こんにちは。元気いっぱい夢いっぱい。あなぶき建設工業の西口です。
人生常に発見の連続、そして日々勉強。
マンション・ビル等の新築・大規模修繕工事の現場監督を経て、現在は建設統括本部という部署で各現場の安全、品質検査等の業務を行っております。
現場でのお客様との関わりを大切にして、日々の業務に努めております。
そんな業務の中での発見や気づきなどを発信し、
少しでもブログ読者の皆様に有益な情報がお届けできれば幸いです。
本記事では、主にマンション管理組合様・マンションオーナー様向けにブログを書いていこうと思います。特に大規模修繕工事など工事に関わる内容を中心に管理組合様に向けてブログを発信していきます。
今回は、マンションの大規模修繕工事における『足場仮設材料の種類と運搬方法』をお話ししたいと思います。
大規模修繕工事における【足場仮設】とは建物の劣化部分を補修する工事でもなければ、新築時の美観を取り戻す為の仕上げ工事でもありません。そのため、出来るだけ価格を抑えたいという思いもあるかもしれませんが、【足場仮設】は補修工事や仕上げ工事を安全に行うために必要不可欠な工事項目であることをご理解いただくきっかけになればと思い、今回のブログを書いていきます。
『足場はどのように組み立てられて、どのように解体されるの?』
大規模修繕工事の際、足場の組立・解体はどのように行うかご存じでしょうか。
まずはイメージをつかんでいただく為に、足場組立の動画をご覧ください。
足場組立は、複数の部材を組み立てることで、建物全体もしくは建物の一部を覆います。
足場材の種類によって部材の形状も異なりますが、主に足場の種類には、クサビ式緊結足場、枠組み足場、次世代足場、単管足場の4種類があります。
足場の種類(クサビ式緊結足場、枠組み足場)の詳しい説明は、以下のブログを参照していただければ幸いです。
【㈱あなぶき建設工業 石岡さんのブログ】
大規模修繕工事では、建物形状に合わせた組立の自由度が高いクサビ緊結式足場が採用されるケースが多いので、クサビ緊結式足場にスポットを当ててお話ししたいと思います。
『足場といってもどんな材料(部材)を使うの?』
足場組立工事(クサビ緊結式足場)には、以下の通り、いろいろな部材を使用します。
①支柱:部材を緊結するコブが一定間隔で4方向についている鋼管です。
②アンチ(足場板・布板):作業をする為に設置する床材です。
③腕木:落下防止のために手摺として支柱と支柱の間に取り付ける場合や、アンチ(足場板・布板)を設置するために使用する鋼管です。
④ブラケット:三角形の形をした見た目の部材で、主にアンチ(足場板・布板)をかける部材です。
⑤ブレース(筋交い):支柱と支柱の間に取り付ける斜材のことで、地震や風などにより、足場が倒壊しないように取り付ける部材です。
⑥方杖・火打ち:水平材と垂直材が接続する隅の部分(開口部など)の変形を防止する為に斜めに取り付ける部材です。また、火打ちは水平材同士が直角に交わる部分(建物四隅など)の変形を防止する為に斜めに取り付ける部材です。
⑦ジャッキベース:足場の高さを調整する部材です。
⑧敷板・ベースプレート:支柱を建てる前に置く土台のことで、沈下防止や既存の仕上げを養生する等の目的で使用します。
⑨梁枠(トラス・ビーム):足場の下を歩行者や車両が通行する場合等、開口部を設ける場合に使用する部材です。
⑩昇降階段(昇降ステップ):足場を上下に移動する為に設置する階段です。
⑪壁つなぎ:ドリルで外壁に穴を開けて、その穴に打ち込んだ金物(アンカー)と足場をつなぐことで足場の倒壊を防止する部材です。
⑫巾木:支柱と支柱の間に設置し、アンチ(足場板・布板)から人や物が落ちるのを防止する為に設置します。
⑬落下防止用水平養生ネット:足場と建物の隙間から撤去材(タイル他)等が落ちないように設置します。
⑭メッシュシート:足場外側への人や工具の落下防止、塗料の飛散防止等の目的で取り付けるシートです。
⑮侵入防止金網:建物1階周りの足場に取り付け、不審者が容易に侵入できないようにします。
⑯鋼製扉:足場内への出入りをするための扉です。
⑰落下防止用パネル(鋼製・木製):足場上部から落下物があった場合に落下物が人や車等に当たらないように開口部などの隙間を塞ぐ為に使用します。
その他にも落下防止棚(あさがお)やスタンション、親綱、ベランダブラケットなど、現場により記載した以外の材料(部材)を使う場合もありますが、一般的な足場に使用する材料(部材)は以上です。
組み立ててしまえば建物を覆う大きな塊の足場ですが、いくつもの種類の材料(部材)をひとつひとつ組み合わせることでできていることを材料(部材)の種類を見ていただくだけでもご理解いただけると思います。
次に、このような多くの部材を組み立てるにあたり、どのように材料(部材)を運搬しているのかをご紹介したいと思います。
『どんな方法で材料(部材)を運ぶの?』
運搬方法にはいろいろとありますので、簡単に種類と内容をご説明いたします。
①水平方向へ運搬する場合
・トラック(ユニック車):まずは足場を組み立てる現場、足場をの組み立てる範囲のできる限り近くまでトラックにて部材(材料)を運搬します。
・手運び:実際に組み立てる場所まで人の手で運搬します。
・ハンドパレット:フォークの爪の形状をしたパレットで材料(部材)を持ち上げ、人が押し引きしながら、運搬します。
・フォークリフト:フォークの爪が付いた車で材料(部材)を持ち上げ、運搬します。
②垂直(上下)へ運搬する場合
・ウィンチ:巻き上げ式のワイヤーロープの先端にフックがついており、昇降BOXの取付が難しい狭小部などでも使用することができます。
・昇降BOX:足場の支柱や専用のレールを利用して昇降BOXを取り付け、材料(部材)を昇降BOX内に入れ、部材の運搬をします。
・ユニック車:ユニック車とはトラックの後部側にクレーンが付いている荷台のある車のことです。クレーンの揚重範囲は狭いですが、積んできた材料(部材)をそのまま揚重することができる等のメリットがあります。
・クレーン車:ユニック車と違い荷台はなく、広範囲や高所への材料(部材)の揚重が可能です。クレーン車のサイズは様々あり、現場の状況に合わせてサイズを選定します。
・手運び:足場の格段に人を配置し、手揚げ・手降ろしにて材料(部材)の運搬をします。
以上が、主な材料(部材)の運搬方法です。
『まとめ』
今回は大規模修繕工事における足場工事の足場部材にはどのようなものがあり、どんな方法で運び、組立・解体を行うのかについてお話ししてきました。
足場工事は人の命にもかかわる重要な工事であり、安全に工事を行う為に必要不可欠ですが、工事後に何も残らない仮設工事に該当します。建物の形状や敷地条件、施工業者の考え方によって個性の出やすい部分になり、御見積書の価格にも影響してきます。
もし、これから大規模修繕工事をご検討の場合は、価格も重要ですが、皆様がお住いの大切なマンションの現状を把握し、どれだけ皆様のマンションのことを考えているかを重視して施工業者の選定をされることをおすすめいたします。
このブログがお住いのマンションの大規模修繕工事の際に少しでもお役に立てれば幸いです。
西口洸平
西口 洸平(にしぐち こうへい)
新築工事、大規模修繕工事の現場監督を経て、
現在は建設統括本部にて現場の後方支援を行っております。
趣味ではありませんが、好きなことは現場近くや出張先で美味しいご飯を食べることです。
ご飯を食べると思わず『ウマッ』と声に出てしまうので、会社の人によく笑われます。
経験豊富な上司や好奇心旺盛な後輩がいる会社で毎日楽しく働いております。
本ブログでは現場で培った経験等を活かし、ブログ読者の皆様に
有意義な情報発信となるよう努めて参ります。
保有資格:1級建築施工管理技士
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