おはようございます。
あなぶきセザールサポートの飯野です。
前回マンションの防音対策のための床材についてご説明しましたが、本日は防音対策においては床材以上に大切な下地についてご説明します。
- 直貼り工法
- ユニットフロア(二重床置床)式工法
- 遮音性を左右する床と天井
- まとめ
・直貼り工法
主に鉄筋コンクリートの床スラブ上に接着剤にて施工します。遮音性能を高める特殊緩衝材のついた遮音フローリングを貼る工法です。通常のフローリングを貼る場合は固定ができないため、根太を組んでそのうえに貼っていきます。
上階の音や振動が直接下階へ伝わってしまうのと、廊下と部屋に段差ができてしまうので、バリアフリーの面でも欠点となります。
・ユニットフロア(二重床置床)式工法
この工法は主に鉄筋コンクリート床スラブの上にパーティクルボードなどのベースとなるパネルと、それを支持する支持脚によって床下地を構成し、その上にフローリングを貼る工法です。さらに二重床の空間に遮音シートを入れることにより遮音効果を上げることができます。工法は床の高さ調節が可能なため、段差のないバリアフリー住宅の設計や間取り変更のリフォームにも最適です。ただし、施工精度が悪いと二重床の空間で音が反響してしまう太鼓現象などが発生し遮音性能が低下する場合があるため、要注意です。
・遮音性を左右する天井
下階への騒音を軽減するためには自宅の床面が大事となってきますが、自宅の天井に配慮することにより上階の騒音を軽減することも可能なため、ここで紹介したいと思います。マンションの天井の上はどのようになっているかご存じでしょうか?
古いマンションでは天井(上階の床)に直接天井材を貼っているところもあるかと思いますが、この場合上階の振動が直接響いてくるため、遮音対策としては非常に悪い工法です。ただし、現在新築で販売しているマンションはそのほとんどが二重天井となっています。二重天井とは二重床と同様に直接躯体に仕上げ材を貼らずに、ボルトなどで板材を吊った天井のことをいいます。天井と上のスラブの間に配管を通すことができるため、リフォームの際に電球の位置交換も容易に可能となります。二重天井かそうでないかは天井を叩いてみると音でわかるので、試してみてください。
二重床や二重天井へ変更する工事は遮音対策の面では極めて効果がありますが、マンションの階高(自宅の床スラブと上階の床スラブの間の高さ)が低い場合、居室内の天井が低くなり、場合によっては居室内の必要高を確保できず工事ができなくなる場合もあるため、中古マンションを安く購入してリノベーション工事を計画している方は注意が必要です。
・まとめ
2回に分けて、床と天井の防音対策について説明しました。
防音のためだけに工事を行う事は高額な費用がかかることもあり困難だと思いますが、家族構成が変わりリフォームを検討する時や中古マンションを安く購入してからリフォームをされる時は防音対策工事の絶好の機会ですので、リフォーム業者へ相談してみましょう。
飯野琢磨
前職では大工や建築積算を経験。入社後、マンション修繕工事のコンサル業務、分譲マンションのリプレイス営業、分譲マンションのフロントを経験。
マンション管理のことについてはもちろんのこと、リフォームやリプレイスなどさまざまな視点から幅広い情報を提供します。
所有資格:一級建築士・マンション管理士・管理業務主任者・宅地建物取引士
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