理事長経験者が語る!マンション管理組合5つの運営ポイント

北林真一

今回は、管理組合運営について、私自身の理事長経験から学んだことをお話します。
私の住んでいるマンションでは、『役員輪番制』を採用しています。通常総会で役員選任議案が承認可決され、「晴れて・・・?管理組合役員」になりました。

総会が終わったばかりの役員さん、「ご苦労様でした・・・」と労いつつ、今度は私たちの番。役員総入れ替えのため、やや不安・・・。 

その後、役職を決める際、紆余曲折はありましたが、「理事長」職を引き受けました。マンションは中規模ですが、そのときの体験談です。

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新旧役員の引き継ぎ会でしっかりとヒアリングしておく

中小規模マンションには中小規模マンションなりの課題があります。また、大規模マンションにも大規模マンションなりの特有の課題があります。お住まいのマンションでも、抱えている問題点、改善すべき事項など、やるべきことがあるはずです。

新旧役員会の引き継ぎ」で、事前に自分のマンションのことを把握しておきましょう。例えば、建物保全問題、駐車場・駐輪場問題、ペット飼育問題、騒音問題、管理費等滞納者問題、生活マナー問題、コミュニティ形成の問題、大規模修繕工事、管理規約改正、使用細則の制定、イベント開催などです。

これらを聞くだけで、お住まいのマンションのことをかなり知ることができます。マンションの理事になったものの、「どんな仕事があるのか」、「何をしなければならないのか」、不安に思う方はいます
。会計報告書作成などの事務や補修工事、植栽管理までと幅が広く、理事だけではとてもできません。

一般的には、管理業務の実務の全部あるいは一部を管理会社に委託し、代わりに行ってもらいます。理事会の主な仕事は、管理会社の業務管理です。理事の仕事は、定期的に開催される理事会に出席し、「マンションの課題に対して、自分の意見を述べる」ことになります。

 

事業計画と収支予算を確認しておく

管理組合の会計の特徴は、「管理費」と「修繕積立金」の2本立てで会計を行います。重要な3つの書類として、

①「収支決算報告書」と②次期の「事業計画書」③「収支予算書」があります。

管理費は、日常に使われる費用として、共用部分の水道光熱費や各設備の保守・点検費などがあります。管理会社に委託する場合は、「管理委託費」も含まれます。

修繕積立金は、将来的に建物の老朽化を防ぐために外壁塗装や防水などの大規模修繕工事を行うための積立金です。

総会で承認された今年度の「収支予算」と「事業計画」を確認する必要があります。通常、予算を作るには、マンションの維持管理のため、『長期修繕計画』に従って今年はどんなことをすべきか1年間の事業計画を決定し、これに掲げた業務について、どれくらいの支出で実施できるのかを積み上げていきます。「管理費会計」と「修繕積立金会計」の予算の内容を把握することが大事です。 

一方、マンション管理は「経営」ともいわれ、管理組合財政を健全化するには、現在の管理費や修繕積立金はこのままでよいのかなど、「木を見て森を見る」ことも大事です。

 

 年間スケジュール表を作成する

会社に年度方針や年間スケジュールがあるように、理事会でも同様に計画を立てます。
年間スケジュール表を作成することで、理事会運営は80%決まりです。各役員と日程調整のうえ、理事会開催日を1年分決めておくと、運営が楽になります。第1回理事会での「決めごと」が一番大切です。具体的な年間スケジュール表をまとめると、あとは「レールを走る」だけですね。

 

役割分担に応じて各理事より報告をしてもらう

「副理事長」やります!
「会計担当」ならできます!・・・
と、元気よい発言。今年度の役員は威勢がいいぞ!?では、「理事長」を決めましょうか・・・皆うつむき加減。。。仕切り上手な方がおり、「あなたやりなさいよ!」の一声で決まり。まあこんな具合に役職が決まっていくのでしょうか・・・。でも、ここからが重要です。

理事長は、毎月の会計報告書や業務にかかった支払の書類に目を通し、署名捺印します。また、総会議事録や印鑑を保管する業務があります。理事長があまり張り切ってしまうと、他の理事が浮いてきます。「理事は、座って聞くだけでいいのね」とならないように、また、「参加することに意義あり」では困ります。

理事長任せにならないよう、各理事に役割分担をしてもらうことが大切です。例えば、駐輪担当、防犯担当、防災担当、ゴミ清掃担当、渉外担当、自治会窓口担当など。そして、それらの課題を定期的に報告をしてもらいましょう。以下に管理組合の主な業務を列記します。

(管理組合の主な業務)

①   収支予算の作成⑩管理・使用ルールの作成
②   管理費等の徴収⑪損害保険の付保
③   諸費用の支払い⑫敷地・共用部分等の変更及び運営
④   収支報告⑬修繕積立金の運用
⑤   居住者名簿の作成⑭居住者間等のコミュニティの形成
⑥   諸設備の保守点検・検査⑮風紀、秩序及び安全維持に関する業務
⑦   建物・敷地内の清掃⑯防災に関する業務
⑧   補修・修繕の実施⑰広報及び連絡業務
⑨   長期修繕計画書の作成⑱その他管理に必要な業務

 

損害保険の付保内容を知っておこう

マンションで生活をしていると、いろいろな事故が発生します。たとえば、上階からの漏水事故、エントランスガラスの破損、外壁のペンキ汚損、子供のボール遊びでの破損事故、立体駐車場のピット冠水、火災事故、地震被害…など。

あわてないために、マンション加入の損害保険の付保内容を事前に把握しておくことが大切です。住宅火災保険、地震保険、動産保険、施設賠償保険、個人賠償保険などの加入状況です。なお、保険事故が発生した場合の事故通知も怠らないようにしなければなりません。

まとめ

・私たちの管理費や修繕積立金がどのように使われているのか。
・どの書類を見ればわかるのか。
・理事会活動はどのようにやっていくのか。
・マンション内で事故が起きた場合、対処はどのようにするのか。

最初から管理組合の運営について、詳しい人はいません。理事の経験を通して、段々分かってきます。
パートナーとしての管理会社もいます。理事に選任されたことで、自分の住まいのマンション管理に関わり、考えるきっかけになれば幸いです。

 

 

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北林真一

あなぶきハウジングサービス 北林 真一(きたばやし しんいち)
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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