5年ぶりに変わった「マンション標準管理規約」改正のポイント⑤~駐車場の使用方法、専有部分等の修繕等~

北林真一 北林真一

平成28年3月のマンション標準管理規約および同コメントの改正は、外部専門家の活用とコミュニティ条項の再整理のほか、いくつかの改正点があります。

今回は、「駐車場の使用方法」、「専有部分等の修繕等」について、ご紹介します。

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目次

  • 駐車場の使用方法(第15条)
  • 専有部分の修繕等(第17条)
  • まとめ

駐車場の使用方法(第15条関係コメント)

▶標準管理規約第15条関係のコメントに、空きが生じている駐車場の外部貸しに係る税務上の注意喚起、駐車場が全戸分存在しない場合における入れ替え制の公平な選定方法および駐車場料金の設定等の解説が追加されています。

 

駐車場収入の扱い(第15条関係①コメントの改正)

本条は、マンションの住戸の数に比べて駐車場の収容台数が不足しており、駐車場の利用希望者(空き待ち)が多い場合を前提としている。

近時、駐車場の需要が減少しており、空き区画が生じているケースもある。駐車場収入駐車場の管理に要する費用に充てられるほか、修繕積立金として積み立てられるため(第29条)、修繕積立金不足への対策等の観点から組合員以外の者に使用料を徴収して使用させることも考えられる。その場合、税務上、全てが収益事業として課税されるケースもあるが、区分所有者を優先する条件を設定している等のケースでは、外部貸しのみが課税対象となり区分所有者が支払う使用料は共済事業として非課税とする旨の国税庁の見解(「マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)」(平成24年2月3日国住マ第43号)及びこれに対する回答(平成24年2月13日))が公表されているため、参照されたい。

定期的な入替え制(第15条関係⓻コメントの改正)

駐車場使用者の選定は、最初に使用者を選定する場合には抽選、2回目以降の場合には抽選又は申込順にする等、公平な方法により行うものとする。

また、マンションの状況等によっては、契約期間終了時に入れ替えるという方法又は契約の更新を認めるという方法等について定めることも可能である。例えば、駐車場使用契約に使用期間を設け、期間終了時に公平な方法により入替えを行うこと(定期的な入替え制)が考えられる。

なお、駐車場が全戸分ある場合であっても、平置きか機械式か、屋根付きの区画があるかなど駐車場区画の位置等により利便性・機能性に差異があるような場合には、マンションの具体的な事情に鑑みて、上述の方法による入替えを行うことも考えられる。

駐車場の入替えの実施に当たっては、実施の日時に、各区分所有者が都合を合わせることが必要であるが、それが困難なため実施が難しいという場合については、外部の駐車場等に車を移動させておく等の対策が考えられる。

駐車場料金の設定(第15条関係⑧コメントの改正)

駐車場が全戸分ない場合等には、駐車場使用料を近傍の同種の駐車場料金と均衡を失しないよう設定すること等により、区分所有者間の公平を確保することが必要である。なお、近傍の同種の駐車場料金との均衡については、利便性の差異も加味して考えることが必要である。

また、平置きか機械式か、屋根付きの区画の位置等による利便性・機能性の差異や、使用料が高額になっても特定の位置の駐車場区画を希望する者がいる等の状況に応じて、柔軟な料金設定を行うことも考えられる。

専有部分の修繕等(第17条1項及び第17条関係②コメント)

▶区分所有者は、その専有部分について、修繕を行おうとするときは、あらかじめ理事長にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならないと規定されているが、今回の改正で、修繕等にあって「共用部分又は他の専有部分に影響をあたえるおそれのあるもの」を行おうとするときは」と新たに文言が追加され、書面による承認を必要とする修繕等の対象範囲が限定的に変更されました。

理事長の書面による承認

【第17条第1項の改正】

区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。

【第17条関係②コメントの改正】

修繕等のうち、第1項の承認を必要とするものは、「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある」ものである。具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等がある。その範囲・承認を必要とする理由及び審査すべき点については、別添2(区分所有者が行う工事に対する制限の考え方)に示している。

理事会の決議による承認・不承認

【第17条第3項の改正】

理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならない。

【第17条関係⓻コメントの改正】

工事の躯体に与える影響、防火、防音等の影響、耐力計算上の問題、他の住戸への影響等を考慮して、承認するかどうか判断する。考え方については、別添2を参照のこと。なお、承認の判断に当たっては、マンションの高経年化に伴い専有部分の修繕等の必要性が増加することも踏まえ、過度な規制とならないようにすること。修繕技術の向上により、新たな工事手法に係る承認申請がされた場合にも、別添2に示された考え方を参考にすればよいことに留意する。なお、工事内容が上下左右の区分所有者に対して著しい影響を与えるおそれがあると判断される場合には、当該区分所有者の同意を必要とすることも考えられる。

【第17条関係⑧コメントの改正】

承認の申請先は理事長であるが、承認、不承認の判断はあくまで理事会の決議によるものである。(第54条第1項第五号参照)

承認の範囲内の工事

【第17条関係⑨コメントの改正】

なお、老朽化が進む等、近い将来に、建替え若しくはマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)が想定されるマンションにおいて、高額な費用をかけて専有部分の大規模な修繕等を行う区分所有者がいた場合には、その工事から数年後に建替え等の検討が始まると、当該区分所有者にとって二重の出費ともなりかねないほか、合意形成に支障が生じる可能性がある。このため、近い将来に建替え等の検討の可能性があるマンションにおいては、修繕等について理事長の承認を求めてくる区分所有者に対して、近い将来に建替え等が検討される可能性がある旨の注意喚起を行うことが望ましい。なお、注意喚起があった上で、実際に修繕等を行うか否かはあくまで当該区分所有者の判断である。

【第17条関係⑬コメントの改正】

本条の承認を受けないで、専有部分の修繕等の工事を行った場合には、第67条の規定により、理事長は、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うか、その差止め、排除又は原状回復のための必要な措置等をとることができる。第5項の立入り、調査の結果、理事長に申請又は届出を行った内容と異なる内容の工事が行われている等の事実が確認された場合も、同様である。

立入り・調査

【第17条関係⑩コメントの新設追加】

第5項の立入り、調査に関しては、施工状況を確認する必要があるものについて、工事中の現場で管理組合の理事等(又は組合から依頼を受けた技術者)が立ち会って確認することが考えられる。人手や工期などにより実際に立ち会うことが難しい場合には、抜き打ちで検査することをアナウンスしたり、工事業者に写真等の記録を取らせ報告させたりすることが考えられる。

施工状況を確認する場合、図面の読み方や工事の進め方を知っている外部の専門家の協力が必要になる。確認が必要なものとしては、例えば、次のようなものが考えられる。

・全面リフォームを行う工事について、壁、床等をはがして耐力壁を撤去徹しないか、工事対象を確認する。

・躯体コンクリートにスリーブをあける際やアンカーを打ち込む際に、鉄筋を探査してから穴をあけているか、手順を確認する。

工事後の影響による責任・負担

【第17条第6項の新設追加】

第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。

【第17条関係⑪コメントの新設追加】

第6項は、第1項の承認が、修繕等の工事の結果、共用部分又は他の専有部分に生じた事後的な影響について、当該工事を発注した区分所有者の責任や負担を免責するものではないことを確認的に定める趣旨である。

なお、工事を発注する場合には、工事業者と協議した上で、契約書に事後的な影響が生じた場合の責任の所在と補償等についても明記することが適切である。

また、管理組合等が専有部分の修繕の記録を保管しておくため、工事業者から工事完了報告書等を提出させることも考えられる。

理事長への届出

【第17条第7項の新設追加】

区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。

【第17条関係⑫コメントの新設追加】

第7項は、第1項の承認を要しない修繕等であっても、工事の実施期間中において、共用部分又は他の専有部分に対し、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等の影響が想定されることから、管理組合が事前に把握する必要があるため、事前に届出を求めるものである。

なお、第1項の場合と異なり、工事の過程における影響を問題とするものであり、工事の結果による事後的な影響を問題とする趣旨ではないことに留意する。

また、他の居住者等に影響を与えることが考えられるため、上記届出に加えて工事内容等を掲示する等の方法により、他の区分所有者等へ周知を図ることが適当である。

なお、上記届出を要する工事の範囲等の考え方は、別添2を参照のこと。

具体的な手続、区分所有者の順守すべき事項

【第17条関係⑭コメントの改正】

本条の規定のほか、具体的な手続き、区分所有者の遵守すべき事項等詳細については、使用細則に別途定めるものとする。その際、上述した別添2の内容についても、各マンションの実情に応じて、参考にするとともに、必要に応じて、専門的知識を有する者の意見を聴くことが望ましい。

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5年ぶりに変わった「マンション標準管理規約」改正のポイント③~「外部専門家の活用」を必要とするマンションの実態~

5年ぶりに変わった「マンション標準管理規約」改正のポイント⓸~コミュニティ条項の再整理~

まとめ

駐車場問題には、駐車場不足、空き駐車場利用、特定の者の駐車場専用使用等に関する問題があり、それぞれの対応策は異なります。

また、専有部分修繕等の問題は、リフォームの範囲について、具体的な工事の種類および内容(共用部分の加工を含む)を定めておけば、トラブルの発生を少なくすることができます。

これらの問題点について、平成28年3月のマンション標準管理規約および同コメントの改正等では、新たな指針が示されています。管理規約を改正する際の参考としてください。

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北林真一

北林真一

あなぶきセザールサポート 北林 真一(きたばやし しんいち)
大学卒業後、一貫して不動産業界に従事してきました。
皆さまの大事なお住まい(マンション)のことは私にお任せください。
【得意分野】・合意形成の進め方 ・大規模修繕工事
【モットー】謙虚であれ、誠実であれ
【特技】日本酒と音楽(邦楽除く)は少しだけ詳しいです。
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