こんにちは。三原です。寒波の影響を受け肌寒い日々が続いてます。インフルエンザも患者数が過去最高を記録するなど猛威を奮っています。皆様も体調管理には注意してくださいね。
今回は当社への問い合わせも多い民泊問題に関する情報をご紹介します。
目次
- 1.民泊と管理規約
- 2.民泊可否に関する管理規約改正
- 3.管理規約改正の手順
- 4.まとめ
1.民泊と管理規約
訪日外国人が年間2,000万人を突破し街を歩いても「外国人の方をよく見かけるなあ」と皆様も感じていることと思います。マスコミ等で報道されているとおり、昨年公布された住宅宿泊事業法(民泊新法)が今年6月15日から施行されます。民泊がOKとなると不特定多数の民泊利用者がマンションに出入りすることになり、マナー上のトラブルや場合によっては治安上の問題も発生する恐れがあるからか、あくまでも私個人の印象ですが、特にファミリータイプのマンションにおいては「民泊を禁止しよう」という考えの管理組合様が多いように感じます。なお、同法では、従来の管理規約条文である「専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」という文言だけでは、民泊が管理規約違反とは解されない可能性があるとのことです。
このような背景を踏まえ、管理規約改正を検討されている管理組合様も多いことと思いますが、その際の手順を以下に記載します。参考になれば幸いです。
2.民泊可否に関する管理規約改正
民泊を可能とする場合、禁止とする場合には、マンション標準管理規約でいう第12条(専有部分の用途)を以下のとおり改正することが必要です。※______を追加
○民泊を可能とする場合
(専有部分の用途)
第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。
○民泊を禁止とする場合
(専有部分の用途)
第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
3.管理規約改正の手順
管理規約改正には総会出席者の過半数での承認となる普通決議ではなく、特別決議(区分所有者数および議決権数の各4分の3以上)での承認が必要となります。
①体制の整備
以下のような体制の整備方法があります。もちろん、管理会社のフロント社員にも相談してくださいね。
・理事会のみで進めていく。
・理事会の諮問機関として管理規約委員会を設置する。
・マンション管理士等専門家のサポートを得る。
②改正案の作成
まずは、そのマンションの歴史および慣習ならびに賃借人等の割合等、実態の把握が必要です。次にマンション標準管理規約と現行管理規約の比較表などを作成し、相違点を洗い出し、時間をかけ協議していきます。それと同時に、関係法令の改正などがないかを確認します。
③意見徴収と説明会
管理規約改正に際し、一部の組合員などの権利に特別の影響を及ぼすことになる場合には、区分所有法に基づきその承諾を得なければならないため、事前に説明のうえ承諾を得ておくことが必要です。そして、改正案がまとまった後には住民説明会を開催した方が良いと考えます。説明会では、改正案に至った経緯等も含め説明し、また、組合員などの意見を積極的に伺い、必要であれば条文の追加・修正などを検討します。
④理事会での審議
理事会においては、その管理規約改正案が組合員の意見を盛り込んでおり、また、利害調整などを行ったものであることの確認が必要です。そして、総会審議にかなう内容であると判断した場合に、総会上程について理事会決議を行います。その際、区分所有法等の関係法令やマンション標準管理規約に記載がない条文の新設をする場合などは、特に注意が必要でしょう。例えば、内容が公序良俗に反していると無効となりますが、判断基準があいまいな場合もありますので、弁護士等に事前確認をしておいた方が良いでしょう。
⑤総会承認後の周知
管理規約改正が総会承認となった後も、特に賃借人の方や新たに組合員となった方などに向け、内容の周知・遵守のために、管理組合が主体となって周知活動をしていくことが大切です。管理規約の各戸配付や掲示板での規約原本保存場所の公開など色々な方法があります。改正したものが形骸化しないよう注意してくださいね。
4.まとめ
分譲マンションの数だけ管理規約は存在します。時が経つにつれマンションの状況だけではなく、今回の民泊問題など、取り巻く社会状況によっても管理規約改正の必要が生じてきます。その際は、その時点における最新のマンション標準管理規約などを参考に協議を進めていくことが必要であり、それに加え、独自性をも打ち出していく場合には、マンションそれぞれの歴史・慣習・実態に応じて作成するものであると考えます。皆様のマンションでも管理規約改正を検討してみては!
三原 章
はじめまして!三原章と申します。入社以来10年以上、管理フロントとして業務に従事しております。長年フロント業務に従事してきた経験に基づくお役立ち情報や事例などを配信していきたいと思っています。宜しくお願いいたします。
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士・マンション管理士
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