水を止めたらドンッ!と鳴る現象「ウォーターハンマー」 発生する原因と防止策とは?

堀井康志

こんにちは。あなぶきクリーンサービスの堀井です。

 

入浴中のシャワーや、手洗い歯磨きで水を使っている時、全自動洗濯機や食洗器の使用中、突然壁の中から「ドンッ!」「ガンッ!」という振動を伴った音が鳴ることがありませんか。

思い当たる節のある方、十中八九「ウォーターハンマー」と呼ばれる現象の可能性が高いです。ただ音が鳴っているだけ・・・と放置すると、思いがけないトラブルに発展する可能性も。

今回は、ウォーターハンマーがどのようにして発生するか、その原因や実際にあったトラブルと対策をご紹介します。最後まで読んでいただけると励みになります♪

ウォーターハンマー現象とは

冒頭でも少し説明した通り、ウォーターハンマー現象とは急激な圧力変動によって水道管に振動が与えられ大きな音が発生します。まるで水道管をハンマーでたたいたような音が鳴るため「ウォーターハンマー現象」と呼ばれています。

強い衝撃が発生しているため配管に破損が生じ、水漏れなどのトラブルを起こすリスクも高いため早めの対処が必要です。

 

ウォーターハンマーが発生するメカニズム

家庭で発生するウォーターハンマーが起こる主な原因としては次の2種類が考えられます。

 

圧力上昇

水道管内に流れている水が急に止まることにより、急激に管内圧力が上昇して起こる現象です。

昔はハンドル型の水栓が主流で、水を止めるときは徐々に圧力が上昇する仕様だった為、事例としては現在ほど多くありませんでした。

しかし、ここ十数年で普及しているシングルレバータイプの水栓は、水を出すときも止めるときもレバーを一気に操作することができる為、止める際には水道管内を流れている水の運動エネルギーが行き場を失い、水道管の内部にかかる圧力が急上昇することにより衝撃音が生じます。

 

水柱分離

給水ポンプが停止した際に、慣性力によって進み続ける水の流れとポンプ停止によって停止する水の流れの2種類の流水が給水配管の中で発生します。

この時に、2つの流水の間に圧力低下(負圧)発生に伴い気圧の層が生まれます。この現象を『水柱分離』と言い、配管内の圧力回復によって2種類の流水がぶつかり合う際に衝撃を発します。

 

予想されるトラブル

実際に起こり得るトラブルを考えてみましょう。

 

近隣トラブル

音というのは、基本的に振動を伴っております。ウォーターハンマーによって発生する音も例外なく振動を伴います。マンションやアパートなどの上下階や隣接した戸建の隣家へ、この振動を伴う音により不快感や不安感を与える可能性が高いです。

各家庭で生活サイクルが違う為、夜中や早朝にお水を使うことの多い家庭があることも予想されますよね?
その場合、結果的に睡眠妨害の要因となっていたりするケースも少なくありません。不定期に発生する音に、嫌がらせをされていると捉えられてしまうなどのトラブルに発展することもあります。

 

漏水トラブル

重ねて申し上げますが、ウォーターハンマーは振動を伴った衝撃音です。当然ながら、水道管内で発生しておりますので、水道管本体も振動の影響を直接受けております。

この症状が長期にわたり継続的に発生し続けると、配管の接続部分や継手部分などの接合部にゆるみや隙間が生じて漏水の原因をつくることがあります。特にマンション等の集合住宅では、漏水が発生した下階にお住いの方からの苦情により気付くケースも少なくありません。

 

故障トラブル

継続的に発生する衝撃と振動は、水道管に繋がれている機器にも影響を及ぼします。給湯器のセンサーが故障して給湯温度が急に変化したり、水道メーターの異常を招いたりすることも。

機器やメーターの弁が壊れるような症状が発生したら、ウォーターハンマーに原因がある可能性もあります。

 

 

対策方法

日々の生活において、自分だけでなく周りにお住まいの方も巻き込んで影響を及ぼす可能性のあるウォーターハンマーですが、対策方法は2種類あります。
そのうちの1つはすぐにでもできる対策ですので、今日からお試しいただけます。

 

水道の元栓を絞る

キッチンや浴室等、お水を使用するところには必ず水栓が設置してありますよね。シンクの下の棚の中や、浴室洗い場水栓の取付軸のハの字になっている部分には、大体「止水栓」と呼ばれるものがあります。それを少し閉めることで、水を使う場所ごとに水量を抑えることが可能です。

止水栓が見つからない!!という方もいらっしゃるかもしれません。
マンションにお住まいであれば、玄関を出てすぐ近くに、給湯器や水道メーターやガスメーターが格納されている、俗にパイプシャフトと呼ばれるスペースがあり、扉を開けると中の様子がうかがえます。
水道メーターの近くにあるハンドル(バルブorコック)が部屋に供給される水道管の元栓です。ここを絞ることで、部屋の中で使用する水の圧力を全体的に下げることができます。洗濯機や食洗器などが止水した時の生じる圧力変化が弱まります。

※絞るのが面倒、やっぱりよく分からない・・・という方、水栓(蛇口)のレバーをゆっくり操作するだけでも効果に期待できます。

※賃貸マンションなどでは、水道メーターが建物外敷地内のどこかの地面に埋め込まれて、鉄のプレートで蓋をされていたりするケースがあります。その場合はそこにバルブかコックがあります。ただし、号室の表示がなくどれがお住まいのお部屋の対象のバルブなのか分からない場合があります。

            

1つ注意点がございます。止水栓を絞り過ぎると次のようなことが起こります。

・水圧が弱くなりすぎて、満足のいくシャワーを浴びられない

・水圧が弱くなりすぎて、給湯器が反応せずお湯が出てこない

是非ともお気を付けください。

※賃貸物件にお住まいの場合は、念のため大家さんか賃貸管理会社に相談してみましょう。

 

水撃防止器を取り付ける

ウォーターハンマーを発生させている水栓に水撃防止器という部品を取り付けることで、水の勢いを吸収して音を抑制することが可能です。発生している箇所や使用している水栓の種類によって取り付けることができる水撃防止器の種類が異なります。

なお、取付自体は各ご家庭でも施工可能ではありますが、手順を間違えると水漏れ等のトラブルが発生します。その他にも取付の際には複数注意点がありますので、ご自身での判断が難しいようであればぜひご相談ください。

 

ウォーターハンマー現象が増加する可能性は?

近年ウォーターハンマー現象の発生が増加しています。その原因は自動で急止水する全自動洗濯機や・食洗機などの家電利用が普及したことが挙げられます。

今後こういった便利な家電の普及により、ますますウォーターハンマー現象が発生する可能性は高くなっていきます。

もし、ご家庭の洗濯機や食洗機などの水回りから「ドンッ」という大きな音が聞こえてきたらこの記事を思い出していただけると幸いです。

 

まとめ

水は人間にとって重要なライフラインの1つであり、これを自在に使えるようにしたことと、それに伴ってレバータイプの水栓や自動で止水してくれる機械を作り出したことは、人類にとっては文明の利器といっても過言ではありません。しかし、便利なものは同時に何らかのデメリットを伴う可能性があることもまた事実です。

今回のウォーターハンマーの発生件数は年々増加の一途を辿っております。

今まではそんなことなかったのに、最近音がするようになった・・・というケースもあるのではないでしょうか?

  •  ここ数年で近隣に住む世帯数が増えて、給水される水圧が増加
  •  配管更新工事が行われ、配管を流れる水の流量が増加
  •  もともと水撃防止器を設置してあったが、劣化により音が出るようになった。

実は、自分の住んでいる場所で、周りの環境に影響している場合もあります。

今回紹介させていただいたウォーターハンマーの内容について、実際に気になっている方は是非参考にしてみてください。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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堀井康志

あなぶきクリーンサービス 清掃・設備管理課
堀井 康志 (ほりい こうじ)

香川県出身。消防設備点検・給水設備点検を担当。2010年入社。
前職のタイヤ営業マンを経て、2010年にクリーンサービスへ入社。
これまでに高松、広島、高知で既存マンション・戸建・テナント等の清掃現場に携わり、酸いも甘いも経験して参りました。
現在は愛媛県で点検業務を中心に、修繕工事作業も含めて現場責任者として奮闘しております。
プライベートでも10歳(三つ子)と2歳児の父として目まぐるしい日々を送っており、毎日が目が回るほど刺激的です。
マンション設備のオールラウンダーとして、皆様のお役に立てるような情報をわかりやすく発信したいと思っておりますので、宜しくお願いいたします。

【保有資格】
消防設備点検資格者・消防設備士・第一種衛生管理者
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