回収効率も悪かったものですが、現在では濃度70~80%のエタノールが効率良く抽出できるようになりました。
濃度の高いエタノールは再生エネルギーとしての活用方法も広がります。
焼酎バイオエナジー宮崎日南工場
2021年4月に宮崎県日南市に「焼酎バイオエナジー宮崎日南工場」を開設しました。
日南工場の処理工程
本工場で1日に処理できる焼酎廃液は約12トンです。
まず、酒造会社からタンクローリーで収集した焼酎廃液に食品加工会社などで処分される生芋を加えることで発酵、蒸留装置でエタノールを抽出します。
エタノールを抽出した後の残渣を固液分離装置で固体と液体に分離、固形分からペレット燃料を生産します。
液体(ろ液)は水処理設備を通して排水処理します。
生成したエタノールは当工場の燃料に使用。コスト削減と二酸化炭素排出削減を実現します。
ペレット燃料は販売を行います。
(12tの焼酎廃液に対し、1日あたり1.2tのエタノール燃料と2tのペレット燃料を生産)
焼酎バイオエナジー日南工場概要
【所在地】宮崎県日南市北郷町大藤字山澄上甲887番地4
【敷地面積】2,061㎡
【工場面積】382.14㎡
【主な設置機器】
発酵タンク4基(容量15t)/蒸留機/バッファータンク/廃液反応槽/凝集剤溶解槽/消石灰貯留ホッパー
フィルタープレス/造粒機/破砕機/混合乾燥機/ボイラー設備/ベンチスクラバー/温水タンク/冷水タンク/エタノール燃料タンク/水処理施設/ベルトコンベア 他
今後の展望とまとめ
焼酎廃液をカーボンニュートラルなバイオマス燃料に変換することで、焼酎製造のエネルギーリサイクルを実現することができます。
『焼酎廃液の処理』という課題を持っている酒造会社へ本システムを導入することができれば、酒造会社の課題解決・環境に配慮した地域の課題解決に繋がります。
今後、研究を進めて様々な焼酎の廃液、日本酒やその他の酒類、食品廃棄物等に応用して、同様にエネルギーに変えることが出来るようになれば、当社の取組みが地域課題の解決に寄与できるのではないかと考えています。
「焼酎廃液の処理コストが収益を圧迫している」「環境問題に取り組みたい」「バイオエネルギーに興味がある」という酒造メーカー様、是非一度、当社までご相談くださいませ。
生山 亨
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・総務業務を経験。長年やってきた賃貸業務、中でも特に空室の改善、対策は得意分野です。現在は、あなぶきスペースシェアにおいて宿泊事業・マンスリー事業を行っています。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者
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