分譲マンションを買う(売る)ときに知っておくべき重要事項説明のポイント

生山 亨

 

あなぶきセザールサポートの生山です。

分譲マンションを買うとき(売るとき)は、契約の前に『重要事項説明』という説明があります。これは字の通り、重要事項に関する説明ですので、知らないまま、分からないまま契約すると大きな失敗をしてしまうかもしれません。今回はこの重要事項説明について、初めての方でも分かるようにご説明します。

売買重説まとめ

目次

  • 重要事項説明とは
  • 重要事項説明で気をつけたいこと
  • 宅建建物取引業者・宅地建物取引士とは
  • 宅建業者に関する事項
  • 宅地建物取引士に関する事項
  • 売主に関すること
  • 建物に関すること
  • 敷地に関すること
  • 登記簿に記載された事項
  • 都市計画法に基づく制限の概要
  • 建築基準法に基づく制限
  • その他法令に基づく制限
  • 敷地と道路との関係
  • 私道負担等に関する事項
  • 飲用水・ガス・電気の供給施設及び排水施設の整備状況
  • 宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状・構造等(未完成物件等の場合)
  • 当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か
  • 当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か
  • 当該宅地建物が津波災害警戒区域内か否か
  • 建物についての石綿使用調査結果の記録に関する事項
  • 建物の耐震診断に関する事項
  • 敷地に関する権利の種類及び内容
  • 共用部分に関する規約の定め
  • 専有部分の用途その他の利用制限に関する規約等の定め
  • 専用使用権に関する規約等の定め
  • 所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約等の定め
  • 計画修繕積立金等に関する事項
  • 通常の管理費用の額
  • 管理の委託先等
  • 建物維持修繕実施状況の記録
  • 代金及び交換差金以外に授受される金銭
  • 契約の解除に関する事項
  • 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
  • 手付金等保全措置の概要(宅地建物取引業者が自ら売主の場合)
  • 金銭の貸借に関する事項
  • 割賦販売に係る事項
  • 瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要
  • その他の事項
  • まとめ
目次

重要事項説明とは

重要事項説明とは宅建業法(正式には宅地建物取引業法)という法律において定められているものです。この法律で宅地建物取引業者(不動産会社のことですね…)は“物件の買主、売主に対して売買契約が成立するまでに、宅地建物取引士より重要事項説明書を交付して重要事項説明をしなければならない”と決められています。

簡単に言うと、重要事項説明書という資料をもとに、不動産会社の人(宅地建物取引士)から、契約に関する重要な説明を聞いてサイン、押印する。という感じです。

ポイントは重要事項説明は、「契約が成立するまでに行われる」ということです。つまり、重要事項説明を受けて、契約をするかどうか判断できるということです。

ところが実態は、重要事項説明と契約を同じ日に行うケースがほとんどです。購入の申し込みをして、特に自分から何も言わなければ、おそらく不動産会社は重要事項説明と契約を同じ日に行います。「こんなはずじゃなかった…」ということのないように、できれば契約日より前に重要事項説明を受けておきたいですね。

 

重要事項説明で気をつけたいこと

重要事項説明で最も大切なのは、「書いてある内容を十分に理解して、あやふやにしておかないこと」です。不動産取引におけるトラブルの原因は、大体が「聞いていなかった…」「聞いたけど良く分かっていなかった…」ということです。

重要事項説明においては専門用語がたくさんでてきます。「これは専門用語だから伝わりにくいな」と思って分かりやすく説明してくれる人ならいいですが、不動産会社の人は、業界にドップリ浸かり込んで、そもそも何が専門用語なのか自分で分かっていない人もたくさんいます。

分かりにくいこと、曖昧なことは分かったような気になって返事するのではなく、遠慮せず、恥ずかしがらずにどんどん聞きましょう。重要事項説明書に書かれていることは、納得がいくまで説明してもらって十分に理解しておきましょう。

 

宅建建物取引業者・宅地建物取引士とは

宅地建物取引業者(宅建業者)というのは不動産会社のことです。余談ですが不動産業=宅建業ではありません。不動産業は仲介だけでなく、マンション管理、貸ビルなどの業種も含まれますが、宅建業は「自らが行う宅地や建物の売買」や「売買・貸借をするときの代理や媒介」を業として行うもののことをいいます。

宅地建物取引業をするためには国もしくは都道府県の免許が必要です。(2つ以上の都道府県に事務所を設置する時は国土交通大臣の免許、1つの都道府県内に事務所を設置するときは都道府県知事の免許です。)

宅地建物取引士(宅建取引士)とは、宅地建物取引士という国家資格に合格して都道府県知事の登録を受けた人です。どこの不動産会社にも必ず宅建取引士というプロがいます。重要事項説明はこの宅建取引士がやらなくてはなりませんので、必ず説明の前に宅建取引士証という資格証を見せてくれます。(これは宅建持ってますよ、と自慢しているのではなく、法律上提示することになっているものです 笑 提示がなければ違反ですので提示させて宅建取引士であることを確認しましょうね。)

宅建業者に関する事項

宅建業者の商号または名称、代表者の氏名、所在地などです。
売主側の不動産会社と買主側の不動産会社がそれぞれ違う場合は2社の情報が記載されています。

 

宅地建物取引士に関する事項

説明をする宅地建物取引士の名前、登録番号などが記載されています。説明者は宅地建物取引士証を提示しなければなりませんので、取引士証もあわせて確認しておきましょう。

 

売主に関すること

売主の住所、氏名が記載されています。ここで売主と登記名義人が異なる場合は、なぜ異なるのか、その理由を確認しておく必要があります。

 

建物に関すること

マンションに関すること(構造や規模、築年月など)、専有部分(お部屋)のこと(床面積や間取りなど)が記載されています。基本的にマンションのパンフレットや図面に書いてあるような内容です。

 

敷地に関すること

敷地に関する面積(登記簿面積・実測面積)、敷地権の種類が記載されています。敷地権とは登記簿に登記された所有権・地上権または賃借権のことで、建物と分離して処分することができない敷地利用権のことです。マンションの敷地は所有者全員で所有権・地上権または賃借権を共有していますが、その共有している持ち分のことを敷地利用権といいます。敷地利用権は管理規約というマンション独自の規約で定めていない限り、専有部分の床面積の割合によって定められています。

 

登記簿に記載された事項

建物、土地それぞれ登記簿に記載された事項が記載されています。
「甲区欄」に「所有権に係る権利に関する事項」「乙区欄」に「所有権以外の権利に関する事項」が記載されています。「甲区欄」には、所有者かどうかということが書かれています。売主と登記名義人が異なる場合は、その理由を確認しておきましょう。また、「甲区欄」の「所有権に係る権利に関する事項」が「有」となっている場合は注意が必要です。所有権移転仮登記や差押の仮登記があれば、ココに記載されますが、売買契約後でも所有権を取得できない場合もあります。これらの仮登記を抹消してもらったうえで契約する必要があります。
「乙区欄」には、「所有権以外の権利に関する事項」で抵当権や地役権等が記載されます。住宅ローンがあれば、銀行等が抵当権者として設定されています。抵当権がついていても問題ではありません。通常、抵当権がある場合は、売買代金で抵当権を外すことになります。

 

都市計画法に基づく制限の概要

マンションが許可なくどんどん建てられていくと、計画的な街づくりができなくなってしまいますよね。そのため、その区域に建物を建てられるかどうかを制限しているのが都市計画法です。購入するマンションがどの区域にあるのか、その区域にはどういう制限があるのか、ということを知っておきましょう。

 

建築基準法に基づく制限

ここでは用途地域名や建ぺい率、容積率、建物の高さ制限、その他制限があればその内容が記載されています。

 

用途地域

用途地域によって、その地域にどんな種類の建物を建築することができるのかが決まっています。(ちなみに用途地域というのは12種類に分かれています)例えば「第一種低層住居専用地域」という用途地域には、高層マンションを建てることはできません。「商業地域」という用途地域にはパチンコ店を建てることもできます。自分のマンションはどの用途地域で、どういう制限があるのかを知っておきましょう。

 

建蔽率

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。(漢字で書くと建蔽率、読めても書けない漢字ですよね…)

建ぺい率=建築面積÷敷地面積

一戸建てでもマンションでも、建ぺい率の制限内でしか建物を建てることはできません。

容積率

容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことです。

容積率=延床面積÷敷地面積

建築面積と延床面積

建築面積とは建物を真上からみたときの建物部分の面積(水平投影面積)で、通常は1階部分の面積です。延床面積は建物の各階の床面積を全て足した面積のことです。

その他

他に建築基準法による制限では次のようなものがあります。

・防火地域と準防火地域
・建物の高さの制限(道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影規制など)
・建築協定

 

その他法令に基づく制限

ここでは都市計画法、建築基準法以外の各種法令による制限のうち、売買の対象となる物件に適用されるものがあった場合にその内容が記載されています。(古都保存法、都市緑地法、景観法、土地区画整理法、農地法、都市公園法、河川法、海岸法、航空法、土壌汚染対策法など)
内容によっては厳しい制限を受けるものもあるので、ここに該当項目があれば、どういった内容なのかしっかりと把握しておきましょう。

 

敷地と道路との関係

建物の敷地は、原則、建築基準法で定められた道路に2m以上接していなければ建物の建築をすることができません。道路の種類・幅員・接道の長さ等をチェックしておきましょう。

 

私道負担等に関する事項

私道負担の有無について記載されています。一戸建ての購入時には重要なポイントですが、分譲マンションでは私道の有無が大きな問題になることは、ほとんどありません。

 

飲用水・ガス・電気の供給施設及び排水施設の整備状況

ここではいわゆるライフラインの整備状況に関することが記載されています。ガス会社(ガスの種類)、電気会社の確認に加えて排水が公共下水なのか、浄化槽なのかといったところを確認しておきましょう。浄化槽のあるマンションでも、下水に切り替える予定があるところもあります。

 

宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状・構造等(未完成物件等の場合)

未完成物件(新築)の場合には説明されますが、中古マンションは未完成物件に該当しません。(当たり前ですけどね…)

 

当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か

簡単な言い方をすれば、「マンションが造成宅地防災区域という区域内にあるか、区域外にあるか」です。地震等の災害が発生した際に崖崩れや土砂災害が発生する恐れがあるところは、宅地造成等規制法という法律に基づいて造成宅地防災区域に指定されることがあります。区域内であれば災害の際に被害が出る恐れがありますので、十分に説明を受けましょう。

 

 

当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か

これも造成宅地防災区域と同じで、土砂災害防止対策推進法(正式名はもっと長い!)という法律に基づいて、長雨、大雨等により土砂災害が発生する恐れのある地域が「土砂災害警戒区域」「土砂災害特別警戒区域」に指定されることがあります。特別警戒区域の方がより危険性が高い、という認識でいいと思います。これも、もし区域内であれば十分に説明を聞いておきましょう。

 

 

当該宅地建物が津波災害警戒区域内か否か

これも土砂災害警戒区域と同じで、津波防災地域づくりに関する法律という法律に基づいて、津波による災害が発生する恐れのある地域が「津波災害警戒区域」「津波災害特別警戒区域」に指定されることがあります。土砂災害と同じで特別警戒区域の方がより危険性が高い、という認識でいいと思います。もし区域内であれば十分に説明を聞いておきましょう。

造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域のいずれかに該当した場合は、契約をするかどうかの大きな判断基準になると思います。これらの説明をすることは宅建業者に義務付けられていますが、万一説明が無かった場合は必ず確認してくださいね。

 

 

建物についての石綿使用調査結果の記録に関する事項

平成18年に宅建業法が改正され、この項目が追加されました。石綿ではなく、“アスベスト”といえばピンと来る方もいるのではないでしょうか?当時テレビや新聞で話題になりましたよね。アスベストは石綿と呼ばれる鉱物繊維で、昔は建築資材としてよく使われていたようです。しかし、このアスベストが人体に悪影響を与えることが判明し、使用が制限されるようになりました。(飛散する際にリスクがあるとされており、飛散しないように使われていれば、必ずしも危険というわけではありません。)ここでは石綿を使っているかどうか、ではなく、『石綿使用調査をしているかどうか』が記載されています。宅建業者は、その物件で石綿使用調査をしていればその内容を説明する必要がありますが、石綿調査をしなければならないわけではありません。調査結果記録が「無」となっていれば、石綿が使われているかどうかは分かりません。この調査は分譲マンションの場合、個人で行うのではなく管理組合で行うこととなります。アスベスト使用に関する法的な規制は段階的に行われてきました。比較的新しいマンションではそのリスクも少ないことから、調査を行わないことにしたマンションも多いと思います。

 

 

建物の耐震診断に関する事項

建物の耐震診断についても、『耐震診断をしているかどうか』が記載されています。宅建業者は、その物件で耐震診断をしていればその内容を説明する必要がありますが、耐震診断をしなければならないわけではありません。また、耐震診断の説明は旧耐震基準の建物が対象となります。1981年6月に建築基準法が改正され、以降建築確認を受けた建物は新耐震基準ですが、それより前に建築確認を受けた建物は旧耐震基準です。

 

敷地に関する権利の種類及び内容

敷地の面積(登記簿上の面積と実測面積)、権利の種類が記載されています。
ここは以前紹介した内容と重複しますので、以下の記事を参考にしてくださいね。

 

共用部分に関する規約の定め

ここで2つのキーワードが出てきました。1つ目は「共用部分」。分譲マンションというのは、専有部分と共用部分とで成り立っています。ざっくりと言えば、お部屋が専有部分、それ以外(エントランス、エレベーター、廊下、階段など)が共用部分です。2つ目のキーワードが「規約」です。マンションには「管理規約」「使用細則」というものがあり、ここでマンション内のルール等について定めています。そのマンション内の法律みたいなものです。“共用部分に関する規約の定め”では、共用部分の範囲、共用部分の共用持ち分、共用部に関する規約の定め(案を含む)があるときは、その内容が記載されています。

 

専有部分の用途その他の利用制限に関する規約等の定め

まず、専有部分の用途について規約の定めがあれば、その内容が記載されています。例えば「専有部分は住居専用で事務所としての利用は禁止ですよ」といった内容です。管理規約の内容はマンション毎に異なりますので、住居専用としているマンションもあれば、事務所としての使用を認めているマンションもあります。

その他の利用制限に関する定めでは、ペット飼育に関する制限楽器使用に関する制限リフォームや模様替えに関する制限が記載されています。知っておかないとトラブルになりがちな項目ですので十分に確認しておきましょう。(犬・猫の飼育は禁止されているが小鳥なら飼育しても良い。とか、夜8時以降ピアノを弾いてはならない。といった内容です。)

 

専用使用権に関する規約等の定め

共用部分の専用使用権に関することが記載されています。駐車場や駐輪場、バルコニーや専用庭(主に1階にあるお部屋に付いている庭のことです)に関することです。誰が使えるのか、使用料はあるか、使用料があった場合の帰属先はどこか等です。バルコニーや玄関扉(外側)は、専有部分と思いがちですが実は共用部分です。ここで特に注意しておきたいのは、駐車場や駐輪場(自転車置き場、バイク置き場)に関することです。自分が使えるのかどうか、また、費用がいくらかについて、しっかり確認しておきましょう。

 

 

所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約等の定め

所有者が負担すべき費用というのは、管理費、修繕積立金、駐車場代、駐輪代などです。マンションの所有者の中で、特定の人だけこれらの費用が安くなる(費用が掛からない)場合にはその内容が記載されています。

 

計画修繕積立金等に関する事項

マンションの資産価値を長期にわたって維持していくためには一定期間(おおむね10~15年に一度)で、“大規模修繕工事”という工事を実施することが必要です。マンションで足場を掛けて工事をしているのを見かけたことがあると思いますが、アレです。主に外壁、屋上、廊下、階段などの補修工事を行いますが、そのための費用は区分所有者全員で積み立てていく修繕積立金でまかなわれています。大規模修繕工事は適性な時期で行う必要がありますが、その時期に修繕積立金が積み立てられていないと工事を行うことができません。結果、①工事事を延期する。②管理組合で借入をして工事を行う。③区分所有者から一時金を徴収する。ということになってしまいます。ここには毎月支払う修繕積立金の額と現在までに積み立てられている額が記載されています。ここでチェックしておきたいポイントが3つあります。

1つ目は、『次回の大規模修繕工事に向けて修繕積立金が計画通り積み立てているかどうか確認すること』

2つ目は『修繕積立金の滞納者がいれば、その滞納額と回収の目途が立っているか確認すること』

「うっかり1ヶ月支払が遅れちゃった」という人が数名いる程度なら特に問題はありませんが、長期にわたって滞納している人が数名いると、計画通りに工事ができないこともあります。ちなみに「建物の区分所有等に関する法律」において管理費や修繕積立金等の滞納があるまま売買を行った場合、管理組合は新しい所有者に滞納分を請求することができます。つまり、売買対象住戸で滞納があった場合は、決済までに売主が滞納分を支払っていることを確認しておかなければ、その支払義務が承継されることになってしまいます。

3つ目は、『修繕積立金値上げの予定(計画)があるかどうか確認すること』

分譲マンションには長期修繕計画というものがあり、それに基いて修繕積立金の値上げが計画されていることがあります。修繕積立金が何年後にいくら上がるのかについて把握しておきましょう。毎月支払うお金ですから大事なポイントですよね!

 

通常の管理費用の額

修繕積立金と同様、毎月支払うのが管理費です。みんなから集められた管理費は、主に共用部分の維持管理(清掃、点検等)や共用部分の水道熱費、管理会社に支払う管理委託料などに使われています。ここでもチェックしておきたいポイントが3つあります。1つ目、2つ目は修繕積立金と同様で、『滞納者の状況と滞納額を把握しておくこと』『管理費の値上げの予定(計画)があるかどうか確認すること』です。3つ目は、『管理費会計が赤字になっていないか確認すること』です。分譲マンションには決算報告書というものがあり、それを見れば、年度ごとにそのマンションの収入と支出の状況を把握することができます。

収入より支出の方が多ければ、収入を増やすために管理費の値上げをしたり、支出を減らすために維持管理のグレードを下げたりしなければならないこともあります。収支状況も健全であるかどうか確認しておきましょう。

 

管理の委託先等

ここでは管理の形態と管理を委託している管理会社のことが記載されています。管理の形態とは、マンションの管理を管理会社に全部委託してるのか、一部委託しているのか、管理会社には委託せずに自分たちで管理しているのか(自主管理といいます)ということです。近年ではほとんどのマンションが管理会社に管理を委託していますが、一部自主管理のマンションもありますので、確認しておきましょう。
管理会社は分譲マンションで生活していく上でパートナーともいえる存在です。自分のマンションの管理会社名と、万一、緊急事態が発生した際の管理会社の連絡先を確認しておきましょう。

 

建物維持修繕実施状況の記録

ここでは共用部分と専有部分(買うお部屋)の修繕記録の有無、またその内容が記載されています。共用部分の記録があれば、長期修繕計画に沿って修繕されているか確認してみましょう。専有部分は、もし記録が無くてもヒアリング出来る範囲で教えてもらいましょう。特に設備等の修繕歴を知ることができれば、あと何年くらいでどの設備が壊れるだろうという予測もすることができます。

 

代金及び交換差金以外に授受される金銭

代金というのは物件の売買代金のことで、交換差金というのは金銭以外の財産を交換する場合で、譲渡する財産と取得する財産が同額でないときに、その差額を補うために授受される金銭のことをいいます。代金及び交換差金以外に授受される金銭とは、売買に伴い必要となる諸費用のことです。(手付金、固定資産税・都市計画税の精算金、管理費・修繕積立金の精算金など)

契約の解除に関する事項

ここではどんな場合に、どのようにして契約を解除できるのか確認しておきましょう。

手付解除

買主は契約の際に支払った手付金を放棄することで契約を解除することができます。売主は買主に手付金の倍額を支払うことで契約を解除することができます。

ただし手付解除ができるのは、いずれも“相手方が契約の履行に着手するまで”ですので、所有権移転登記をした後には手付解除はできません。

 

引渡し前の滅失又は毀損等の場合の解除

これは引渡し前に売主、買主の責任ではない事由(自然災害など)で、マンションが倒壊したり毀損したりしてしまったときのことです。契約から引渡しまでに、数週間の期間が空くことは珍しくありません。その間に自然災害等が発生してしまってマンションが倒壊したりした時は契約を解除できる、というものです。このケースでは、双方違約金は発生しませんし、手付金も売主から買主に無利息で返還しなければなりません。

 

契約違反による解除

売主(もしくは買主)が契約に定める債務を履行しないとき、相手方は契約の履行を催告し、それでも応じないときに契約の解除をすることができます。違約金は契約によって異なりますが、一般般的には売買代金の10~20%とされることが多いです。(宅地建物取引業者が売主の場合は違約金の上限は売買代金の20%と定められています。)

 

融資利用の特約による解除

住宅ローンの融資が受けられなかった場合の解除、いわゆる「住宅ローン特約」というものです。ローンが通らなかった場合、違約金を支払うことなく契約を解除することができ、売主に支払った手付金も返してもらうことができます。住宅ローンを利用して購入する時は、万一、ローンの審査に通らなかったときのために、必ずこの内容を確認しておきましょう。

 

損害賠償額の予定又は違約金に関する事項

売主が予定の時期を過ぎても物件を引き渡してくれないなど、契約で定めた債務を履行しないことで損害を受けた場合に、損害賠償を請求することができます。売買契約ではあらかじめ、損害賠償額の予定や違約金を定めることができ、その内容について記載されています。違約金は売買代金の10~20%とされることが多いですが、宅地建物取引業者が売主の場合は上限が売買代金の20%と定められています。

 

手付金等保全措置の概要(宅地建物取引業者が自ら売主の場合)

宅建業者が売主の場合、買主から一定額を超える手付金を受け取る時には保全措置が義務付けられています。万一、宅建業者(不動産会社)が契約を結んだあとに倒産して引き渡しもしてくれない、手付金も返ってこない、なんてことがあったら大変ですよね。
ただし、受領する手付金が売買代金の10分の1以下(10%以下)、かつ1,000万円以下のときは保全措置を講じる必要がありません。未完成物件(新築)においては100分の5以下(5%以下)、かつ1,000万円以下のときは保全措置は必要ありません。
ここには保全措置を講じるのか、講じないのか、講じるときは保全措置を行う機関が記載されています。(銀行による保証、保険事業者による保証保険、指定保管機関による保管のいずれか)

 

金銭の貸借に関する事項

ここでは住宅ローンに関する内容が記載されています。住宅ローンの内容が間違っていないか確認することと、万一、ローンが通らなかった場合の「融資利用の特約」の期限もあわせて確認しておきましょう。

 

割賦販売に係る事項

割賦(かっぷ)販売とは、分割支払いのことですが、不動産で割賦販売が行われることはほとんどありません。ローンのことではありませんし、手付金や中間金のことでもありません。もし割賦で購入する場合は支払条件等をきっちりと確認しておきましょう。

 

瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要

瑕疵担保責任というのは、『売買の目的物に瑕疵(欠陥や不具合)があった場合に、その瑕疵が隠れたる瑕疵の場合、売主が損害賠償等の責任を負う。』というものです。「隠れたる瑕疵」というのは購入時に買主が注意しても発見できなかった欠陥や不具合のことです。

瑕疵担保責任の履行に関する措置とは、売主の倒産等の理由で、瑕疵担保責任を負うことができなくなってしまった場合でも、保証保険等に加入し、瑕疵担保責任を履行するという制度です。平成21年10月より新築住宅の売主には瑕疵担保責任の履行に関する措置を講ずることが義務付けられています。

ここでは売主が瑕疵担保責任を負うかどうかということではなく、瑕疵担保責任の履行に関する措置が講じられているかどうかが記載されています。

 

その他の事項

供託所等に関する説明

宅建業者は営業保証金を供託するか宅地建物取引業保証協会に加入することが義務付けられています。宅建業者が、保証協会の会員でない場合は、営業保証金を供託している供託所に関すること、会員の場合は、その会員である旨と保証協会に関すること、保証金を供託している供託所に関することが記載されています。

 

添付書類

重要事項説明書には、添付書類として謄本や図面、管理規約等が付いています。謄本に関することは重要事項説明で触れますし、図面関係も見ればある程度理解できると思います。ところが管理規約や使用細則については、重要事項説明ではそこまで細かく説明されないかもしれません。分譲マンションの場合、管理規約や使用細則の他、管理組合で決まった独自のルール等があるマンションもあります。管理規約や使用細則は十分に確認したうえで、分からないことや不安なことがあれば、事前に直接管理会社に聞くのが良いかもしれませんね。

 

備考欄

「備考」や「その他」といった欄に書かれていることが実はとても重要なことだったりします!重要事項説明書というのは基本的なフォーマットが数パターンあって、大体どこの不動産会社も基本的なフォーマットで作成しますが、そこには当てはまらないが説明しておくべきことがココに書かれているからです。

 

まとめ

重要事項説明には専門用語も多く、分かりづらい部分もたくさんあると思います。重要事項説明のポイントは購入するマンションのこと、契約のことについて、後々、「こんなはずじゃなかった」「聞いていなかった」とならないように、事前にできるだけ深く理解しておくことだと思います。一生に一度?の買い物かもしれませんので、分からないことはとにかく聞いて、理解したうえで契約したいですね。

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生山 亨

あなぶきハウジングサービス :生山 亨(いくやま こう)
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介・総務業務を経験。長年やってきた賃貸業務、中でも特に空室の改善、対策は得意分野です。現在は、あなぶきスペースシェアにおいて宿泊事業・マンスリー事業を行っています。

保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者
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