マンション管理費等の未収金を回収する3つの対策

松井 久弥

あなぶきハウジングサービスの松井です。

今回はマンション管理組合の悩みの種である未収金対応についてご紹介します。未収金の無いマンションにするためには、マンション管理費等の性質を理解した上で、迅速性と継続性をもって対応することがポイントになります。

この記事は、2017年8月14日に公開した記事を修正し、2019年7月5日に再公開しています。

 

目次

  • 管理費等の種類
  • どうして管理費等の未収金は多いのか
  • 管理会社による未収金の督促業務
  • 1~3ヶ月目の未収金対応(ステージ1)
  • 4~6ヶ月目の未収金対応(ステージ2)
  • 7ヵ月超えの未収金対応 (ステージ3)
  • まとめ

 

管理費等の種類

分譲マンションにおいて、所有者や占有者が支払わなければならない管理費等には、以下のものがあります。

一 管理費

二 修繕積立金

三 専用使用料(例:駐車場使用料、専用庭使用料、ルーフバルコニー使用料等)

四 その他費用(例:地代、解体積立金等)

区分所有法により、所有者であれば居住の有無にかかわらず、管理費・修繕積立金の支払い義務があります。また、マンション管理規約に基づき、各種専用使用料やその他費用の支払いが必要なこともありますし、賃借人が専用使用料を負担することもあります。

一般的には、管理費等の支払いは毎月おこなわれますので、1ヶ月でもその支払いが滞ると未収金が発生します(水道光熱費のような感じですね)

 

どうして管理費等の未収金は多いのか

分譲マンション所有者や賃借人の立場から見た「マンションに関する主な支払い項目」をまとめてみました。

①住宅ローン(賃貸の場合は家賃)

②税金(固定資産税、都市計画税。賃貸の場合は必要ありません)

③水道光熱費

④管理費等

並べて比較すると、どうしても④の管理費等の支払い優先順位が後になってしまうようです・・・。それだけが理由ではないのでしょうが、全国的に見ても、マンション管理費等の未収金は大きな問題となっています(管理費等の未収金により、設備の維持管理や修繕工事に支障をきたすケースもあります)

未収住戸率が5%を超えているようであれば、経常的に未収金が発生しているマンションかもしれませんので注意が必要です(未収住戸率5%とは、100世帯のマンションで5戸が滞納している状態)

 

管理会社による未収金の督促業務

マンション管理会社に管理を委託している場合には、管理会社の業務として、未収金の督促があります。

 

<標準管理委託契約書による督促仕様書>

一 毎月、管理組合の組合員の管理費等の滞納状況を、管理組合に報告する。

二 管理組合の組合員が管理費等を滞納したときは、支払期限後○月の間(※6ヶ月が多い)、電話若しくは自宅訪問又は督促状の方法により、その支払の督促を行う。

三 二の方法により督促しても管理組合の組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、管理会社はその業務を終了する。

 

つまり、管理会社が業務として、電話・自宅訪問・督促状発送の3点セットをおこなうと明記されていますので、未収金が発生している場合、まずは管理会社に対して督促状況の確認をすることになるでしょう。

 

1~3ヶ月目の未収金対応(ステージ1)

初期の未収金の場合、うっかり忘れていたというケースも多く、電話や書面での督促で支払われる可能性が高いですが、逆にこの段階で支払われないと長期化する恐れがあるため、迅速で確実な督促が欠かせません。また、頻繁に未収金が発生する常習者であれば、初期の段階であっても、訪問督促による面談を実施するなど、臨機応変な対応が必要です。

当社では、全ての未収金をコンビニエンスストアで24時間支払いができる仕組み構築していますが、初期滞納であれば、この段階でほとんどの支払いがおこなわれています。

 

4~6ヶ月目の未収金対応(ステージ2)

滞納が4ヶ月になると、金額としても10万円を超えて、すぐに完済できないケースが多くなりますので、上記ステージ1に加えて、次のような対応を検討します。

・管理会社だけでなく、管理組合の役員も交えた滞納者との面談をおこない、支払い計画書を作成する

・内容証明郵便による督促状発送(弁護士名)

・駐車場を契約している場合は、解約手続き

 

経験則で申し上げますと、未収期間が半年を超えてくると、回収までに相当の時間を要し、また滞納者との連絡も取りづらくなる ので、それまでに具体的な対策を講じておくことが必要です。

 

7ヵ月超えの未収金対応(ステージ3)

7ヵ月超えとなると、管理会社による通常業務の範囲での督促期間を超えてきますので、下記のような本格的な法的手続きを踏まえた対応を実施していくことになります。また、対応によっては費用が発生することもありますので、督促費用の確認もおこないます。

・公正証書による支払い計画書の作成

・法的手続きの実施(少額訴訟、支払督促手続、通常訴訟)

・住宅ローンや税金の滞納有無を確認(競売の可能性を確認)

・不動産会社も交えた任意売却の検討(住宅ローン残債に注意)

 

まとめ

マンションの管理運営は、未収金がなく全員が管理費等を支払うことを前提に収支を試算しています。誰か一人が払わないと、全体に影響を与えることになるため、未収金がある場合には、理事会等において詳細を把握した上で、問題意識をもって解消に取り組んでいくことが必要です。

そして、初期の段階から迅速に督促対応することが未収金を常態化させない最大の対策になります。

また、マンションによっては、滞納期間に応じて機械的に対策を講じるような運用ルールを予め定めているケースもありますので、未収金で悩まれている管理組合であれば、一度、検討してみてはいかがでしょうか?

 

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松井 久弥

あなぶきハウジングサービス:松井 久弥(まつい ひさや)
2000年あなぶきハウジングサービス入社。
全国10都道府県において、管理担当・リプレイス営業・新規拠点立上げ・部門責任者に従事。特にマンション管理会社のM&Aにおいては、案件化からデューデリ・譲渡契約・お客様対応全般・統合後プロセス(PMI)までを実践。
マンション管理士、M&Aシニアエキスパート。
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