大規模修繕工事の周期目安とは?ガイドラインをもとに解説

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建物は築年数が経過すると、住人の安全や資産価値を確保するために、大規模修繕工事が必要になります。オフィスビルや集合住宅などでは、定期的に大規模な修繕工事が行われますが、一般的に大規模修繕工事の周期は12年といわれています。 

本記事では、大規模修繕工事の周期が12年とされる理由について解説します。さらに、修繕の周期延長は可能なのかについても詳しくお伝えするため、ぜひお役立てください。 

マンション大規模修繕工事の周期目安

マンションは、日々の雨風や日射など自然環境の影響を受けながら、時間の経過とともに徐々に老朽化します。大規模修繕工事は、こうした経年劣化から建物を守るために行われている定期的な計画修繕です。 

この修繕工事の実施周期や回数は、明確な基準は設けられておらず、各マンションの管理組合が建物の状態に応じて判断するのが一般的です。 

2021年に公開された国土交通省による「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事の平均的な周期は13年が23.1%で最も多く、続いて12年、14年、15年と、全体の約7割が12~15年の間隔で実施されています。 

しかし、同じ築年数や戸数のマンションであっても、劣化の進み方や故障の状況には差があります。これには、建物の形状や構造、周辺環境、使用状況や管理方法など、さまざまな要因が関係しています。 

 たとえば、海沿いの地域では塩害が進行しやすいため、修繕周期が短くなることがあります。また、住民の管理意識や使用方法にも影響を受けることがあり、定期的なチェックと適切な対応が必要です。 

 ではなぜ12年周期が多いのか、その理由を探ってみましょう。 

大規模修繕周期が12年とされる理由

大規模修繕周期は、12年周期で大規模修繕工事を行うことが一般的な目安といわれています。大規模修繕工事の周期が12年に設定される理由は、主に以下の3つが挙げられます。 

  • 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」に準拠している 
  • 建築基準法の全面打診調査 
  • 塗料や防水材が劣化するタイミング 

 ここでは、各要因について詳しく解説します。 

国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」に準拠している

まず、国土交通省が作成した「長期修繕計画作成ガイドライン」の影響が挙げられます。 

 通常、マンションにおける大規模修繕工事は「長期修繕計画」をもとに進められます。長期修繕計画とは、マンション管理組合が主導して作成する中長期的な修繕のプランで、建物の劣化・損傷の程度・範囲を明確にする役割を持ちます。 

この長期修繕計画の基本的な案を示すために、国土交通省によって示されたのが「長期修繕計画作成ガイドライン」です。このガイドラインでは、長期修繕計画の作成方法、月々の修繕積立金の金額決定などについて、標準的なフォーマットや作成手順が記載されています。 

 長期修繕計画作成ガイドラインのなかで、大規模修繕工事、とくに外壁塗装や屋上防水に関しては12〜15年周期での実施が推奨されています。ガイドラインに従うことで、修繕の計画的な実施が可能となり、予算管理や住民間での合意形成もスムーズに進むことが期待されます。 

大規模修繕工事の周期が一般的に12年である理由として、このガイドラインの存在が大きいでしょう。 

建築基準法の全面打診調査

理由の2つ目として、建築基準法に定められた「全面打診調査」の実施時期と、大規模修繕工事のタイミングが一致することが挙げられます。 

 平成20年4月の建築基準法改正により、定期報告制度の調査が厳格化され、築10年以上のタイル張り外壁を持つマンションは、3年以内に全面打診調査を行うことが義務付けられました。 

 「全面打診調査」とは、タイルを叩いて外壁タイルと下地の間にすき間がないかチェックする調査です。外壁のタイルは特殊な接着剤で貼り付けられており、時間が経つとその接着剤が劣化し、すき間ができることがあります。このすき間が大きくなると、タイルが剥がれやすくなります。 

 タイルが落下すると人や物に大きな危害を及ぼす可能性があるため、この調査は義務化されました。 

外壁の全面打診調査を実施するためには、足場を組む必要があります。足場設置には多額の費用がかかるため、それに合わせて大規模修繕工事を実施することで、コストの削減をはかるのが一般的です。 

 また、修繕工事と調査を同時に行うことで、劣化部分の早期発見や必要な修理がスムーズに進み、効率的な管理が可能になります。 

塗料や防水材が劣化するタイミング

理由の3つ目として、塗料や資材の劣化のタイミングを考慮していることが挙げられます。 

 マンションに使われる塗料の寿命は約8年から長くても12年程度です。12年以上が経過した塗料は、劣化によって剥がれたり、ひび割れが起きたり、結露や欠損の原因になります。これらは建物の強度を低下させることにつながります。 

 とくに外壁や屋上の塗料や防水材は、建物を守る重要な役割を果たしているため、その劣化が進むと雨水が浸入し、構造部分にダメージを与える可能性があります。 

 マンションなどの建物を長く安全に使い続けるためには、内部の劣化を防ぐことが大切です。そのため、塗料や資材の劣化タイミングを考えて、大規模修繕工事は12年を目安に実施されることが多いのです。 

築年数が長くなるにつれて、複数回の大規模修繕を行うこともあります。単純計算で、築36年~40年頃には3回目の大規模修繕工事が行われることになるため、先を見据えてマンション経営・管理をしていくことが重要です。 

 こちらの記事では3回目、4回目の大規模修繕について解説しているので、あわせてご覧ください。 

大規模修繕の周期延長は可能?

マンションの劣化が進む速度は、立地や使用状況、使われている建材の性能によって異なります。そのため、大規模修繕が必要になるタイミングには明確な基準はなく、修繕周期を延ばすことも可能です。 

しかし、何も対策を講じなければ、劣化は進んでしまいます。修繕周期を延ばすためには、耐久性の高い材料や工法を取り入れることが重要です。 

 たとえば、屋上防水や外壁補修に使用する材料や工法を耐久性の高いものに変更することで、大規模修繕の周期を延ばせます。     屋上防水の場合は、以下のような耐用年数が目安となります。 

  • アスファルト防水:15〜25年 
  • シート防水:10〜15年 
  • ウレタン防水:10〜12年 
  • FRP防水:10~12年 

これらの耐用年数は使用する材料によって異なり、コストにも差があります。外壁塗装、屋上防水、エレベーターや給排水管の交換など、多くの部分をどのタイミングで、どの程度の費用をかけて修繕するかを事前に計画しておくことが大切です。 

 長期修繕計画を作成し、修繕工事に必要な資金を把握して、適正な修繕積立金を設定することで、大規模修繕工事がスムーズに行えます。適切なメンテナンスを行い、マンションの資産価値を維持することが非常に重要です。 

 

まとめ

大規模修繕工事に明確な基準はありませんが、全体の約7割が12~15年の間隔で実施されています。大規模修繕周期が12年とされる理由は「長期修繕計画作成ガイドライン」や全面打診調査、

塗料や防水材が劣化するタイミングなどが関係しています。 

 大規模修繕の周期を延ばすことはできますが、放置しておくと劣化が進み、マンションの価値も低下してしまいます。計画的に修繕を実施することで、資産価値を保ち、入居者が快適に過ごせる環境を提供できるでしょう。 

 あなぶきハウジンググループは、マンション管理を中心に、不動産や生活全般に関わる事業を全国で展開しています。とくに、中国・四国ではマンション管理のシェア1位を誇っています。 

 また、24時間365日体制のコールセンターを自社で運営しており、お客様の要望に迅速に対応することが可能です。 

 さまざまな分野の資格を持つ専門スタッフを含む全社員が協力し、高品質なサービスを提供しています。ホームページでは、マンション生活のお役立ち情報を発信しておりますので、ぜひ一度ご覧ください。 

 

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