マンション購入者必見|管理組合の運営と理事役員の心得10項目

北林真一

今回はマンション管理担当者の経験や自らの理事長体験をもとに、それぞれの目線で基本的なマンション管理組合の運営や理事役員の心得についてご紹介します。

はじめて分譲マンションを購入される方や「住んでるけど管理組合の運営や理事役員のことはよく分からない」という方は是非ご参考にしてくださいね。

 

心得

新築の分譲マンションに入居する場合、賃貸住まいからの転居、ご両親の家から独立、同じく分譲マンションからの住み替えなどのケースがあると思います。購入する際の売買契約時に、「管理規約」、「管理委託契約書」、「マンションの維持管理に関する承諾書」などが配付されます。

賃貸から分譲マンションに入居される方も同様に、「重要事項説明書」、「管理委託契約書」、「管理規約」などが配付されます。

はじめての用語に戸惑う方もおり、”賃貸住まいの感覚”で分譲マンションに入居される方もいるようです。
以下に、管理組合の運営に関する重要ポイントをまとめてみました。

 

管理組合とは何か?

建物の区分所有に関する法律(以下、「区分所有法」といいいます。)では、分譲マンションのような区分所有建物の所有者は、建物共用部分・敷地並びに附属施設の管理を行うための団体を構成することが定められています。この団体を「管理組合」といいます。分譲マンションを購入すると区分所有権が発生し、その時点で当然に管理組合は成立していると解されています。

組合員が所属する「管理組合」の権利や義務、組合員の代表である「理事長」の権利や義務は、区分所有法によって定められています。この法律を基にして、各マンションにある「管理規約」があります。管理規約はマンションの憲法ともいえる管理規約で、管理組合の運営がなされています。

 

区分所有者は当然に、管理組合の構成員となる

「私は管理組合など加入した覚えはない!」
なんて珍問答をされる方がいますが、マンション購入者は区分所有者となったときから自動的に「管理組合の構成員」となります。
よって、その区分所有建物に居住している・していないに関係なく、区分所有者である限り、管理組合から脱退することはできません。なお、賃借人は組合員になることはできません。

 

理事会の役割とは?

管理組合には、「理事会」が設置されます。
理事会は、総会で選任された複数の役員(理事)で構成される「管理組合の業務の執行機関」であり、管理規約に定められたことや総会での決議事項を実行します。

 

理事長は管理組合の代表者です

理事長は、区分所有法で定める「管理者」となります。
管理者は、管理組合を代表する責任者であり、総会や理事会を招集すること、総会の議長となることなど、区分所有者全員のための職務を行います。管理組合の運営は「区分所有法」という法律に守られ、理事会や理事長に一定の権限が与えられています。

マンションによっては、同じ理事長が長く務めるマンションもあります。慣れているので総会業務は手際がよいというメリットがありますが、慣れすぎに注意し、住民に対して広報や広聴をおろそかにしがちになる場合があります。
「理事が好きなように運営している」などと陰口をたたかれないように、なんでもオープンに話し合って決める習慣をつけることが大事です。

 

管理組合の役員になった場合の心得

マンションの管理組合の役員は、輪番制など区分所有者が交代で行うのが一般的です。区分所有者の人数にもよりますが、5年~10年に1度、役員が回ってくることが多いようです。役員である理事を打診されたら、よほどのことがない限り引き受けましょう。 

理事を引き受け、あるいは輪番で理事になったものの、理事会に顔を出さず、行事に参加しない「幽霊理事」がたまにいます。理事を依頼されたら、快く受け、任期終了まで、前向きに取り組みましよう。そうでない場合、他の理事から正直者がバカを見るといった恨み言の一つも聞こえてきます。

役員になった方には負担がかかりますが、自分も住むマンションですから、「良好に管理・運営していく意識」をもって職務を行うことが大切です。また、理事会には欠かさず出席し、理事長をバックアップする気持ちが大事です。そのため、理事会の開催日時はできるかぎり役員が出席できるような調整も大切です。

 

役員の欠員に備える

転勤やお引越し等の事情で役員に欠員が生じる場合があります。
この場合は、管理規約で定める方法により、新役員を選任しなければなりません。このような場合に備え、任期は前任者の残任期間としたうえで、「欠員となった役員」を理事会の決議で補充することができる旨を管理規約で定めておくことも有効です。

 

新旧役員の引継ぎが大事です

総会後、いきなり「役員です」と言われても何から手をつけてよいのか戸惑いますよね。
理事会の役員が交代するときは、「新旧役員引継会」を行うことをお勧めします。管理組合が抱えている懸案事項や検討すべき事項等を次期理事会に引き継ぐことができれば、管理組合の運営の継続性を保つことにもつながります。

役員の任期は1年のマンションが多いです。役員の任期は2年とし、半数入れ替えで切れ目のない管理組合運営をしているマンションもあります。

 

専門委員会の設置

『管理規約の変更』や『大規模修繕工事』など、理事会だけでは手が回らない場合や、専門的知識を要する場合は、「専門委員会」を総会で決議して設置することができます。この専門委員会はあくまでも理事会の「諮問機関」とういう位置づけです。専門委員会は検討した事項を理事会に答申し、理事会はその内容を審議して、総会に諮る議案を作成し、最終的に総会で決議します。
専門委員会が、理事会より位置づけが高いと勘違いしている人がたまにいますが、あくまで理事会の諮問機関です。

 

マンション管理会社もお手伝いします

理事会の役員を担当していると、役員だけでは判断することが難しい問題に直面することがあります。このような場合、「マンション管理会社」が長年の経験とノウハウを基に適切なアドバイスを行い、管理組合の運営をバックアップします。管理会社をうまく利用することも必要ですね。

 

管理組合と自治会との違い

管理組合自治会(町内会)を混同して話される方が多いです。両者には以下のような違いがありますが、相互に協力することが大切です。

マンションの自治会は、居住者同士、また地域とのコミュニケーションを深めることを目的とします。入会、退会も自由で、同居家族や賃借人も入会できます。

管理組合とは目的が違いますが、自治会活動が盛んな大規模マンションでは、マンション内の交流が深めるため、夏祭り、納涼大会、餅つき大会、クリスマス会、囲碁クラブなど、いろいろな催しや活動を行っています。マンション内のコミュニティ形成に役立っているケースもあります。以下に管理組合と自治会(町内会)の違いをまとめました。

(対比表)

管理組合 自治会(町内会)
根拠 区分所有法 なし
目的 建物共用部分、敷地、附属施設の管理 地域のコミュニティづくり、地域住民相互の親睦を深める
構成員 組合員全員 加入の意思を示した住民、賃借人でも加入することができる
加入・脱退 区分所有者となったとき自動的に組合員の資格を取得し、区分所有者でなくなったときにその資格を失う マンションによって異なり、規約等の確認が必要
会費等 組合員であるかぎり法律に基づく負担義務がある 加入者のみが負担
規約 組合員及びその特定承継人にも効力が生じる 加入者にのみ効力が生じる

 

「マンションはドアの施錠だけで気楽ね」と言われますが、管理組合や理事会活動があるから安心して暮らせるのではないでしょうか。「マンションの理事は時間を取られ、難しそう」というマイナス思考から、「輪番がまわってきたから、私もやってみようかしら」という、前向きな考えに変わっていただければ幸いです。

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北林真一

あなぶきハウジングサービス 北林 真一(きたばやし しんいち)
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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