分譲マンション共用部地震保険での支払い事例と保険内容の改定について

後藤隆史

おはようございます。あなぶきセザールサポート保険担当の後藤です。

今回は前回の「地震保険の加入を検討するときに知っておきたい6つの基礎知識」に続いて過去の震災での支払保険金額や当社の管理させていただいている分譲マンション共用部での保険金支払事例をご紹介します。

 

無題

目次

  • 過去の震災での地震保険支払金額
  • 当社の地震保険支払事例
  • 地震保険改定内容
  • まとめ

 

※2016年6月18日に公開した記事を2017年3月25日に修正し再度公開したものです。

 

過去の震災での地震保険支払金額

前回の「地震保険の加入を検討するときに知っておきたい6つの基礎知識」の中で1回の地震で支払われる保険金の上限(保険金総支払限度額)が2016年4月時点での保険金総支払限度額は11.3兆円と定めているとご紹介しましたが、過去の震災での地震保険金支払額はどのくらい支払われたのか気になりますよね?

では実際に過去の主な大きな震災で支払われた地震保険金額について見ていきましょう。(日本地震再保険株式会社調べ)

東日本大震災(2011年3月11日発生)

被害は広範囲にわたり支払件数・支払金額は過去最高となる78万件超1兆2654億円が全体で支払われました。

これは支払件数・支払金額ともに過去最高となっています。

阪神淡路大震災(1995年1月17日発生)

大都市での直下型の地震で被害は大きくなりましたが、発生当時地震保険の世帯加入率が約9%(1994年度)と低かったため、支払金額は783億円と被害に比べて低い金額となっています。

新潟中越地震(2004年10月23日発生)

阪神淡路大震災当時と比べ地震保険世帯加入率は約18.5%と増加しており、支払金額は149億円が支払われています。

 

2016年4月に発生した熊本地震の2016年6月6日現在で支払件数16.8万件超、支払金額2,724億円超阪神淡路大震災を抜き過去2番目の支払金額となっています。

 

当社の地震保険支払事例

当社が管理させていただいているマンションにおいて2011年3月11日に発生した東日本大震災での地震保険支払事例をご紹介いたします。

建物所在  : 東京都西部

事故概要  : 地震により共用部の柱にクラック(ひび)が多数発生。

損害割合  : 全部で33本ある柱のうち13本にクラック(ひび)を確認。主要構造部の損害割合は3%

損害認定  : 認定された損害区分は「一部損(地震保険金額の5%)」

支払保険金 : 4,140,000円(保険金額:82,800,000円)

 

地震保険改定内容

テレビや新聞の報道で見たことがある方も多いと思いますが、2017年1月1日より地震保険の内容と保険料が改定されます。

地震保険は2014年7月にも全国平均+15.5%の保険料率改定がされており、今回で2回目の大きな改定となります。

また、損害保険各社で組織する損害保険料率算出機構は今後2017年1月から3回に分けて料率の改定が決定(2回目は2019年、3回目は2021年の予定)しており、最終的には全国平均で+19%の引き上げが予定されています。

改定内容については以下のとおりです。

保険料率の改定

今後3回に分けて改定する第1段階として、全国平均で+5.1%の保険料率が改定されます。(改定率は都道府県や構造によって異なります。最大の引上げ率は14.7%、最大の引下げ率は15.3%です。)

マンション構造(イ構造)の場合の都道府県改定率は以下の表をご覧ください。

基本料率の図

損害区分の細分化

現在の地震保険は損害の程度によって「全損」「半損」「一部損」3区分で認定され、それぞれ付帯した保険金額の「100%」「50%」「5%」が支払われています。

今回の改定により、この損害区分が「全損」「大半損」「小半損」「一部損」と4区分に変更されることとなりました。

これまで半損認定の壁が高く、一部損認定でとどまっていた被災者を救済するために、半損の区分を細分化しました。

詳細については以下の表をご覧ください。

改定損害区分の図

 

まとめ

2回に分けて地震保険についてご紹介いたしました。

上記でもご紹介したとおり、地震保険については今後段階的に保険料が上がる傾向にあるため、現在地震保険への加入を検討されている管理組合様は改定される前(2016年12月31日まで)に理事会および総会で審議を諮り加入されることをお勧めいたします。

また、火災保険を長期契約することにより管理費会計の年間保険料を削減することもできますので、併せて検討いただければと思います。

<参考>
地震保険に関しての入門編はコチラ→「いまさら聞けない!?地震保険とは」

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後藤隆史

あなぶきハウジングサービス 後藤隆史(ごとうたかし)
北海道出身。管理組合様用火災保険の提案や管理委託契約書の作成、各種設備点検の発注業務を行っています。
フロント担当者の経験を生かし管理組合様の費用負担軽減ができるような火災保険の更新提案や各種設備点検項目の見直しなどを目指しています。少林寺拳法有段者(小学校2年生からやっていました)。火災保険や点検項目の見直しの際にはぜひとも御用命ください!
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士
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