こんにちは!あなぶきハウジングサービスバイオエナジー事業所の竹中です。
弊社が取り組むバイオエナジー事業では、産業廃棄物の焼酎廃液(粕)と規格外のサツマイモを活用し、新たな資源として、エタノール燃料(バイオエタノール)と土壌改良材(農業用資材)を製造しております。
前回のエタノール燃料(バイオエタノール)に引き続き、もう一つの製品となる土壌改良材(肥料)についてご紹介いたします。
ご家庭での家庭菜園や、ガーデニングなどのご参考にして頂ければ幸いです。
目次
1.はじめに
2.肥料の必要性
3.肥料とは?
4.肥料の種類(普通肥料と特殊肥料)
5.当社土壌改良材(日南バイオリソイル1)とは?
6.さいごに
1.はじめに
肥料(土壌改良材を含む)に関するご紹介をする前に、自然界(森林や野原など)の植物では、人間が人工的に肥料を与えないのにも関わらず、なぜ立派に成長するのかお考えになられたことはあるでしょうか?
自然界で植物が育つ理由としては、
・環境に適した植物が自生している。
・植物の栄養源となる物質が循環し、常に土壌中に供給されている。
つまり、
①植物の果実などの実を野生動物が食べ、排泄物は土壌に供給される。
②排泄物は、土壌内微生物のエサ(有機物)となる。
③排泄物は、土壌内微生物により分解され、土壌中の栄養分となる。
④植物は土壌中に供給された栄養分を吸収し、成長し果実などの実がなる。
以上の①~④の循環が自然に行われることになります。
植物は、土壌の栄養分だけで育つことは不可能であり、根から水を吸収し、葉から日光や二酸化炭素を吸収。これらの要素を踏まえ光合成を行い成長します。
2.肥料の必要性
自然界では植物が成長に必要な栄養が、自然に循環していることを理解して頂いたかと思いますが、人工的に育てる植物の代表的な特徴は次のとおりです。
①植物の果実は人間が収穫するため、自然界の動物などが食べることができない。(※有機物として循環しない)
②同様の植物を育てることにより、土壌中の栄養分に偏りが生じる。
③収穫量や品質向上を目的として品種改良されるが、これにより植物が健全に成長するための養分の需要が多い。
以上の特徴から、人工的に育てる植物には、不足する栄養部を補給する必要が生じます。
3.肥料とは?
肥料の定義は、肥料の品質の確保等に関する法律(通称:肥料法)にて、『植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学変化をもたらすことを目的として土壌に施される物。植物の栄養に供することを目的として植物に施されるもの』と定義されており、簡単に言えば、植物の健全な生育に欠かせない栄養を与えるものです。
植物が健全に育つために必要な元素を必須元素といい、①必須多量元素(9元素)②必須微量元素(8元素)に大別されております。
①必須多量元素
肥料の三要素である窒素・りん酸・カリウム、二次要素のカルシウム・マグネシウム・硫黄の他、炭素・水素・酸素となりますが、炭素・水素・酸素については二酸化炭素と水より吸収されるため、人工的に与える必要はありませんが、植物が成長するうえで要求度の高い元素となります。
②必須微量元素
鉄・マンガン・ホウ素・亜鉛・モリブデン・銅・塩素・ニッケルであり、微量元素の必要量は少ないものの、植物の生育には重要な元素となります。
<参考:肥料三要素>
・窒素(元素記号:N)
光合成に必要な葉緑素や核酸等の構成元素で、葉や茎の成長に欠かせないため、「葉肥(はごえ)」と呼ばれております。生育の初期に効果的であり、茎と葉の生長に大きく影響します。
・リン酸(元素記号:P)
核酸・酵素の構成元素で開花・結実を促進するため、「実肥(みごえ)」と呼ばれております。果菜類やかんきつなどの果樹類、バラなどの観葉植物には補給が必須となります。
・カリウム(元素記号:K)
細胞の膨圧維持による水分調節(浸透圧調整)に関与し、根の生長を促進するため、「根肥(ねごえ)」と呼ばれております。
量販店で販売されている肥料には、肥料三要素(窒素・リン酸・カリウム)の含有量が表示されており、育てる植物の種類や目的に応じて肥料選びの参考にします。
また、肥料は地中の栄養分を補うために土壌に肥料を施す必要があり、この行為を『施肥』と言います。この施肥にも時期によって名称が異なり、植物を定植(植え付ける)前に、土壌へ施す肥料を『元肥(モトヒ・モトゴエ)』、定植後(植え付け後)に肥料が切れないよう土壌へ施す肥料を『追肥(ツイヒ・オイゴエ)』と言います。
出展:「肥料雑学」(太陽肥料株式会社)
4.肥料の種類(普通肥料と特殊肥料)
全ての肥料は、肥料取締法により①普通肥料と②特殊肥料に分類されます。
①普通肥料
・特殊肥料以外の肥料で、化成肥料等、主要な肥料はそのほとんどが普通肥料として登録され、農林水産大臣の登録を受ける必要があります。
植物の成長に必要な栄養分を提供するための基本的な肥料であり、特に、肥料の三要素である窒素、リン酸、カリウムを含む肥料がこのカテゴリに分類されます。
②特殊肥料
・米ぬか・魚かす・汚泥などを含まない堆肥(牛ふんや鶏ふんなど)などで、土壌に施されることで植物に栄養を与えるものです。
特定の目的や特定の植物種に対して使用される肥料を指し、例えば、果物の甘みを引き出すための肥料や、ある種の花を大きく咲かせるための肥料などがこのカテゴリに含まれます。
5.当社土壌改良材(日南バイオリソイル1)とは
私どもが製造する日南バイオリソイル1(土壌改良材)は、肥料の分類上、特殊肥料に該当し、具体的には土壌における排水性や保水性の改善や、土壌の団粒化促進を目的とした資材です。
原料はこれまでもご紹介しましたとおり、主要原料を①焼酎廃液(粕)と②サツマイモ(規格外)として、これに③消石灰と④キトサンを添加し製造しております。
肥料の三要素(窒素・リン酸・カリウム)は、牛ふん(堆肥)と同程度の含有量であるものの、焼酎の発酵液を由来とした原料より製造していることから、高い有機質の効果により、土壌中の微生物を増殖及び活性化させる効果が十分期待されます。また、キトサン(原料:カニ殻)も同様に、放線菌(善玉菌)が増え、これに伴い糸状菌(悪玉菌)の抑制も立証されており、消石灰はカルシウムの供給と土壌PHの調整(酸性に偏った土壌を弱酸性や中性に調整)に役立ちます。
2023年秋より販売を開始(約1年が経過)しましたが、サツマイモ生産量で全国トップの農業法人様にて採用された他、宮崎の特産品であるキュウリやピーマンのハウス栽培用の土壌改良材として活用して頂いております。
6.さいごに
今回、わたくしども事業所にて製造しております土壌改良材(肥料)について、概要をご紹介致しました。
人工的に育てる植物に、肥料は必要不可欠となることをご理解頂けたかと思いますが、これらの肥料の養分は土を介して植物に供給されます。肥料同様もしくはそれ以上に土壌の果たす役割は重要となります。
次回は、今回に引き続き、植物を育てる上で重要となる土壌の土づくりについて、深堀りしてご紹介する予定です。
引き続き、よろしくお願いいたします。
竹中和幸
竹中 和幸(たけなか かずゆき)
分譲マンションの管理担当(フロント)を経て、2023年より出身地である宮崎(日南市)にて、焼酎廃液(焼酎製造過程で排出される蒸留粕)の再生利用(資源の有効活用)に取り組んでおります。
保有資格:宅地建物取引士・管理業務主任者
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