宅建合格講座!法令上の制限|国土利用計画法「届出の手続」を解くときのポイント

仲井悟史 仲井悟史

こんにちは、仲井です。今回から「法令上の制限」を学習します。本来、不動産の所有権を有していれば、自由に使用・収益・処分できるのが原則ですが、それが国土利用計画法や都市計画法や建築基準法等によって制限を受けます(憲法でも、経済的自由や財産権が公共の福祉によって制限を受けると記載されています)。これが「法令上の制限」です。

法令上の制限は、専門用語が多く、数字の暗記も必要であり、苦手にしている方が多い科目です。ただ、文章が短くて単純な問題も多いため、用語の定義を正確に押さえ、数字を覚えれば、点数が伸びる科目といえます。最初はとっつきにくいかもしれませんが、頑張って乗り越えて、是非得点源にしてください!

今回は「法令上の制限」のうち、国土利用計画法の「届出の手続」を説明します。気持ちを新たにして取り組みましょう!

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目次

  • 国土利用計画法の目的、届出制の概要
  • 事後届出と事前届出の根本的な違い
  • 事後届出と事前届出のその他の違い

 

国土利用計画法の目的、届出制の概要

国土利用計画法は、土地の投機的取引および地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図ることを目的とします。簡単に言いますと、地価の上昇を抑制し、土地の有効利用を図る(投機目的等で土地を遊ばせておくと地価が上昇するので)のが国土利用計画法です。

そして、この目的達成のため、以下の通り、全国にわたり土地取引の規制に関する措置が講じられています。

まず、土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、または行われるおそれがあり、および地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあると認められる区域等(規制区域)では、土地の取引につき許可制がとられます。

次に、地価が一定の期間内に社会的経済的事情の変動に照らして相当な程度を超えて上昇し、または上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる区域(注視区域)や、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域(監視区域)では、土地の取引につき事前届出制がとられます。

そして、規制区域・注視区域・監視区域以外の区域では、土地の取引につき事後届出制がとられます。

事後届出と事前届出の根本的な違い

事後届出は、土地取引の後に届出をしなければならず、事前届出は、土地取引の前に届出をしなければなりません。

注視区域や監視区域は、地価の上昇をより強く抑制する必要がある区域であるため、事前届出となります。事前届出のほうが、事後届出よりも規制が厳しくなります。そのため、以下のような違いが生じます。

1 届出義務者について

事後届出では、買主等の権利取得者が届出をすればよいのですが、事前届出では、契約の両当事者が届出をしなければなりません。

ですから、注視区域や監視区域において、「契約の相手方が決まっていない場合は、単独で届出をすることができる」と出題された場合、答えは誤りです。

2 審査・勧告

事後届出では、届出後、土地の利用目的のみについて審査・勧告がおこなわれます(土地を利用するのは権利取得者なので、事後届出の届出義務者は権利取得者なのです)。届出から勧告までの期間は3週間です。

これに対し、事前届出では、届出後、予定対価の額と土地の利用目的について審査・勧告がおこなわれます(予定対価の額は、契約の両当事者が決めるので、事前届出の届出義務者は契約の両当事者なのです)。そのため、届出から勧告までの期間は、6週間と長めとなっています。

3 「一団の土地」の判断

届出制では、地価の上昇に影響を及ぼす一定の面積以上の土地取引について届出を必要としますが、隣り合った土地の計画的な取引の場合、「一団の土地」として各取引の合計面積で届出の要否が判断されることがあります。この「一団の土地」について、事後届出制では、土地を利用する権利取得者を基準とし、事前届出制では、予定対価の額を決める契約の両当事者を基準とします。たとえば、土地を何回にも分けて別々の人に売った場合、事後届出制では、各買主の取得した個別の面積で届出の要否を判断しますが、事前届出制では、売主の売った合計面積で届出の要否を判断することになるのです。

事後届出と事前届出のその他の違い

事後届出は、比較的規制が緩やか、事後届出は、比較的規制が厳しい、ということから、以下のような違いも生じます。

1 再度の届出

事前届出制では、契約の両当事者が届出をした後、予定対価の額を増額したり、土地の利用目的を変更する場合、再度の届出が必要です。

これに対して、事後届出制では、このような再度の届出という制度はありません

2 助言制度

事後届出制において、届出があった場合、届出者は、土地の利用目的について、必要な「助言」を受けることがあります。この「助言」は、「勧告」(やや強めのお願いというイメージ)と違い、緩やかなアドバイスというイメージであり、事前届出制には、このような「助言」という制度はありません

 

いかがでしたか?法令上の制限に限りませんが、今回のように制度を比較する学習はとても有効です。たとえば、抵当権設定、質権設定、相続、贈与、市町村が取得、調停は、国土利用計画法の届出は不要です。では、農地法においては、それらについて許可が必要でしょうか?普段の学習では、そんなことを考えながら取り組むと実力が上がっていくと思います。

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仲井悟史

仲井悟史

あなぶきセザールサポート 東京東支店:仲井 悟史(なかい さとし)
東京イーストエリアで約10年にわたりマンション管理担当者を経験しています。前職は資格試験予備校で長年にわたり宅建等の講師として教壇に立っていました。その経験を活かし、現在、社内講師も務めています。息子たちと野球をしたり観たりすることが最大の楽しみ。
保有資格:管理業務主任者・マンション管理士・マンション維持修繕技術者・宅地建物取引士
特技:中国語
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