今回は地震保険についてご紹介させていただきます。
地震保険が、どのような場面で役に立つのか、どれくらいの費用になっているのか、
是非、この機会に理解を深めていただければと思います。
1.地震保険の目的は?
地震保険は、「国」と「民間の損害保険会社」が共同で運営する制度になります。
その目的は「地震による被災者の生活の安定に寄与すること」です。
よく『地震保険に入っていれば、建物や家財が被害を受けた時に全部を元通りに直すことができるの?』といったご質問をいただきますが、答えは「できない」です。
あくまでも被災されたあとに少しでも以前の生活に戻せるように手助けをするための保険となっています。
また、なぜ国と民間の損害保険会社が共同で運営しているのか?とご質問をいただくこともあります。
それは「巨大地震により相当な被害が発生したときに、民間の保険会社だけでは対応できないおそれがあるから」です。
つまり、民間の保険会社でカバーできない部分を国がバックアップするということです。
災害の発生時期や発生頻度の予測がとても難しく損害が巨額になることも考えられるので、このような制度となっているのです。
また、どの保険会社に加入しようかとお悩みの方、実は、「補償内容」や「保険料」は、どの損害保険会社で加入しても同じで同一 なのです。
その理由としては、地震保険は通常の保険と異なり、保険料には保険会社の利潤は含まれておりません。保険契約者の支払った保険料は、将来発生しうる地震等のために、その保険金の支払いに備えて積み立てられています。
国と共同運営している制度ならではの特徴です。
2.地震保険でどこまで補償できる?
“建物や家財が被害を受けた時に全部を元通りに直すことができない”と書いていますが、では地震保険ではどこまで補償できるのでしょうか。
まず、保険金額の設定は「火災保険金額の30%~50%の範囲内」です。
もしご自身のマンション住戸の火災保険金額が1,000万円の場合は、地震保険金額は500万円までしか設定できません。
また、支払われる保険金は損害の程度によって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」に区分され、それぞれの区分に応じた割合で保険金が支払われます。
<地震保険 支払われる保険金>
<一般社団法人日本損害保険協会ホームページ 「備えて安心 地震保険の話」より引用>
地震保険金額が500万円だとしても、一部損と認定されると契約金額の5%である25万円分しか支払われません。
残念ながら、地震保険では建物や家財が被害を受けても全部元通りに直すことはできないのです。
3.地震保険は単体で加入できる?
よく「地震保険だけで加入することはできますか?」とご質問をいただきます。
答えは、「火災保険とセットでないと加入できません」です。
地震保険金額の設定も前述のとおり「火災保険金額の30%~50%の範囲内」となっていますので、火災保険契約がないと加入することができないのです。
現在、火災保険だけに加入されており地震保険をセットしていなくても、火災保険の契約期間の途中で地震保険をセットすることができます。
4.地震保険の保険料は都道府県によって違う
日本は地震大国ですが、都道府県ごとに地震の発生確率は違います。
そのため、建物の構造とお住まいの都道府県によって、地震保険の保険料は異なるのです。
地震保険料は、本来必要な保険料に対する不足分を補うため都度見直しがなされております。
<地震保険料 2022年10月1日~>
<損害保険ジャパン株式会社「地震保険改定のご案内」より引用>
2022年10月の改定では、基本料率が全国平均で0.7%引き下げられますが、所在地や構造によって、引上げ・引下げ(引上げ率最大:+29.9%、引下げ率最大:▲47.2%)となる区分がありました。
お住まいの都道府県ごとの地震活動に関する情報は、政府の「地震調査研究推進本部」が詳しい情報を出していますので、気になる方はチェックしてみてください。
5.まとめ
東日本大震災、熊本地震、福島県沖地震、直近では2023年5月5日に発生した石川県能登地方の地震など、ここ10年前後で大きな被害をもたらした地震が全国各地で発生しております。
そのような出来ことから、地震保険も注目されていますが、少し分かりにくい部分もありますよね。
今回の記事で、少しでも地震保険についての理解を深めていただければ幸いです。
また、国としても地震保険の加入を税制面でバックアップする観点から、「地震保険料控除制度」を設けており、普及率の向上を図っております。
以下に地震保険を調べる際に参考になるサイトのリンクをいくつか載せていますのでぜひ参考にしてみてください。
・一般社団法人日本損害保険協会 地震保険特設サイト
・「地震調査研究推進本部」
・財務省「地震保険制度の概要」
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