戸建てとマンションではどれだけ異なるのか。それぞれに掛かる修繕費の違い

長谷川裕紀

こんにちは。
あなぶきハウジングサービスの長谷川です。

昨今ではマイホーム選びの選択肢に、マンションを含める方が増えてきていますね。
ライフスタイルの変化や今後の生活環境の変化に対応できるよう、安全面や利便性、資産価値や売却しやすさなども考えて、検討される方が多くなってきています。
住宅の購入(建築)を検討されている方では、一戸建てか、マンションかを比較検討されている方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、「共同住宅として賃貸(アパートなど)の居住歴はあるけど、持ち家としてのマンションに住んだことはないから、どんな感じかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
本日はそれぞれに係る費用面の中でも、戸建て住宅とマンション(共同住宅)で支払方法(積み立て方)が大きく異なる修繕費について、みていきたいと思います。

 

戸建てに掛かる修繕費

 

戸建て住宅にかかる修繕費としては、構造や立地の影響を含め、各戸の状況により異なりますが、アットホーム株式会社が2021年に行った調査によると、購入後30年以上住まれている方がこれまでにかけた修繕費について、築30~34年の木造住宅では平均で「424.9万円」、鉄筋・鉄骨造住宅では平均で「509.5万円」という結果になっています。木造住宅よりも鉄筋・鉄骨造の住宅の方が修繕費用が多くかかり、また築年数が上がるにつれて修繕費用が増えてくる傾向にあるようです。

 

出典:アットホーム株式会社 2021年“新築一戸建て購入後30年以上住んでいる人に聞く「一戸建て修繕の実態」調査”

 

建物の劣化状況に左右されますが、一般的には木造住宅で築後30年間程度で400~800万円ほどかかるといわれています。

 

マンションに掛かる修繕費

 

多くのマンションでは、マンションの外壁など定期的に必要な修繕等を行うため、修繕積立金を設定して必要費用を積み立てています。マンションの種類や規模により必要な修繕額が大きく変わってきます。目安として仮定の条件で計算してみましょう。国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(p.7)」では、マンション規模ごとに積立金の目安額が示されています。

出典:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン 令和5年4月追補版

私の勤務する山陰地区ではマンションの延べ床面積5,000~10,000㎡の10~15階程度のマンションが多いですので、平均値の252円/㎡・月を用います。専有面積が70㎡とすると

(専有部分)70.0 ㎡ × 252 円/㎡・月 = 17,640 円/月

となり、平均額でみると月額17,640円となります。これは「長期修繕計画の計画期間全体に必要な修繕工事費の総額を、当該期間で積み立てる 場合の専有面積(㎡)あたりの月額単価」(マンションの修繕積立金に関するガイドライン p.5 )を基本としています。
最近は、長期修繕計画の見直しとともに積立金の額も検討し、段階的に修繕積立金を増額していく段階増額積立方式を採用する組合も多いため、最初の設定額が低く年数が上がるにつれて、積立金の額も上がっていく組合が多いです。

 

戸建てとマンションの修繕費の違い

 

それでは戸建てとマンションにかかる修繕費の違いについてみてみましょう。
マンションの修繕積立金の目安として記載した額を例として30年間分の額を計算すると、

17,640 円 × 12 (ヶ月) × 30 (年) = 6,350,400 円

となり、概ね640万円ほどとなります。
戸建ての30~34年の木造の平均額が424.9万円となっており、状況により400~800万円ほどかかる場合もあるため、戸建て、マンション共にそれぞれの状況にはよりますが、平均値で見ると総額としてどちらかが著しく高い金額になることはないようです。
戸建て住宅を考えられている方は、必ずしもマンションのように修繕費を積み立てるわけではないので、急に大きな費用が発生する可能性があります。修繕費などの大きなスパンでかかる維持費も含めて、検討をするのがよいでしょう。

 

その他の維持費について

 

その他の維持費としては、戸建て・マンションを問わず

  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災・地震保険料

等が発生します。こちらは物件のあるエリア(立地)、面積、建物の築年数、構造などによって大きく変わってきます。固定資産税等に関しては、自治体によって税率が異なりますので、実際に検討している物件にかかる詳細な費用に関しては、相談している不動産業者へ確認して把握しておくとよいでしょう。

また、マンションでは独自の維持費として、管理費のような戸建てにはない費用も発生します。
管理費は廊下などの共用部分の維持管理を行うために設定されています。多くのマンションでは、マンション管理業者に管理の事務を委託することが多いです。その際に委託する業務の内容や、定期的に行う植栽の剪定などの管理に必要な費用によって、管理費は前後します。一般的に管理費は所有する部屋の専有床面積の割合によって額が決まるため、各戸によって異なります。国土交通省の調査によると、戸あたりの管理費の全体の平均値は月額15,956円となっています。

参考:国土交通省「平成30年度マンション総合調査」 (p.139)

 

マンションには、戸建てにはない費用がかかるのも事実ですが、

  • 直接維持するのは専有部分のみであるため、戸建てよりも手入れに手間がかからない
  • 立地などで利便性の高い場所が選びやすい、資産価値が安定している
  • ライフスタイルに合わせて住宅を変える際の柔軟性が高い(売却のしやすさなど)

などの、戸建てにはないメリットも多くあります。
今後のライフスタイルなどを考えて、譲れない条件や必要な時・場所の優先順位を決めながら、検討されれるとよいでしょう。

 

最後に

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今回の記事が住宅選びの一助となれば幸いです。私たち不動産事業部は、皆様の生活がより良く、明るいものとなるよう、真心こめてお客様へご提案しております。
ぜひ夢を膨らませて、楽しんで住宅選びを行ってください。

 

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長谷川裕紀

あなぶきハウジングサービス 西日本不動産事業部 山陰営業所
長谷川 裕紀(はせがわ ゆうき)

北海道出身、2021年新卒であなぶきハウジングサービスに入社しました。
西日本不動産事業部にて、鳥取・島根両県において主に中古物件の売買の仲介を行っております。
不動産取引の視点から、ちょっとした疑問の解決など、みなさまの暮らしの一助となる情報をお届けできるよう頑張ってまいります。
よろしくお願いいたします!

保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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