マンションの大規模修繕工事の建物診断の必要性についてわかりやすく解説!

朝野監

はじめまして。あなぶき建設工業の朝野です。
九州の福岡で大規模修繕工事の工事監理を行っています。
入社するときに、修繕工事のイメージが湧かず、どんな工事をしているんだろう。と感じていました。
ですので、もうすぐ大規模修繕工事が始まっちゃうけど、何を準備したらいいのかわからない!
大規模修繕工事って何のためにするの?大規模修繕工事までにする準備は?工事期間は?
などなど、入社して1年目の目線で大規模修繕工事について記事にしていきたいと思います。
工事の準備について書きていきますが、今回は、建物診断について記事にしたいと思います。

マンションの建物診断とは?なにを診断しているの?なぜ実施するの?

まず初めに建物診断について説明します。
建物診断とは、『目視』『打診』『触診』『写真撮影』『機械試験』をして
建物の状態を把握するために行う調査のことです。

具体的には、ひび割れが発生していないか鉄筋が露出していないか
漏水が発生していないか下地の浮き発生状況
仕上げ材の劣化具合既存塗膜の付着の状況など様々な項目の確認を行います。
その結果を踏まえて、マンションの大規模修繕工事で、
どのような処置を行いどのように工事を進めていくか判断するために行いまので、
建物診断はとても重要になってきます。

 

【劣化や損傷の確認】

マンションの外壁は、長期間の日光、風雨、気温変化などの自然の影響を受けるため、
時間とともに劣化していくことがほとんどです。
外壁の劣化は、建物の見た目や構造に影響を及ぼす可能性があるため、マンションの大規模修繕工事前の建物診断では特に気をつけて診断を行っています。
例えば、次のような例が考えられます。

 

塗装の剥がれやひび割れ

外壁の塗装は、外部からの影響を受けやすい部分です。
日光や雨水の影響で塗膜が劣化し、剥がれやひび割れが生じることがあります。
これにより、外壁の保護性能が低下し、見た目や躯体本体の耐久性が損なわれる可能性があります。

 

コンクリートの劣化

コンクリート外壁は、時間とともに風化や腐食が進行し、表面の剥がれやひび割れが生じることがあります。
これにより、建物の構造的な強度が低下することや、タイル張りの箇所では剥落につながる可能性があります。

 

金属部材の腐食

 

外壁周辺に使用される金属部材(例: 鉄、アルミニウム)は、雨水や湿気による腐食の影響を受けやすく
腐食が進行すると、部材の強度が低下し、部材がぼろぼろになったり、錆汁でよごれたり、
コンクリートと密着している箇所では、爆裂といってコンクリートの破壊が起こる可能性があります。

 

シーリング材の劣化

外壁のシーリング材は、隙間や接合部を密封し、水や風の浸入を防ぐ役割を果たします。
劣化すると、水漏れ断熱性の低下などの問題が発生する可能性があります。

 

屋上防水面の劣化

例えば、ウレタン防水材は外部環境の影響を受けるため、時間の経過とともに劣化する可能性があり、
紫外線による長時間照射よって、ウレタンが硬化して破れやひび割れが生じることがあります。
他にも、気温の急激な変化によって、ウレタン防水材が膨張したり収縮したりすることがあり、
これによって接着力が低下し、劣化が進む可能性があります。
化学物質の影響や水の浸透で材料の劣化や剥離を引き起こすことがあります。
劣化の影響で防水面が破れることで水漏れが発生することや
水の侵入によって、鉄筋やコンクリートにダメージが及び、腐食や劣化が進行する可能性があります。

 

【大規模修繕工事で実施する項目の選定】

実施項目の選定は、必要な修繕や改修の範囲を決定する重要なプロセスです。
建物調査を行うことで外観、構造、設備などを検査し、損傷や劣化の程度を確認します。
これにより、修繕が必要な箇所や優先順位が明らかになり必要な工事の選定が行うことが可能となります。

 

修繕の必要度評価

評価結果に基づいて、修繕が必要な項目を優先度付けします。
安全性や法的要件に関わる部分、建物の耐久性に直結する部分は高い優先度とされることが多いです。
例えば、高層階の外壁タイル面や塗装面では、足場がないと工事ができませんので優先順位は高くなります。
逆に、足場がなくてもできる工事は除外項目となることもあります。

 

予算の考慮

修繕工事には費用がかかりますので、利用可能な予算修繕の優先度を照らし合わせて、
実施する項目を選定します。予算内で最も重要な項目を選ぶことが求められます。
例えば、予算ギリギリですと共用廊下の工事は足場がなくても工事は行うことができるので
工事項目から除外したりすることもあります。

 

居住者様のニーズ

居住者様のニーズや要望も考慮します。
快適性や機能性の向上が求められる場合、それに合わせた修繕が選ばれることもあります。
例えば、
居住者の年齢が高くなっているマンションでは、非常時に使う階段に手摺がないと危ないため設置してほしい。
お子様が多いマンションでは、掲示板が画鋲で紙を掲示するタイプだと、危ないので磁石で掲示できる掲示板にしてほしい。
などなど、さまざまなニーズにご対応させていただくこともございます。

 

外観とイメージの維持

建物や施設の外観やイメージも重要です。
修繕工事を行う際には、美観を損なわないように配慮しながら、予算内で必要な修繕を選定します。

 

最後に

適切な対処を行い、マンションの長寿命化や住人の安全を確保することや、
適切な工事内容とするために建物診断はとても重要です。
予算居住者の要望をバランス良く考慮しながら、修繕工事の項目を選定することで、
全体的な計画を立て、長期的な視点で建物や施設の健全な状態を維持できるようになります。
みなさまが安心してマンションライフをお送りできるよう、
これからもより一層業務に励んでいきたいと思います。

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朝野監

あなぶき建設工業
朝野 監 (あさの あきら)

2021年に新築マンション工事の現場管理業務を経て入社。
現在は主にマンション大規模修繕工事の管理業務をしております。
まだまだわからないことだらけで日々学び、日々成長中です。
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