あなぶきハウジングサービスの後藤です。
多くのマンション管理組合では当社のようなマンション管理会社と「管理委託契約」を締結し、共用部分の管理をはじめとした業務の委託を行っているかと思います。
この管理委託契約を締結する前にはマンション管理会社の管理業務主任者より“重要事項説明”を実施する必要があります。
重要事項説明について契約条件変更して管理委託契約を更新する場合には重要事項説明会が必要なことはわかると思いますが、契約条件が同じ場合についての重要事項説明会は必要なのかというのを度々マンション管理組合役員様から質問をいただくことがあります。
今回は、管理委託契約の「条件同一」の対象と重要事項説明会の実施についてご紹介いたします。
目次
- 条件変更契約とは
- 条件同一契約とは
- 重要事項説明会実施について
- まとめ
条件変更契約とは
マンション管理組合が共用部分の管理や管理組合の会計業務を委託する場合には、当社のようなマンション管理組合と「管理委託契約」を締結する必要があり、皆さんがお住まいのマンション管理組合でも当該契約を締結していることと思います。
理事会などで「各種設備点検の回数を増やしたい」や「給水方式を貯水槽水道方式から直結増圧給水方式に変更するため、貯水槽清掃などを削除したい」など様々な要望があり管理組合としてマンション管理会社との次回更新時に契約内容を変更することがあります。
この変更して契約を更新することを“条件変更契約”となり、重要事項説明会を開催する必要があります。
条件同一契約とは
条件変更は契約内容を変更して管理委託契約を更新することでしたが、一方契約内容は変更しないで契約する場合には“条件同一契約”となります。
この条件同一については、管理組合にとって“不利とならない”変更については条件変更ではなく条件同一として更新することができます。
条件同一とみなされる場合の例が国土交通省より平成14年に通達が出ておりますのでご紹介します。
従前の管理委託契約と管理事務の内容および実施方法が同一条件とし、管理事務に要する費用の額を減額しようとする場合。
事務管理業務費や各種設備点検費の減額を管理会社へ依頼し、管理仕様や点検回数の変更がない場合など。
従前の管理委託契約より管理事務の内容および実施方法の範囲を広げ、管理事務に要する費用の額が同一または減額される場合。
マンション管理会社のサービスとして定期清掃の委託費は据え置きで1回多く実施するなどの場合など。
従前の管理委託契約より管理事務に要する費用の支払いを後にする場合。
マンション管理組合の管理事務に要する支払いが毎月按分払のものを実施後払いに変更する場合など。
従前の管理委託契約より契約期間を短縮する場合。
マンション管理組合とマンション管理会社の契約が2年契約だったものが更新後1年に変更する場合など。
管理事務の対象となるマンションの所在地の名称が変更される場合。
地方自治体の区画編成や管理組合の要望によりマンション名を変更する場合など。
重要事項説明会について
マンション管理の適正化の推進に関する法律(マンション適正化法)では、契約更新を含むマンション管理組合とマンション管理会社の管理委託契約を締結する場合には、事前にマンション管理組合に対して重要事項説明を実施することが義務付けられています。
この重要事項説明に際して原則管理組合の管理者(一般的には理事長様)および区分所有者全員に対して説明会を開催する必要がありますが、上記で説明したような管理委託契約の条件同一で更新する場合は、重要事項説明会の開催は必要としないこととされています。
ただし、管理者への説明と区分所有者全員への重要事項説明書の交付は必要であるため、注意が必要です。
まとめ
今回はマンション管理組合とマンション管理会社との管理委託契約を締結する場合の「条件同一」変更についてご紹介しました。
更新契約内容について管理組合の要望などを盛り込んでいくためにも今一度見直ししてみてはいかがでしょうか。
後藤隆史
北海道出身。管理組合様用火災保険の提案や管理委託契約書の作成、各種設備点検の発注業務を行っています。
フロント担当者の経験を生かし管理組合様の費用負担軽減ができるような火災保険の更新提案や各種設備点検項目の見直しなどを目指しています。少林寺拳法有段者(小学校2年生からやっていました)。火災保険や点検項目の見直しの際にはぜひとも御用命ください!
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士
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