熊本地震から考えるマンション防災の3回目は「本当に必要だった備蓄品<自助編>」についてご紹介します。中には想定していなかったような備蓄品が必要となることもありましたので、今回の地震を機にあらためて整理していきたいと思います。
- 自助と共助
- ライフラインの停止
- 何日分の備蓄があれば良かったか
- 自助(各戸で備蓄しておきたい防災用品 ※参考)
- お部屋の安全空間は大丈夫?
- まとめ
自助と共助
防災の基本は「自らの安全は、自らが守る」という「自助」が前提となります。一方で共同生活をしているマンションだからできる「共助」という備えをプラスすることにで、より安心・安全なマンション防災となります。
自助
自宅を安全な空間にすることは自分にしかできないことです。地震の振れの中では誰もが自分の身を守ることしかできません。振れがおさまった時、自分の目の前にある火災を最も早く消すことが出来るのは自分です。けがをした家族の救護を最も早くできるのは自分です。こうした自分の手で自分・家族・財産を助ける備えと行動を自助と呼びます。
共助
震災のような広域災害では、地域の防災機関(警察や消防など)も同時にすべての現場に向かうことはできません。かと言って、自衛隊など被災地の外からの応援到着には時間がかかります。一方で共同住宅で生活をしているマンションでは住人同士が協力することができるはずです。救出活動も消火活動も早く始めるほど、そして多くの人が参加するほど被害を小さく抑えられます。災害時に円滑に協力するためには、ふだんからの交流が大きな力となります。こうした近隣のみなさんと協力して地域(マンション)を守る備えと行動を共助と呼びます。
ライフラインの停止
東日本大震災や熊本地震におけるライフラインの復旧までに要した時間は概ね下記のような状況でした。
- 電気 3日後 明りがつかない、電気製品が使えない
- 水道 1週間後 水が出ない、トイレが流せない
- ガス 1ヶ月後 風呂に入れない
また、マンション(建物)までのインフラが復旧しても建物内の設備が故障や破損して停止する場合もあります。
何日分の備蓄があれば良かったか
自助としては家族全員が7日間(最低3日間以上)自立して生活できる為の飲料水や食料、排便対策の備品を各自で備えておくことをお勧めします。
管理組合でおこなう共助としては震災発生時から約3日間(72時間)マンション住民達だけで乗り切るための救助機材や一時的に対応する為の資機材を備蓄します。また、マンション住民が在宅避難をするために必要な最低限の非常用トイレ・非常用飲料水、非常用食料等の生活備品を1日分を目安として各自の自助と重複備蓄しておきます。
自助(各戸で備蓄しておきたい防災用品 ※参考)
在宅避難は家族7日分(最低でも家族3日分)を目安に備蓄が必要です
食料(レトルト等)
水(ペットボトル)
1日1人 2リットル×1本以上を目安
トイレ(非常用便袋)
1日1人 平均5~6回使用を目安
卓上カセットコンロ
最低1台以上必要
卓上カセットコンロ用ガス
使用時間1本あたり1~2時間で、1人あたり3本以上を目安
懐中電灯と電池
機器は単3電池用に統一しておくと他の設備と兼用できます
携帯充電器(電池式)と電池(単3)
携帯ラジオ
多機能ラジオが便利:手回し充電機能付きなど
ビニール袋
ゴミ袋から非常用のトイレ、雨具代わりなどに利用可能
トイレットペーパー
非常用便袋
非常時に各お部屋のトイレを仮設トイレとして使用できる
持病の薬、常備薬
メガネ
予備として以前使用していたメガネなど
十徳ナイフ
ドライバーやペンチ、ナイフなどが一つになっているキャンプ用品など
お部屋の安全空間は大丈夫?
建物の耐震性が十分でも安心は禁物です。過去の地震では多くの方が倒れてきた家具の下敷きになって尊い命を失ったり、大ケガをしました。日頃から家具の固定や配置の見直しで「安全空間」を作っておきましょう。
まとめ
災害は家族が揃っている時に発生するとは限らず、家族がバラバラにいる時に起きる可能性もあります。日頃から準備しておくとともに、災害が発生したら落ち着いて避難・安否確認などの行動ができるよう、連絡方法や避難所の場所を事前に確認しておくことも必要です。まずはご自宅の自助がどのレベルにあるか確認し、不足していることを埋めていくことからはじめてはいかがでしょうか。
<参考記事>
熊本地震からマンション防災を考える②「地震発生直後に起こったこと」
松井 久弥
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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