こんにちは、木須です。
新型コロナウイルスでお家で過ごす時間が長くなった方もいるのではないでしょうか。
そうなると気になるのが自分の部屋。もっと自分好みにするために、”壁に棚や小物を取り付けたい”といった趣向の人が増えてきているように感じます。
ですが、お部屋の壁に棚や小物を取り付けようとしたら壁がスカスカで固定できずに失敗した経験はないでしょうか?
ビスを打とうとしたら、壁の中にズボッ!なんていうことないでしょうか?
このようなことがないように、今回はマンションリフォームのプロの立場として
『棚が取付けられる壁の見分け方』のご紹介をします。
壁の向こう側はどうなっているの?
お部屋の中の壁。いつも表面的に見えているのはだいたい壁紙ですよね?
ただしその向こう側がどうなっているのかをわかっていないと、うまく棚は取り付けられません。
では壁のどこであれば棚が取り付けられるのかをを簡単にご説明します。
まず、壁紙の向こうは何でできているのか?
それは、お部屋の中の壁の約8割程が”石膏ボード”と言われる板で構成されています。
石膏ボードとはプラスターボード(建築用語ではP.B.と略したりもします)ともいい、石膏を主成分とした素材を板状にして、特殊な板紙で包んだ建築材料です。
非常に丈夫であり、耐火・断熱・遮音性が高く、壁や床を造る際には広く使われています。
壁紙を剥がさないとまずお目にかかれない部分です。
その石膏ボードがだいたい1.25cm及び9mmの厚みで設置されています。
そしてその向こう側はというと、居室と居室を仕切る「間仕切り壁」と言われる壁、石膏ボードを設置するための間柱(垂木:タルキと呼ばれる角木材)が等間隔で並んでいます。
それを挟むように、また石膏ボード→壁紙という構成となっています。
一方、躯体(構造壁:コンクリートの壁)に面している壁はどうなっているのでしょうか?※躯体に面している壁=基本的には外壁面と隣のお部屋に面している壁。
マンションによっては、間仕切り壁が躯体ということもあります。
主には2パターンあります。
1つは、間仕切り壁と同じく、壁紙→石膏ボード→間柱→躯体壁のパターン、
もう1つが、壁紙→石膏ボード→GLボンド→躯体壁のパターンがあります。
2つめのGLボンド(石膏系接着剤)で壁を作るやり方はGL工法と言い、
GLボンドを団子状にして躯体面に塗りつけ、石膏ボードを圧着する工法です。
この場合、団子状のボンドは躯体面に対してランダムに塗り付けられているため、
壁を作るための下地に間柱のような均一性はありません。
石膏ボードにビスは打てない
上記のように壁は作られています。このことを理解した上で、
「じゃあどこに棚を取り付けられるのか?」ということですが、
前述した石膏ボード自体にはビスは打てません。
ビスを打ったらズボッ!という状況になるのは、この石膏ボード自体に
打ってしまっているから です。
例えばピンを刺して、抜いた時に白い粉(=石膏)が付いていたらそこは石膏ボードの壁です。
部屋の壁の8割は石膏ボード…
では、どうしたら良いのでしょうか?
間仕切り壁の場合
大きく分けて方法は2つあります。まずは、間仕切り壁の場合、
壁を構成する間柱を狙ってビスを打つ
間柱がどこにあるかは見えませんが、間柱は見えなくても均一のピッチで存在しています。
壁面収納を造作したくて、リフォームをお願いしたことがある方などは見たことがあるかもしれませんが、
よく大工さんやリフォーム業者さんが壁をコンコンコンと叩いて何かをチェックしているのを見たことはないでしょうか。
あれは、どこに間柱があってどのくらいのピッチかを叩いて知ろうとしている作業です。
間柱はどちらかの壁の角から45cm及び30cmのピッチで立っているのが一般的です。
どこに間柱が立っているかを知ることができれば、間柱は木材なのでビスを打つことができます。
叩いて探すのは、経験も必要なのでおススメは「間柱センサー」を使うことです。
機械で探すと簡単にわかります。
※一例ですが、簡易的なものであれば2,000円前後で購入が可能です。
ボードアンカーで下地を作ってビスを打つ
ボードアンカーとは石膏ボード自体にアンカーを打ち、そこにビスを打てるようにできる商品です。
これであれば、石膏ボードのどの面にもビスが打てるようになります。
しかし耐荷重の制限がありますし、結局は石膏ボードのため、あまりに重いものは心配です。
ボードアンカーの説明をよく読んだ上で取り付けるものを選びましょう。
※ボードアンカーは間柱がある箇所には打ち込めません。
躯体に面している壁の場合
間柱工法の場合は間仕切り壁と同じ方法で打てますが、
GL工法の場合はGLボンドの位置が不均一なため、間柱のようにビスを打てる箇所を探すことが困難です。
ですので、結果的にはボードアンカーで下地を作ってから取り付ける方法のみ となります。
注意点
ここまで棚が取り付けられる壁のご説明してきましたが、前述した壁以外の壁の種類などもあります。
躯体壁にそのまま壁紙が貼ってある場合
触れば一目瞭然、固く冷たいコンクリートの感触がします。
この場合はビスは打てません。
石膏ボードの代わりにベニヤ合板で構成されている場合
建築当初からここには吊り戸を取り付けるなどといった場所には
石膏ボードの代わりにベニヤ合板が使われている場合があります。
この目的はビスが打てるようにするということですので、
この場合に関しては、どこにでも打つことができます。
非常に重いものを付けたい場合
壁面収納や天井にシャンデリアを付けたいといった場合は、やはりプロに頼んで取り付ける場所をしっかり補強してもらいましょう。
無理に自分で行おうとすると、壁や天井が落ちたり抜けたりする可能性があります。
賃貸でマンションに住んでいる場合
基本的にビスを壁に打つのはNGです。
打ってしまうと、退去時に復旧として壁の回復費用をとられてしまいます。
どんな状況の壁であれ、壁面や天井へのものの取り付けはしないでください。
まとめ
棚や小物を取り付けられる壁の見分け方についてご紹介しました。
上記を参考に、ご自分でよりよいお部屋にDIYできれば幸いです。
ただし取付は慎重に!
やはり重いものを取り付ける、重いものを乗せる棚を取付たい、といった場合は安全面も考えて必ずプロに頼む ようにしてくださいね。
木須 拓己
分譲マンション管理会社で専有部(お部屋内)の様々なサービス開発・企画の立案、リフォーム&リノベーション・室内クリーニング、インテリア商品販売等、お客様の快適な生活をサポートする部署の担当。分譲マンションの管理会社を15年務めた実体験及び情報をわかりやすく伝えるために日々仕事に励んでいます。仕事での心情:ニーズを形にする
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