知っておきたい大規模修繕工事の【劣化調査図面】

西口洸平

こんにちは。元気いっぱい夢いっぱい。あなぶき建設工業の西口です。

人生常に発見の連続、そして日々勉強。

マンション・ビル等の新築・大規模修繕工事の現場監督を経て、現在は建設統括本部という部署で各現場の安全、品質検査等の業務を行っております。

現場でのお客様との関わりを大切にして、日々の業務に努めております。

そんな業務の中での発見や気づきなどを発信し、

少しでもブログ読者の皆様に有益な情報がお届けできれば幸いです。

 

本記事では、主にマンション管理組合様・マンションオーナー様向けにブログを書いていこうと思います。特に大規模修繕工事など工事に関わる内容を中心に管理組合様に向けてブログを発信していきます。

今回は、大規模修繕工事に伴い、マンションの劣化調査時に作成する『劣化調査図面』についてご紹介いたします。

 

『劣化調査図面とは

マンション大規模修繕工事等の際に、建物の劣化状況を把握するために作成する図面を『劣化調査図面』といいます。まず、建物の劣化調査(マーキング調査)を行い、劣化状況毎に建物の表面に印(マーク)をつけていきます。建物の表面につけた印(マーク)を立面図や平面図などの図面上に転記し、『劣化調査図面』を作成します。

通常、『劣化調査図面』は『劣化調査数量表』とセットで作成することが一般的です。図面に数量表が記載している場合と図面とは別に数量表を作成している場合があります。

建物のメンテナンスを適切に行う為に必要となる資料が、『劣化調査図面』や『劣化調査数量表』です。一般的には以下の項目に分けで図面及び数量表を作成します。

※以下、マーキング状況の参考動画です。

【塗装面】

1.ひび割れ補修(すり込み工法)

2.モルタル浮き補修(エポキシ樹脂注入工法)

3.ひび割れ補修(低圧注入工法)

4.ひび割れ補修(Uカットシーリング工法)

5.欠損・爆裂補修(露筋部防錆剤塗布)

【タイル面】

1.ひび割れ・欠損

2.浮き

作成した『劣化調査図面』と『劣化調査数量表』から建物の劣化箇所・範囲や劣化の種類などを把握し、建物の劣化状況の傾向を分析します。

 

『劣化調査図面』の利用目的と重要性について

『劣化調査図面』や『劣化調査数量表』は、大規模修繕工事の際に補修工事の工法選定・箇所・範囲を判断する際の判断資料となります。

大規模修繕工事期間中の月例報告会(理事会)では建物の現状の劣化状況を管理組合様に確認いただき、調査数量に対する補修数量の増加や減少を確認いただく資料として使用します。劣化数量が大幅に増加した場合は、管理組合様に事前にご相談の上、工法変更により追加金額をできるだけ抑えるようなご提案をする場合もございます。劣化数量の減少の場合は、別途見送り工事の再提案や追加工事のご提案などをさせていただく資料としても使用します。

その他、劣化位置を記載した図面は補修後に、下地補修図面として完了報告書に保管されます。正確な図面を作成することにより、今後の補修工事、次回の大規模修繕工事に利用することができます。

工事中の品質やコストに関わる判断資料としてはもちろん重要ですが、数十年先の大規模修繕工事の際に利用する資料としても非常に重要です。

 

まとめ

最後に、弊社では大規模修繕工事を管理組合様の資産向上・資産保全が、最大の目的であると考え取り組んでおります。その中でも下地補修工事は、建物を長持ちさせる為に、最も重要と考えております。

まず、大規模修繕工事着工後に劣化調査(マーキング調査)を行い、建物の劣化状態を正確に把握し、『劣化調査図面』や『劣化調査数量表』に記録を残すことで、適切な工事を行う事ができます。また、大規模修繕工事後は下地補修図面として、保管することで、今後の補修工事、数十年先の大規模修繕工事に利用することができます。

本当の竣工は、「数十年後」だと考え、お客様から評価いただけるよう、『劣化調査図面』や『劣化調査数量表』を含めきちんとした記録を残していくことが重要と考え、日々の業務に取り組んでおります。

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西口洸平

株式会社あなぶき建設工業
西口 洸平(にしぐち こうへい)

新築工事、大規模修繕工事の現場監督を経て、
現在は建設統括本部にて現場の後方支援を行っております。

趣味ではありませんが、好きなことは現場近くや出張先で美味しいご飯を食べることです。
ご飯を食べると思わず『ウマッ』と声に出てしまうので、会社の人によく笑われます。
経験豊富な上司や好奇心旺盛な後輩がいる会社で毎日楽しく働いております。

本ブログでは現場で培った経験等を活かし、ブログ読者の皆様に
有意義な情報発信となるよう努めて参ります。

保有資格:1級建築施工管理技士
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