「うちのマンションは知り合いのマンションと比べて管理費が高い!」という話をよく聞きます。
分譲マンションでは管理組合に管理費を支払う必要がありますが、マンションによって管理費が違うのはなぜなのでしょうか?
その4つの理由をご紹介します。
目次
- 管理費の額はどうやって決まるのか?
- 管理費に違いがでる4つの理由
- 理由1:マンションの設置されている設備・施設・また管理内容による違い
- 理由2:管理組合としての収入状況による違い
- 理由3:マンションの規模(戸数等)による違い
- 理由4:所有している住戸等の広さ(専有面積)による違い
- まとめ
管理費の額はどうやって決まるのか?
そもそも分譲マンションの管理費とは、どういう根拠で決まるものなのでしょうか。
マンションで通常の生活を送り、マンションそのものを良好な状態を保つには、「共用部分の電気代」「建物内の清掃代」「エレベーター点検代」「 共用部分の火災保険料」「修理費」「電球代」 など。。。様々な費用がかかります。
このマンション全体で必要となる費用が、管理組合のルールに基づいた計算により、各区分所有者に割り当てられて管理費の額が決定します。
マンションの管理費算出のための一般的な計算式はこのようになっています。
[ 管理費 =( ①マンション全体で必要となる費用- ②その他収入[駐車料収入・看板料収入など] )× ③各区分所有者の負担割合 ]
管理費に違いがでる4つの理由
上の計算式から、マンションの管理費の違いには 「①マンション全体で必要となる費用」「②その他収入」「 ③区分所有者の負担割合」が影響します。 ①②③の中身については細かくみると様々な理由がありますが、一般的には次の「4つの理由」があります。
理由1│マンションに設置されている設備・施設・また管理の内容による違い
分譲マンションには様々な設備があります。
「エレベーター」「立体駐車場」「消防防災設備」「植木」など“マンション(管理組合)として維持管理をすることが必要な設備や施設の有無”、“量の違い”、 また、“清掃時間や清掃方法、提供を受けるサービス内容等、管理委託契約の仕様”により全体として必要な費用が変わってきます。
これにより各区分所有者の管理費の額に違いが生じます。
マンション全体の費用の違いの例は次のとおりです。
① 設置された設備による違い
・エレベーターの有無、また点検の仕様
・立体駐車場(機械式駐車場)の有無、また点検の仕様
・植木や花壇、消防設備、警報設備、宅配ボックス、ディスポーザーなどの有無
② サービス仕様による違い
・管理員が駐在しているかどうか(管理員の有無や勤務時間等)
・清掃の仕様(清掃のサイクル、清掃方法等)
・インターネット一括サービス 導入の有無など
理由2│管理組合としての収入状況による違い
分譲マンション(管理組合)では、駐車場・トランクルーム・専用庭・ルーフバルコニーなどのいわゆる附属施設を居住者に有料で貸している場合や屋外看板の設置場所などを入居テナントに有料で貸している場合があります。
これらの場合、それぞれの使用料は管理組合の収入となります。
これらの収入をマンション全体の管理費用に充当し、差引きした差額分を各区分所有者に割り当てているため、収入のあるマンションは、ないマンションに比べて管理費が安くなります。特に“駐車料”については、地域によっては1台が数万円となることもあるため、このような立地にあるマンションでは極端に管理費が安いこともあります。
※これらの使用料収入があるマンション管理組合でも、収入を管理費用には充当せず積立金としてストックしている場合もありますので、一概に“収入があるから管理費が安い”ということはできません。
理由3│マンションの規模(戸数)による違い
例えば、“エレベーターの維持管理に掛かる費用”について考えてみます。
総戸数が「50戸のマンション」と「30戸のマンション」にともにエレベーターが1台設置されている場合、その1台の維持管理費用を50戸で負担するのと30戸で負担するのとでは、当然、30戸で負担するほうが1戸あたりの負担額は増えます。
他にも、「貯水槽清掃代」「機械警備料」「管理員派遣料」など、マンションの大きさに連動して維持管理費用があまり変わらないものについても同じようなことに該当するため、小規模なマンションほど管理費は高くなることが多いです。
・貯水槽清掃代
・機械警備料
・管理員派遣費 など
理由4│所有している住戸の広さ(専有面積)による違い
管理費は、管理規約等により共用部分の持分割合により、各区分所有者へ割り当てられる金額に違いがあることが一般的です。
共用部分の持分割合は、簡単に言えば、住んでいる住戸の専有面積が広いほど共用部分の持分も大きい=持分割合も大きくなります。
同じマンションで50㎡の住戸を所有している人より、100㎡の住戸を所有している人のほうが、共用部分をたくさん持っている(持分が多い)、ということになります。持分が多いということは、維持管理する量も多いため負担額も大きいということになります。
例えば、専有面積がA室:50㎡、B室:100㎡、C室150㎡というように全3戸のマンションがあったとします。
マンション全体で毎月かかる費用が30,000円の場合、
A室( 50㎡): 5,000円(共用部分の持分割合は300分の50)
B室(100㎡):10,000円(共用部分の持分割合は300分の100)
C室(150㎡):15,000円(共用部分の持分割合は300分の150)
となります。
同じマンションで他の住戸に比べて、特に広い住戸を所有している場合には、他の住戸に比べての金額差は大きくなります。
まとめ
いかがでしょうか。
以上のような仕組みで管理費の金額は算出されることが多いので、お住まいの管理費が知り合いのマンションと比べて高いか安いを判断するには、以上の4点をもとに判断されてはいかがでしょうか?
また、管理費とは別に修繕積立金として将来の修繕資金を積立てているマンション(管理組合)が一般的ですが、この修繕積立金についても長期的な維持管理費用と解されるため、管理費と同様の考え方ができますね。
田中一直
香川県出身。あなぶきグループに平成6年に入社。主に新築マンションの販売、中古マンション・戸建などの仲介業務を経て、その後、マンション管理業務に約20年従事しています。マンション管理組合の運営補助だけでなく、お客さまのマンション生活が安心で快適であるため、常にプラスアルファの提案活動を心がけています。
資格:マンション管理士・マンション維持修繕技術者
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